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受心した青年のこころ⑥ 伝心


あとから聞いたのだが、そのとき夫は深く事情を知っていた。

けれども、わたしが毎日夜の散歩の"人影"について悩んでいるようすだったので言い出せなくなったのだと、あとから言われた。

怖がらせたくなかったらしい。


そのときに言ってくれていれば、少しは役にたったのかもね、とは、あとで夫婦で話してはいた。

が、実際、わたしたちが『行動を起こせたのか』と聞かれれば、やはり、NOだと思う。


もし、じぶんの息子が生死の境をさまよっているときに、「わたし、息子さんのこころを感じているんです!」と申し出てきたおばさんがいたとする。

「そうですか!で、なんて言ってます?」

なんて好意的に受けとめれるだろうか…

いや、絶対にありえない!

胡散臭さもひどすぎる!

しかも、イタコみたいに一言一句"彼の言葉"として伝えられるわけでもない。

なんの確証も証拠もない。


↓つづく

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