hikaruさん素材

AV女優やめます

ある日のこと、私はローマにいました。
フルマラソンに出るため
イタリアに行っていたのです。
42.195キロを完走し帰国の為
イタリアの空港で飛行機を待っている際、
専門学校の同級生の男子から鬼電がありました。
「お前、今やばいことしてない?笑
お前AVやってるだろ?ショート、巨乳で検索したらお前がでたんだよ!このこと専門のみんなに言いふらしといたから!笑」

もう頭が真っ白でパニックになり
すぐ電話を切ってしまいました。

そのあと浮かんだのが
親友3人に嫌われ、
親友を失ってしまう恐怖が襲ってきたのです。
真っ先に友人Aに電話したところ
すぐでてくれ、
私は泣きながら、
「私のこと知ってる…?
黙っててごめん、
嫌いにならないで友達やめないで」
言葉にならないくらい
泣きながら伝えたところ、
Aは、
「なんでそんなに泣いてるの??
hikaruならやってもおかしくないし、
むしろさすがっ!って思ったよ!!
だからびっくりもしないし、
友達やめるわけないじゃん!!笑
むしろ話いっぱい聞かせてよ^ ^」

またしても涙。
ステキな親友をもったなとおもいました。
そしてBとCに電話。
しかし何回電話しても
2人ともでてもらえず、
嫌われた。もう終わりだ…
そんな気持ちを抱えながら
飛行機に乗り日本に帰ってきました。

私の心はドン底お先真っ暗。

日本に帰ってすぐBとCに電話。
Bはでてくれまたしても
泣きながら伝えると、

「うん、色んな人から聞いたよ!
でもなんとも思ってないよ!
別に…そうなんだ〜って思ったくらい。
hikaruの人生なんだし
やりたいことやればいいと思う」
とまたしてもいい親友を持ったなと…

でもCは何回でても電話にはでてもらえず、
そのことをAとBに相談すると
「Cもなんとも思ってなかったよ!
そんなんで友達やめないし、
むしろそんなことで鬼電されても」と。

それならそうと電話にでてよーーー!
と内心思いましたが、
そのあとも普通にあってくれ、
友達の大切さを改めて感じ
大事にしていこうと思いました。
今でもご飯食べ行ったり
旅行行ったり仲良しです。

わたしはAV女優になる前から、
将来必ず留学に行くと決めていました。
看護師の仕事が辛かったので、
留学して生き方を考えてみたいと
思っていました。

AV女優になって、
忙しくお金とお酒に囲まれる
生活を送っていても、
その思いは消えませんでした。

自分で留学の申込みをして、
忙しない毎日を過ごしていたら、
カナダ留学する1ヶ月前。

留学をするときに、
AVはやめようと思って、
AV女優をはじめたので、
ついに辞める日が近づいていました。

何度も何度も、
留学を延期しようと考えました。

なぜならAVの仕事が
楽しくて仕方なかったし、
もっと有名になりたいし、
お金を貯めたかったから。

今うなぎ登りの状態で
AV引退なんてしたくなかったのです。

当時一緒に呑んでた有名女優Hちゃんは、
「今辞めるなんて絶対もったいない、
このままいけばもっと上までいけるよ。
絶対やめないほうがいい!!!」と。

ほかの女優さんやメイクさん、
メーカーの方々ももったいないね〜

と言ってくださりとても悩んでいたんです。

なので社長に留学を延長するか
悩んでると伝えた所、
「それはよくないね。
確かに今のまま続けたら
賞とかもとれるしもっと有名になると思う。
ただそしたら
今度は辞めどきがわからなくなるし、
なんだかんだで留学することを辞めてしまう。
だから自分で最初に決めた予定通り
留学に今行くべき。」

と言ってくれました。

その言葉にホッとした気持ちもありました。
たぶん自分の中では
今留学に行く道を決めていたのですが
その一歩を悩んでいて、
きっと背中を押して欲しかったのだと思います。
そしてこの事務所はなんていい事務所なんだと思いました。

悪徳な所だと、
稼ぎ頭の女優を
引退させたりしなくないですか?

そんな事務所ではないからこそ
今でも社長やマネージャーさんのことが大好きなんだと思います。

AV引退の方向で話が進み、
引退作品はとったほうがいいとのことで
どこのメーカーでとるか悩みました。

なぜならたくさん私を撮影してくださった
メーカーが何社もあり、
皆さん可愛がってくれたからです。

でも
やっぱりここはデビューした所で
終わりたいと思いそのことを
プロデューサーさんに伝えました。

プロデューサーさんは
喜んで引き受けてくれました。

どんな作品にしたいかとのことで
1番素の私が出る作品にしてくれました。
なので台本などありませんでした。

会話も流れも素のまま。
そして私がウエディングドレスを着たいと言ったので、
ウエディングドレスでパッケージもとり
撮影もすることができました。

この引退作品が
最後の撮影ではなかったのですが、
撮影のカウントダウンが始まり
1ヶ月間は毎日泣いていた気がします。

なんの涙かな、
ホッとしたような、
もう終わっちゃうような、
寂しいような、
色んな体験ができて感謝のような、
色んな感情の涙だったと思います。

撮影も無事終わり
残すと所引退イベントのみとなりました。
引退イベントは
本当に多くのファンの方が
来てくださいました。

私は「ほっとけない笑顔」
のキャッチコピーで売っていたので
その通りずっと笑顔でいました。

ファンの方が
私をイメージして
ヒマワリのお花をくださる方も
たくさんいました。

イベント中ずっとウルウルでやばかったです。

でも、
もうこれでこの世界に戻ることは絶対ないのに
〝さようなら、バイバイ゛
と言えなかったのです。

そして自然と〝またね゛と言っていました。
不思議ですね。

イベント終了後には涙が止まりませんでした。
これで私のAV女優生活が終わりました。

本当に本当に楽しいAV女優の日々だったな。
なんか夢みたいであっという間でした。

皆さんに見送られ
私はカナダへと旅立ちました。

このときのわたしは、
わたしのAV女優としての人生は終わった。
もう一生AVを撮ることはない、
と思っていました。

Hikaru


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