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ままにや”イセヒカリ”ができるまで

イセヒカリを知っていますか?

「イセヒカリ」という名前のお米を聞いたことがありますか?
名前の雰囲氣から分かるように
伊勢神宮でうまれた品種で神米とも言われています。

イセヒカリ
1989年の伊勢を襲った台風によって
神宮神田でつくられていたコシヒカリは完全倒伏したのですが
数株だけ真っ直ぐに力強く立っている状態で生き残った稲が。

その種籾を育ててみると
明らかにコシヒカリとは異なる品種だということがわかりました。
神宮のような神聖な場所で栽培されてきた上に
台風で被害のなかった新種のお米。
そのため「奇跡の米」「神の米」と称されるようになりました。

数年は門外不出としていましたが
1997年にこれを改め
希望する神社に種籾が頒賜(はんし)されることに。
伊勢神宮の事務を司る神宮司庁の
「神様からいただいたお米なので、謹んでつくっていただきたい」
という思いから品種登録されることなく今日に至っています。

ちなみに
品種登録をされていないということは
種籾を自ら保存・使用し「イセヒカリ」という名を使って販売をして良い、ということになります。

茎が太く倒れにくい品種でもあるため
無農薬・無化学肥料・無堆肥といった環境でも栽培しやすく
自然栽培農家さんが扱うことが多いのも特徴です。

ままにやがイセヒカリを選んだ理由のひとつにそれがあります。
種をつないで来た方々が
できるだけ自然の生理に寄り添ってつくって来た方が多いであろうということは、種そのものがDNAとして自然と共鳴して生きる力を持っているのではないか、と考えました。
私たちは食べたものでできています。そういったお米を食べることはイコール、そういう力を育める、呼び覚ませる、とままにやは考えます。

そしてもうひとつ選んだ理由に
お茶碗で食べてもおむすびにして食べてもおいしい!という
使いやすさがあります。
全国的に好まれるコシヒカリよりも
硬くあっさりしていますが
食味値(米に含まれる成分を測定し、おいしさを総合的に評価した数値)が高いのも特徴。
皆さんにおすすめする時想像するのはご家族の食卓です。
お茶碗で食べても、おむすびで食べても、お弁当にしてもおいしいお米、助かりますよね。 


ずっと避けてきたお米づくりが突然に

こんな風にお米のことを語れるようになったのは
ほんの最近の話です。

実は2022年の秋、自然栽培実践学習会が始まる頃
講師の山田憲吾さん
「嶋田さん、おむすびやってるならお米やらないとね」
と、言われたんですよね。

その時
「え?え?!バレた!!」って思いました。
そして
「やっぱりそうか・・・」と観念しました。

実はわたし
畑はずっとやってきましたが
田んぼをやることは避けてきたんです。
おむすびずっとやってきたのに。

だって田んぼ絶対大変だもん。

畑だって大変なのに
田んぼはもっと大変だもん、絶対。

お米に関わった方がいいのはわかっているし
できるなら自分でつくりたいよ?
でも絶対大変だもん。
やりきれない、絶対。

というのを見透かされたような。
同時に
「だけどやっぱりそうだよね」とも思ったのでした。

憲吾さん、なんの思惑もなかったみたいでしたけど(笑)
もうそれ言われたら動かなくちゃいけないじゃないですか、って
足掻くのをやめて
「お米つくろう」と決めました。

それから「米づくり」を考える旅が始まりました。


自分でつくるのか?!本当に?!

まずどんな米をつくりたいのか見つけよう
そうスタートしました。
折しも新米の季節。
貴重なお米も買えるラッキーな時期でした。

コシヒカリ、ササニシキ、亀の尾、朝日、ヒノヒカリ、農林22号・・・

わたしが試してみたのはこれくらいでしょうか。

やっぱりササニシキはあっさりしているんですよね。
朝日もそうでした。
おむすびにするには少しサラサラで
お茶碗で食べるのならたくさん食べられても負荷が少なくていいけれど
おむすびにするには若干むすびにくい。

だけどコシヒカリだとモチモチしすぎ。
ボリュームや「食べた感」を出すにはいいけれど
ちょっと粘りが強いよね。

そんな最中知ったのが「イセヒカリ」でした。

紹介文にもあるようにコシヒカリからの突然変異。
ということはコシヒカリの系統だよね?
モチモチ側なのでは?

