「惹かれた理由」
「彼に惹かれた理由?」
女子会でそんな話題になった。
「私はやっぱりイケメンだったから!笑」
「私は面白い人だったからかも。」
「私は誰よりも優しかったところかな。」
「ねぇ、ユカはどうなの〜?」
「んー。」
何に惹かれたのかって言うと、、
何でだろう。気づいたら好きになってたというか、告白されたからとういうか、。
「あ。」
あの時、私はプライベートでも、仕事でも人間関係でかなり悩んでて、心も身体も疲れきってた。
それでも、周りには迷惑かけたくもなかったし、知られたくもなかったから、気づかれないように明るく振る舞ってた。
気づく人なんて滅多にいなくて。
仲の良い友達は、「大丈夫?」と聞いてくれる子もいた。
その度に私は、「大丈夫!」そう笑顔で明るく答える。
いくら気持ちを明るくしようとしても、
色々考えすぎて、あまり寝れない夜もあったし、一人で泣いた夜もあった。
それでも朝には、鏡の前に立ち、笑顔で明るい私を作ってから、家を出た。
そんなある日。
仕事が終わり会社を出る。
「お疲れ〜、はいこれ。」
彼は、温かいココアを私にくれた。
ちょうど甘いの飲みたいと思ってた。
なんで?
「最近、甘いのに目がないって休憩のとき言ってたじゃん。」
私の心を見透かしたようにあなたは言う。
「なんか、いつももらってばかりで悪いよ〜」
「俺が飲むついでに買ってるんだから、素直にもらってよ。」
「んー、分かった。ありがとう。」
缶を開けて一口飲む。
寒さの中、ココアの温かさが身に染みる。
彼とは、職場の中でも一番歳が近くて、よく話す方だった。
時々、こうして駅まで一緒に歩く。
「ねぇ、少し飲みに行かない?ユカの話し聞きたいからさ。」
彼は、何故か私が悩んでることも知ってた。
そして、嫌な顔一つせず、ずっと私の話しを黙って聞いてくれた。
あの日、家に帰ると、なんかスッキリしていてぐっすり寝れたっけ。
思えばあの日から、何か変わった気がする。
「ねー、どうなのー、聞かせてよ〜」
しばらく考えてた私は、
「彼の超能力に惹かれたかな。」なんて答える。
「なにそれ〜、意味わかんなーい!」
「ちょっとトイレ行ってきまーす。」
「あ、逃げた〜笑」
久しぶりに昔のことを思い出した。
なんか懐かしくて、帰ったら彼に話そう。そう思ってて。
手を洗って、ふと鏡を見ると、笑顔の私がそこに居た。
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