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全身性エリテマトーデスという病気。

世間はコロナのニュースで持ちきりですが
その中にはコロナウイルスに罹ることで
免疫異常が起きるといったものもあるようです。
関連性があるか否かは定かではありませんが、
本日5月10日は世界ループスデーということで
私の患っている難病「全身性エリテマトーデス」
通称「SLE」についてお話ししたいと思います。

どんな病気なのか

SLEとは自己免疫疾患の一種で
膠原病(こうげんびょう)と呼ばれる病気に分類される病気です。

自己免疫疾患とは、体にウイルスや細菌が入った際に
それらを退治する免疫が何らかの理由で暴走し
正常な細胞や臓器までもを攻撃してしまう病気です。

SLEの男女比はおおよそ1:9で
圧倒的に女性に多い病気と言えるでしょう。
とりわけ妊娠適齢期の20代〜40代に発症する女性が多いです。
難病なので、治療法や発症の原因は未だわかっていません。

どんな症状が出るのか。
症状は、発熱、倦怠感、手足や顔への紅斑、
全身の関節・筋肉の痛み、内臓の病変、脳梗塞と、
正直並べればキリがありません。

実際私の症状はと言うと、
手足、腕、肘、膝への紅斑と関節痛、発熱、
体重減少、慢性胃炎、頭痛、倦怠感、すこーし腎臓が悪い
この辺りでしょうか。

これらが代わりばんこに、もしくは一度にきます。
徐々にの時もあれば、朝起きたら動けない
と言ったことも多々あります。
正直かなりキツい。

そのほかにも他の膠原病の合併症を引き起こすこともあり、
私の場合は軽度のシェーグレン症候群を併発しています。
(ほかにもありますが今回は諸事情あって省きます。)

SLEの特徴と気をつけること。

数ある膠原病の中でもSLEの特徴と言うと、
紫外線により症状が悪化する
と言うことです。これがなかなか厄介なんです。

私の周りの人は大抵私が病気であることを知っています。
でも、皆最初はどんな病気かは知らないので
もともと肌が白いのもあり
大体の人が太陽に当たった方がいいよと言います。笑
この病気のことを知らないのだから無理もないことなのですが、
現実は夏も昼間は長袖長ズボンもしくは日傘、
私は光線過敏症もあるのでサングラス必須です。
(暑くて具合悪くなることもあるので個人の裁量です)

夏、冬に悪化することが多く
夏は暑いのでかなり生きづらいです。

SLEだとわかった経緯

では、どうして私はこの病気が判ったのか
その経緯をお話しします。

話は高校時代に遡ります。
ある冬に手に大量のしもやけのような紅斑ができました。
北海道の冬は−10℃になることもザラで
しもやけだと思って皮膚科へ行きます。
皮膚科でも当然しもやけだと診断され
少量のステロイドが処方されしばらくすると1度引きました。
しかし、夏にもまた同じのが出ました。
再び皮膚科へ行くと血液検査をされるも
同じ薬を出されまた治ります。

あまり気に留めることもなく高校を卒業。
札幌に2年住んでる間も毎年続きます。
上京したのちも出ましたが海に行ったり
1年は普通に過ごしていました。

そして上京2年目の夏、事件が起こります。
例年のように朝から海に遊びに出掛けました。
夜になり帰路につくと、あれ、なんだか調子が悪い。
お酒も飲んでいたので、
その時は飲みすぎたかなぁくらいでした。
しかし次の朝。体が動きません。
全身が筋肉痛のような痛みに襲われ関節や皮膚まで痛い。
そして腕を見て絶句しました。
腕から背中から首のあたりまで全部に湿疹。

これはさすがにおかしいと思ったのと
少し心当たりがあったのですぐさま病院へ。
血液検査をしてその日は帰りましたが
次の週結果を聞きに再び病院へ。
すると、
「全身性エリテマトーデスの可能性が高いですが
ここでは精密検査ができないので大学病院へ紹介状を書きます。」
とのこと。予想が的中しました。

実は海にいる丁度その時、入院していた身近な人が
SLEと診断されたという電話が入り気になって調べていました。
無論、私が次の日にそんな状況になるなんて
想像もしていませんでしたが。
前日に読んだネットで読んだ情報と
あまりにマッチしていたのですぐに気付けた訳です。

