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【イベントレポート】〜心理的安全性と個人・選手のパフォーマンスについて〜

こんにちは、iniasuの國正です。

先日、弊社主催でイベント実施をさせていただき、ボク個人としても非常に学びが多い機会だったため、振り返りも兼ねてnoteに向き合っております。
イベント登壇に快諾いただきました
・SVホッホドルフU19監督/U13監督 中野吉之伴さん
・一般社団法人フィールド・フロー 代表 柘植陽一郎さん
・一般社団法人日本スポーツコーチング協会 理事 稲田仁さん
へこの場を借りて感謝をお伝えしたいと思います。

イベントの概要

本イベントは、弊社としても初のリアルイベント。かつオンラインとのハイブリッド配信だったということもあり、オンライン参加の方の期待に答えきれていない部分も多々ございましたが、総勢60名の方にお申込頂いたイベントとなりました。

また、メディア取材も頂き、グラフィックレコーディングで「伝わりにくいコーチング」を「見える化」することにもチャレンジをしました!
▼取材メディア
「スポーツ指導者はZ世代の選手とどう向き合うべきか――各競技の専門家が語ったアプローチ方法とは?」 THE DIGEST

▼グラフィックレコーディング

グラフィックレコーダー :せな(三瓶聖奈) twitter:@_me_sena instagram:@seinaaaas2

本当に丁寧にまとめていただいているのですが、各所から本当に濃い内容だったがゆえに、まとめることが難しいとの声ももらっているぐらい学びのポイントが盛りだくさんのイベントでした。参加いただいた方々それぞれが持ち帰ったポイントは異なるかと思うのですが、ボク個人の中でのこの取組自体の振り返りとして以下の流れで書き綴っていこうと思います。

  • 開催目的と背景

  • 学び①:指導者・コーチの介在価値とは

  • 学び②:価値観の”違い”を受け入れることが「スタート」

  • 学び③:指導者・コーチのパーパス(存在意義)の重要性

  • 今後に向けて

開催目的と背景

事の発端は、弊社のテクニカルアドバイザーを務める境から「『ドイツの子どもは審判無しでサッカーする』の著者である中野吉之伴さんが日本に帰国するタイミングで、iniasuとしてイベント企画ができないだろうか?」と持ちかけられたことがきっかけでした。

また、日頃から「よりスポーツ現場にコーチング的な関わり方ができる指導者がより増えるためにどうしたらよいか」を考えている中で、弊社以外で活動されているスポーツコーチング団体同士を繋ぐような関わり方ができないかを画策していました。

そこで弊社としては、
①日本とドイツの育成現場における考え方、スタンスの違いを生で受け取って貰う機会
②国内スポーツコーチング団体を繋ぐ役割を担う機会
③より多くの方にコーチング的な関わり方が、今・これからの日本スポーツ現場において重要であることを知ってもらう機会

と位置づけ、イベントを企画・実行することにしました。

以降は、実際にイベントを実施しての学びについて3つお伝えできればと思います。

学び①:指導者・コーチの介在価値は、WhyとHowを自ら考えるきっかけを与えること

今回、中野さんの基調講演の中で印象深かったことは、「ミスをした際の対処法」として、「認める」→「分析する」→「解消する」の3ステップで関わっていくことが大切というお話がありました。また、やりがちな失敗例として、解消するアプローチ(例:なんでパスを出さないんだ!)から入ってしまうことであると。

改めて重要だと感じたこととしては、「WhyとHowがセットで提示されること」である。

一定の経験や知識を有する選手レベルであれば、Whyを問うだけで自らHowに行き着くケースもあるだろうが、経験や知識の浅い選手ははHow引き出しが少ないがゆえに、誤った選択肢を取りかねない
また、Howだけ伝えたとしても、異なるシチュエーションでの応用が効かなくなってしまう