おむすびでむすんで
お茶碗で食べて。

あー!両方いける!おいしい!
と思ったお米でした。

つくるならイセヒカリ!

そう決めたら
次はどこでつくるのか、です。

ご縁が繋がり
滋賀、大分、隠岐島が候補地にあがりました。

動けば動くほど夢中になりました。
やっぱりお米つくりたかったんだなー。
知りたかったんだなー。

だけどさ、、、、
埼玉県に住んでいるわたしが
滋賀県や大分県、隠岐島へ通いながら
お米づくりできる?

子どものいるわたしが
1ヶ月家を留守にできる?

到底できるわけないんですよ。

つくる!なんて息巻いたって
結局ちょっと関わるだけになっちゃうのは目に見えていて。

現地の方におんぶにだっこになるに決まっています。

そんなの「つくった」って言いません。

実際今年、大分での田んぼ仕事を2日ほどみっちり見せて頂いただけで
大事な時期にこれだけ張り付いていられるわけない、と思い知りました。

百姓やったら
1日全部百姓。
その覚悟はあるか?
氣力、精神力、体力が、あるか?

今のわたしは
悔しいけれど「ある」って言えませんでした。

そう降参した時
「種さえあればつくってあげるよ」と
言ってくださったのが根岸さんでした。


つくってもらう、という選択

田畑のことなんてまだまだ未熟で
まだまだわかっていないわたしが
ベテランの方につくってもらうなんて図々しいことできるわけないし
しちゃいけない。
そんなわたしの思い込みを
ヒョイっ超えて声をかけてくださった根岸さん。

ササニシキを食べてみたい、と心がほどけるおむすびの会の生徒さんに話したところ繋いでくださり「一度田んぼに来てください。そこでお話ししましょう」というお返事を頂いたのを機会に会いに伺った時のことです。

土を見せてくださり
どんな農法をされているかを伺いながら
「あー、この人、すごい人だ」と思いました。

有機農園ねぎぼうずの根岸さん


まず、技術や知識をすごく積み重ねていらっしゃるな、と思ったんです。

有機農法って幅がものすごく広いんですよ。
国が「有機って言っていいよ」って認めている農薬とか化学肥料とか、結構あるわけで。
そういうものを使っても「有機栽培」なんだけど
だけどそういうものを使わないで
土を観察してそこにいる生き物を観察して
天の氣、地の氣を感じながら毎日寄り添って
本当に必要最小限の有機物を取り入れる。

これにはとても膨大な知識と
トライアンドエラーの経験が必要だと
わたしは思っています。
それを25年やり続けて来た、そしてこれからもやるという忍耐と覚悟。
尊敬と感謝しかわかないです。

トロトロの土の田んぼ


そしてもうひとつは
自分のお米づくりに誇りを持ってやっている姿勢。

同時に
自然に対してとても謙虚。

この生き様が伝わってきました。

このバランスをとるの、実は意外と難しいと思っていて。
そしてそれをいつもいつも自分に言い聞かせているというのかな
努めているというのかな
そういう方は少ないよね、というのが主観であり所感なんです。

誇りを持つことと
自己掲示することは全く違うし

いかにも良いこと、という体で
コントロールしている方もいます。

謙虚でありながら
自分のやっていることに
自信と信頼を持つというのは
とてもとてもすごいことだと思うのです。

そんな姿をわたしは根岸さんから感じました。

農家はこの風景も守ってるんだよ、と教えてくれました


そんな根岸さんが
「つくってあげる」なんて言ってくださるとは。

神様の采配ってあるんだなぁと
帰り道、感動しまくりでした。

ちなみに種は
大分で縄文米をつくっていらっしゃる農rockerの和気優さん
快く譲ってくださいました。
『「つくってもらえる」その選択肢があるなら今のお前にはそれが合ってるんじゃないか』と応援までしてくださいました。
和気さんの種籾であることもまた
わたしにとっては特別で意味深いこと。心から感謝しています。


さらにお願いしたこと

それでもそんな根岸さんにわたしは
「何も入れないでつくってください」とお願いしたんです。

ほんっとにクソ生意気だと思います。
よくもまぁベテランの農家さんにそんなことが言えるなと。

図々しくてつくってもらうなんてとんでもない!
なんて思っていた謙虚さはどこへ行った(笑)

それでも
やってみて欲しかったんです。

根岸流の「できるつくり方」ではなく
純粋にイセヒカリのポテンシャルを知りたくて。

自然栽培がいい
慣行農法がよくない
そういう短絡的なくくりじゃなくて。

ただただ、種を撒いて実るという
単純な自然の生理で
どれくらいの可能性を見せてくれるのか。

販売となると
生産量とか、収穫量とか
数字に囚われることが多いのですが
そういったことにはこだわらないから
まずはつくってみて欲しい
そんな氣持ちでした。


いざ稲刈り

ほんっと職人技。感嘆しか出ません。

行ってびっくり!
まさかのはざがけ!天日干し!

