文章中で笑いを表す言葉について

まず、文章中で笑いを表す言葉を使うタイミングはいつなのだろうか。普段私たちが生活している中で、笑いを表すタイミングは限られている。物品を購入する際に書く契約書に使うことは無いだろう。では一体私たちはどこで使うのだろうか。

今回はSNSに焦点を当てることにする。SNSとはSocial Networking Serviceの略で、登録された利用者同士が交流できるWebサイトの会員制サービスのことである。今では誰もが使っている物の一つと言ってもおかしくないだろう。昔、三種の神器という言葉があったように現代の三種の神器にSNS含まれるのではないだろうか。自分のことや他人のことなど自分があげたいことを写真や文面を使って共有することが出来る。

その中で笑いを表す言葉を使うタイミングがある。例えば、
「今日何も無いところで転んじゃった笑」
この文章の最後に使った「笑」が笑いを表す言葉である。これは見たまま「笑い」という言葉から「い」を抜き、漢字一文字という短くて的確に相手に感情を伝えることに成功している。これに似た例をあげると「泣」というものがある。これも先程と同じように「泣く」という言葉から「く」を抜き悲しい気持ちを表したものである。

このように漢字一文字で笑っているという感情を相手に伝えることができる。またこの「笑」と同じ意味を持つ違う形の物もある。

そのひとつは「w」である。これは「わら」と読み、読み方は先程のものと同じである。同じ読み方の2つだが起源は全く異なる。日本にまだゲームが少ない頃多くのゲームプレイヤーは海外製のゲームを使っていた。しかし、そのゲームのチャット欄は英字しか使えなかった。そのためにローマ字を使った会話がされるようになった。「ohayou,genki?」といったように。その中で「笑い」を「warai」としていたのだが、次第に打つのが面倒くさくなってきたため、頭文字の「w」だけが残ったのだ。「w」が流行ったのは、「笑」打つより「w」と打つ方が早く打てるからという噂もある。

そして、「w」を連続して打つと草は生い茂っているように見えるというところから「草」というものも生まれた。また、「笑」の派生系として、「藁」というものもある。

次にそれらの使い方や、相手に与える印象について考えていきたいと思う。

1番多くの人に使われ、知られているものとしてあげられるのはやはり、「笑」では無いだろうか。少しお堅い文章の本を読んでいても、たまに文章中に登場することもある。みなさんも少なからず見たことはあるのではないだろうか。私はこの形が文章中で笑いを表すのに適していると思う。昔からあるという点で幅広い年齢層で使われていることが理由かもしれない。そして「笑」は文章中で使っても漢字であるが故に、ある程度畏まった感じを残してくれる。

また、「笑」は文章を緩くするという特徴もある。以下の文章は先輩と後輩のメッセージの文章を想定したものである。

「来月頭ぐらいに飲みにでも行かない?」
「いいですね笑何日にしましょうか?」

「来月頭ぐらいに飲みにでも行かない?」
「いいですね。何日にしましょうか?」
①の文章は2文目の後輩の文章で「笑」を使ってみた。先輩という立場ではあるが、ある程度親しいため、硬い文章では2人の距離が遠くなってしまう。その問題を「笑」で見事に解決している。しかし②はどうだろうか。文章からじんわりと先輩と後輩の距離感を感じないだろうか。先輩と後輩という関係性であることに変わりはないが、親しい雰囲気がなくなってしまっている。

また「草」は、記号としてではなく、形容詞として使われる。次の文章を見てほしい。
「それは草」
これはとある会話の1部を抜き出したものであるが、「草」という言葉が形容詞や動詞として使われている。意味としては「草」=「笑」であるので、「それは笑う」、「それは面白い」となる。わざわざ面白いと言わなくても、相手に漢字1文字で感情を伝えられるということは文章という点において、とても便利である。

ここからは各言葉の相手への伝わり方について話そうと思う。

今回は「笑」、「w」の2つに注目する。どちらにも使えそうな文章につけたパターン、それぞれの言葉に合いそうな文章にそれぞれつけてみるパターン、全く関係のない文章につけるパターンをあげてみる。

①「それな」
「それな笑」「それなw」

②「ありがとうございます」(笑に合う)、「そうなの?」(wに合う)
「ありがとうございます笑」「ありがとうございますw」
「そうなの?笑」「そうなの?w」

③「りんごは果物です」
「りんごは果物です笑」「りんごは果物ですw」

①は、どちらも違和感がないように感じる。その理由は今回使った文が若者がよく使うとされる文章を用いたことだ。比較的に若者が使う文章には文末に「笑」や「w」をつけていることが多い。そのため違和感が無くなった可能性がある。②については、雰囲気がガラッと変わった感じがする。ありがとうございます、の後につけるものとして「笑」だと、先程あげたように先輩、後輩という関係性が見えてくる。そして、「w」を使うとふざけてありがとうございます、と畏まった文章を使ったようにも捉えられる。この捉えられ方は見る人によって異なると思われるが、2つの文章に違いを感じざるを得ないはずだ。③に関しては両者意味がわからない文章になってしまっている。使わなさそうな文章に使っているから、そうなって当たり前なのだが、「笑」や「w」をつけることでどこかふざけた感じを醸し出している。

また、最近では使う必要も無い文章に「笑」、「w」多用する若者も増えているようだ。その理由として、使い慣れていた、毎回の文章に使うのが当たり前になってしまっている、などが挙げられた。中には、友人間での会話で「笑」や「w」使うことで微妙な空気になった時にその空気をカモフラージュすることができる、と言っていた人もいた。確かに、友人と言えど気まずい雰囲気が流れるタイミングもある。しかし、その際に「笑」などを使うと途端に先程までの思ったるしい空気感を軽いものにしてくれる効果を発揮する。次の文を見てほしい。
「明日遊びに行っちゃう?」
「明日遊びに行っちゃう?笑(またはw)」
上の文章では遊びに行く、ということをあたかも相手が必ず行くと言わざるを得ないような、断りにくい空気感を醸し出してしまっている。しかし、下の文章では、「笑」をつけることで遊びに行くこと自体が冗談と捉えることもできる。送った相手としては本当は遊びたいが、相手が予定があったり、そこまで私に興味が無い可能性を考慮し、「笑」をつけることで気まずさを回避していると見える。

このように、私たちは日常生活で様々な言葉を使うことで文章中で笑いを表している。たった1文字ではあるが自分の気持ちを相手の伝えることや、その場の気まずさを解消する効果があることがわかった。また、最近では、「草」の変化形として「もうそれは草超えて森超えてMollyfantasy(モーリーファンタジー)」という、短さが売りのものをわざわざ長くしてしまう、という現象が生じている。その言葉の多くはSNS上で誕生したものが多いが、いずれは社会でも普通に使われる言葉として生まれ変わる可能性もある。


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