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料理のプロセスはシンプル

料理の四面体
玉村 豊男 著


目次

Ⅰ 料理のレパートリー
Ⅱ ローストビーフの原理
Ⅲ てんぷらの分類学
Ⅳ 刺身という名のサラダ
Ⅴ スープとお粥の関係
料理の構造-または料理の四面体について

こんな人におススメ

・料理、食べもの、食べることに興味関心のある人
・料理のレパートリーを増やしたい人
・さまざまな国の料理が好きな人

心に響いたところ3点

料理のレパートリー

実は名前や由緒にこだわらなければ、基本の手順ひとつ知っているだけで、素人にも二〇や三〇のソースの種類はたちどころにつくりわけることができるのだ。
肉を炒めたあとのフライパンに”汁”を入れて油脂・肉汁をこそげ落し混ぜ合わせることをフランス料理の言葉で、”グラッセ(霜とり)と称するが、グラッセする”汁”のほうはワインでも生クリームでもブイヨン(出し汁)でもなんでもよいつまりこの”汁”を変えることだけでさまざまの種類のソースができることになる。

Ⅰ 料理のレパートリー

ホワイトソース、デミグラスソース、トマトソース、タルタルソース・・・思い浮かべられるソースの種類の少ないこと。
”グラッセ”と聞いて思い浮かべるのは「人参のグラッセ」くらい。
本来は肉を炒めた後の汁を使ってソースを作るだなんて。これだけで、私のレパートリーはかなり広がったようです。作れるかどうかはまた別の話?

刺身はサラダである

これがサラダであると認識できないならば、ハシをとって、皿の上にあるものをすべてぐちゃらぐちゃらに攪拌してみればよろしい。マグロの身もツマの野菜もすべて渾然とミックスして、その上から小皿の醤油を注ぎ、もう一度かきまわす。
どうだろう。ミックスサラダではないか。中略
ただはじめからぐちゃらぐちゃらと攪拌した一品を食卓に出すのが日本人の美学にそぐわないから、素材を別々に盛りつけて持ってくるだけである。

Ⅳ 刺身という名のサラダ

日本と特にフランスの料理に対する見方はかなり違うようです。フランスでは?「火」を使ってこその料理。切るだけの作業は料理人の仕事ではないらしい。
サラダって、野菜メインの食べものというイメージがあったのですが、刺身までもがサラダならば、料理の名前にこだわる必要すらないですね。


料理の四面体とは

これまでのさまざまな体験から、われわれは、料理の一般原理に介入してくる基本要素が、次の四つのものであることをたしかめた。
(1)火
(2)空気
(3)水
(4)油
料理というプロセスは、これら四つの要素がたがいに複雑に絡みあって演じるドラマであるといえる。中略
一方で、そうしたドラマを下からガッチリと支えるものとして、”料理以前”に登場して、しかも火と同じく不可欠な、ナマものの世界、がある。中略
信じてもらえるかもらえないかはともかく、なにかひとつの材料を、この四面体のどこか一点に置くと、ひとつの料理ができるのだ。そしてその点を移動させていくと、次々に新しい料理ができる。

Ⅵ 料理の構造ーまたは料理の四面体について


P232 料理の四面体②

何かしらの食材たちが、焼きもの、炒めもの、煮もの、揚げもの、蒸しもの、生ものと、いろんな調理法で料理されていきます。
日本人は特に、他国の料理を独自のアレンジで膨らませるのがうまいように思います。種類が豊富であるが故に、日々の献立に迷ってしまうのです。
いろいろな料理を作らなければいけないという、謎の強迫観念。
普段の料理って、もっと楽にシンプルになっていいんじゃないかなと、この本を読んで思い至りました。


この本の目的・目指すところ

料理の一般的原理を見つけることは案外やさしい仕事なのではないかと私は思いはじめたのである。大胆といえばひどく大胆、不敵といえばこのうえもなく不敵だが、得意の独断的原理により、わずかな実例から料理の一般的原理を強引に見つけ出してそれを呈示しよう、というのが本書の試みである。

うまい話の発端

感想

この本が出版されたのが、1980年。私とほぼ同世代。
世に出てからすでに43年になる本ではありますが、古さを感じない、斬新な視点だと思います。
料理を図形で表すって、どういうこと!?
タイトルから、早く答えをくれくれと読み進めていきました。

料理のレパートリーが少ないと嘆いていたけれど、
何事も難しく考え過ぎず、実はここだけ押さえればなんてことないんだな、ということが分かれば、意外と料理もスムーズに運ぶものですね。



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