えーー!!!ありがとうございます!!

ちなみに
稲刈り→脱穀→籾摺り
まで一気に終わらせることもできます、機械を使えば。
めっちゃ時間短縮になります。

だけどそれをせず
天日で干すというのは
自然に水分量が調整されることと
機械の熱にさらされることがないので
ひび割れしにくくなるんですね。
お米がお米らしく保たれる、という感じ。

有り難い配慮です。

それから
こういったはざ掛けのための長ーい太ーい竹も
手に入らなくなってきた、とおっしゃっていました。

手入れされている竹林が減ってきているからだそうです。
そうなると
ハザ掛けもできなくなっちゃう。

自然界って本当はいろんなところが共同体なんだね。
どこからとかどの分野が、とかじゃなくて
もう氣づいた人が氣づいたところからやるしかないんだろうな。


そして乾いた頃と雨の合間を見計らって
8日後に脱穀のお手伝いへも。

脱穀も性格出るのよww


そしてハザ掛けの竹の片付けも。
脱穀よりこっちの方が大変(笑)

これも来年また使う時のためにコツがあるし
この積み方、ホントすごい職人技!


そう、結局米づくりって
知られている作業(田植え、とか、稲刈り、とか)より
段取り、片付けの方が
よっぽど時間かかるし手がかかるんだよねぇ・・・・

というわけでこの日の作業も片付けもしっかり完了させ!
あとは籾摺りを残すのみとなりました。

あと2週間くらいで
イセヒカリ新米が届く予定です。

ここから種籾を残し来年に繋ぎます。


どれくらいの出来でしょうか。
思ったよりも少ないかも?
だけどいいんです。
今年こうやって実ったこと、繋げたこと、それが本当に嬉しいし有り難い。

総量の連絡いただくのが楽しみです。


ちなみに(ニヤリ)
これだけのイセヒカリの藁がでたので
納豆づくりワークショップも開催します〜(嬉しい!)

積めたキセキ!これで運転するんだから驚きw


最後に

根岸さんのご紹介

今回のイセヒカリは
完全委託栽培でお願いしているので
ままにやのみでのお取り扱いになります。

ですが根岸さん
ササニシキやコシヒカリもつくっていらっしゃいます。

体質的にモチモチ系のお米がNGな子どもをお持ちの方や
(アレルギー反応が出たり、たくさん食べられなかったり)
わが子がジュニアアスリートだったり
パートナーや家族にアスリートがいらっしゃる方に
ササニシキおすすめします。

お米をたくさん食べられるけど
重たくない、胃腸の負担が軽いのを感じられると思います。

それと根岸さん
すごくマメに日々の活動を更新されています。
(農家さんでそれできる方少ないんですよ!!)
ぜひサイトご覧になってみてください。
どんなことを大切にお米をつくっているか知ることができます。

ねぎぼうず >> https://negibouzu.org/


根岸さん、本当にありがとうございました。
引き続きよろしくお願いします!!

奥様の雄子さんも!ありがとうございます!


ままにやが大切にしたいこと

何を食べるか
よりも
誰が手をかけたものを食べるか

そういった選び方をしてもらえたらいいなと思います。

それが
食べる、ではなく、食べ続ける、に繋がると思うんですよね。

本当においしいものを食べ続けたいと思ったら
本物をつくり続けてくださる人を支えないと。
そんな応援の氣持ちも込めてお買い物をしてもらえたら、と心から願います。

ままにやでは
そんな本物をつくり続けてくださっている生産者さんと
直接お取引をさせて頂き、皆さんにお届けしています。

基本的には対面での販売です。
面識のある方のみ宅急便対応いたします。
お取り扱いの品やままにや出店日は
Instagramをご確認くださいね。

11月の新嘗祭weekには
イセヒカリで新米祭りを各場所で行います!
お楽しみに!!

▼塩や海苔のストーリーも掲載しています▼


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