中野さんの言葉の中で「いつどこでどのように」といった、5W1Hを意識してコミュニケーションを取っていることに気がついた。

「きっかけ」
コーチング的な言葉に置き換えると「視点」になりますが、これを増やすためにも5W1Hのフレームを指導者が持っておくことが大切であり、いつもWhyばかり問いだけでは話が進まない。

「なぜ、あのプレーになったのだろうか?」
だけではなく、
「いつそのプレーに切り替えようとしたの?」
「その時誰が見えていたの?」
「何を持ってそのプレーを選択したの?」
などの問いかけにより、
起きた事象を多面的に捉えられる(Whyの拡張)ようになり、その中で選択肢(How)が増えていく。これこそが指導者/コーチの介在価値ではないかと感じた。

学び②:価値観の違いを受け入れることが「スタート」

学び①で触れた「認める」ことに特にフォーカスした内容だが、大前提として指導者/コーチが「上」で、選手/子どもが「下」という上下の関係性になっていないだろうか?

中野さんや柘植さんのお話をお伺いする中で「そういう考え方もあるよね」と相手を承認するコミュニケーションを”自然と”取れているように感じた。

「心理的安全性」。何を言っても受け入れてもらえる関係性が成立していてこそだが、いきなり「あなたの価値観を教えてほしい」と伝えてもなかなかん難しいと思う。

選手がプレーをしている姿を見て、
「僕からは〇〇のように見えていたけど、今のプレーで意識していたことは?」
など、指導者/コーチの視点(価値観)も伝えつつ、選手/子どもの視点(価値観)を知りに行く。

僕が現役だった6年前なんかはまだ練習を長くやっているやつ=頑張っていると評価をされていた時代。自主練という名の強制練習が当たり前だった。その価値観をそのまま今の現場に持ち込むとGAPが生じる。

最初からお互い理解し合うことは難しいが、お互いの違いは認識ができるはず。まずはここから。お互いが違っていることが悪いわけではない。

学び③:指導者・コーチのパーパス(存在意義)の重要性

Z世代に関するディスカッションの中で、「スポーツを楽しむ時間よりもスポーツ以外の時間も大切にしたいというプライオリティーになっている」というテーマになった。

練習時間を終えても物足りなさを感じ、練習している選手がいたとする。
何が物足りなかったのかに向き合っていかないと気がついたそのスポーツの楽しさを知る前にやめてしまうかもしれない。

とはいえ、長時間練習をすることが正しいのかというと二元論で片付けられるほど簡単なことではない。

指導者/コーチが「スポーツの楽しさ・やりがいを感じさせる事ができるか」=「夢中になって取り組める環境を作り出すことができるか」に向き合い続けることは重要なアジェンダであると感じた。

とはいえ、先に触れたとおり「個人個人様々な価値観がある

だからこそ、組織としてパーパス(何のために存在している組織なのか)と個人としてのパーパスを打ち出し、それに共感する人を集め、選手やその家族もチョイスをする。

中野さんの所属するフライブルグでは「育成」をど真ん中の価値観としておいた組織であり、高額の移籍金でビッククラブへ移籍することを否定するわけではないものの、本当に今移籍すべきなのかは選手の未来を見据えながら会話を重ねると言う。

パーパスに込められた価値観を理解した上で、同じ時間を過ごしながら高めあっていく、そんな事ができる組織が理想なのではないかと感じた。

今後に向けて

イベント後の登壇者の方々とのお話の中で、情報がもっと開かれて行くべきでもっと学び続けていくことが日本の指導現場には必要という話があった。

もっと学びたいと思っている人は日本中にはたくさんいる。ただ学ぶ機会や何を学んだら良いのかがわかっていないだけなのかもしれないとも思う。

ただ、生徒や選手に「もっと勉強しろ、学び続けろ」と言っているのにも関わらず、自分自身で学びの場を活用できていないのは本末転倒だ。

だからこそiniasuは指導者やアスリートにとって開かれた場所でありたいし、学ぶきっかけをこれからもたくさん作っていきたいと思う。

おわり

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