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自由ヶ丘の路面店に派遣販売員の面接に行った話

日雇い派遣で働きながら仕事を探していた時の話です。

販売から事務職への転職をするつもりでしたが、
事務経験なし(販売員だって事務仕事はするのにね)
資格なしの私には面接の機会すら与えられませんでした。

作業系の日雇い派遣の仕事は不定期で単発が多く、
安定した収入を考えるならバイトでもなんでも長期が良い。
この時の私は複数社の派遣会社に登録していましたが、
積極的な案件紹介があったのは販売を主とする派遣会社からでした。

派遣会社からの紹介と言っても、

①面接の前にショップを下見しに行く
(店の雰囲気、取扱商品が自分に合っているかを知るため)

②派遣先の人との面接
計2回出向くことになるのですが
その2回共に交通費(往復代金)は出ません。

ちなみにその日は、面接の時間優先で他の仕事を入れられないから無給
当然面接をしたからと言って仕事が決まるわけではない。

今は変わっているかもしれませんが、当時はこんな感じでした。
紹介はありがたいけど決まらなかった時には損しかない。

その会社からセレクトショップの提案を受けました。
お店のある場所は自由ヶ丘。
沢山のお店が並びカフェが充実していて1日歩いていても飽きることがないオシャレなところ。

流動客がメインの販売員からしたら地獄でしかない街。

それでも、
私は派遣だし、個人売りは持たされないだろう。
乗り換え多くて通勤は大変だけど、どうせ次が決まるまでのツナギだし

そんな軽い気持ちで面接に出かけたワタクシ。
駅前で派遣会社の営業さんと合流。
軽く打ち合わせをした後にショップ店長さんと面接をするためにカフェへ。

面接はお店のバックストックでは行われませんでした。
そのお店に休憩室がなかったのです。

簡単な経歴の説明をした後、美人だけどピリピリした雰囲気を漂わせた店長さんから言われた言葉は下記の通りです。

いくら売れます?
私は派遣だからと区別しません。
休憩室はないのでお昼と夕方の休憩は外に行ってもらいます。

その店長さんは自由ヶ丘へは移動でいらしたそうです、大阪から。
ショップの売り上げを上げるために、会社が個人売りの高いスタッフを回したんだろうなぁと思いました。

自由ヶ丘は土地の知名度が高い、ブランド力もある、けれど
人が集まる=売り上げが取れる地域というわけではない。
集客数で勘違いされがちですけどね。
自分も買う側としての経験があるのですが、お店が多いと商品を決めきれないんですよね、
次のお店にもっといい商品があるかもしれないと思ってしまう。
そしてお店がありすぎて、良いと思った商品があったお店を思い出せない、買いに戻れない。
流動客をキャッチする販売力があれば…って土地柄的にそれでも打率は下がります。
そして街全体が一見客ばかりなので顧客(リピーター)が作れない。

大阪でどれだけ売り上げが取れている販売員を移動させても、
商品や販売力で売り上げをカバーできる土地ではない。

その店長さんは張り切っていたんだと思う、
もちろん会社から重たい責任も負わされてた。
気持ちはわかるよ、でも働く側としたら、

お昼や夕方休憩を外に行かないといけない
(単価の高い自由が丘のレストランやカフェを利用するしかない) 
何かあっても店長が庇ってくれなさそう
(面接の時点で圧かけてくるってどれだけ余裕がないの)

そんなショップで誰が働きたいと思います?

面接途中からこれはダメだ〜と口数が減るワタクシ、
店長さんもそれを察し、営業さんが話すのみの面接の場に。
結果はもちろん先方からお断りされましたが、
例え採用されたとしても私の方から断りました。

好きな洋服、好きなブランドの為に頑張る気持ちはもうなくなった。

販売力はある、ノウハウも、売れと言われれば売れるだろう。
でも労働に見合うだけの対価を支払ってもらえない。
早起きして時間をかけたメイクにヘアセット、笑顔キープで1日立ちっぱなし、
売上のプレッシャーを背負い、フラれたお客さんを笑顔でお見送り、
そんなメンタルがすり減るだけの仕事はもう出来ない。

だったら1日無言で化粧品の箱詰め作業をする方がマシ