そんなこんなで大学病院に行ったわけですが
初診から専門外来へ行ったので診断はサクッと出ました。

高校時代から悩まされていたあの症状も
生検(皮膚を一部切り取って検査する)をしたことで
SLEの症状であると認定されました。

診断まで時間がかかるものなのか

ここまで読んでくださった方は
あれ?と思ったのではないでしょうか。
なぜ高校時代の検査の時点でSLEがわからなかったのか。

SLEに限らずですが、
病気の診断には一定の条件を満たす必要があります。
条件に満たなかった場合には、診断はされません。
つまり、高校時代の血液検査の時点では
陽性反応が出ていた項目もあったかも知れませんが、
SLEの診断条件を満たしていなかったと思われます。
(もしくは、そこまで調べていなかったか)

確かにその頃は他に症状が出ていなかったのですから
その気があったにしろその時点では発症していなかったと思います。

治療薬について

SLEの治療についてはステロイドや免疫抑制剤を使うことが多いです。
私の場合はメトトレキサートと呼ばれる
抗がん剤の1種を少量使用し症状を抑えていますが
多くの方がステロイドを服用していると思います。

前述した通り、SLEはまだ治療法の見つかっていない
難病の一つです。
つまりは、出た症状に対し、対処療法を行うしかないので
根本的な治療はできないことになります。
さらに、それぞれの薬には病気に対する効果、
作用に付随して副作用が起きます。
薬についてはその人の症状に合わせ、
かつ、副作用によるリスクとの兼ね合いを考え処方されます。

薬の副作用

免疫抑制剤についても数多く使われており
それらの薬にもそれぞれに副作用があるのですが、
今回はメトトレキサートとステロイドの
2つの薬についてお話させて頂きます。

メトトレキサートの重篤な副作用としては間質性肺炎。
起きる可能性のある副作用としては、吐き気、嘔吐、肝障害、肺障害、
脱毛、免疫低下による膀胱炎など、様々な副作用があります。
私の場合は、脱毛、白髪、胃炎の悪化、膀胱炎などの
副作用が起こりました。
また、メトトレキサートは催奇形性が起こる可能性がある為、
妊娠中の服用は出来ません。

ステロイドの副作用としては免疫力の低下、白内障、大腿骨頭壊死、
血栓症、骨粗鬆症、脱毛など、こちらも様々な副作用が挙げられます。
万が一ステロイドによって骨が壊れてしまった場合には、
手術で人工関節を入れるなどの対処がなされます。
また、ステロイドはSLEの患者に使用した場合
投薬をやめると身体がショック状態に陥るとされ、
基本的には一生飲み続けなくてはいけないと言われています。
(まだ研究中につき、それについては多くの意見があるようです)

ちなみにどちらの薬も、
副作用を抑える為の薬を合わせて服用しなくてはいけません。

私の場合、もともとかなり骨が弱いようで
ステロイドの投与により、骨が壊れてしまう可能性が高いため
現在は避け、メトトレキサートで治療しています。
しかし、そのような副作用があったとしても
いずれは私もステロイドを使う時が来ると思います。

またステロイドにはムーンフェイスと呼ばれる
副作用があります。
以前テレビ番組に出演した際には
私が使用していないためにこれに関する内容が紹介されず
SNSで数人の方ににお叱りを受けました。
(カットされましたが実際のインタビューではお話ししていました)
今回はしっかりご説明したいと思います。

ムーンフェイスってなに?

ムーンフェイスとは満月様顔貌のことで
ステロイドを投与した際に顔や首、胴に
腫れたように脂肪がついてしまう現象です。
ステロイドには食欲の亢進作用もありますがそれとは別の話です。
正しい食生活を送っていたとしても薬の量が多ければ多いほど
ムーンフェイスの症状は出やすく、避けようがありません。

多くの方はステロイドの量が減ることで
だんだん元に戻っていきますが、
量を自分で決められるわけではありません。
お医者さんと相談し、身体の状況に合わせて量を決めますので
長期間ムーンフェイスと付き合って
生活しなくてはいけない場合も少なくないのです。

ステロイドはSLEだけでなく多くの病気の治療に使われます。
私のごく身近な子も多量のステロイドで治療を行なっていました。
SLEは特に若い女性が多いので、外見に出てしまう副作用は
かなり精神的にきついと思います。

なにも知らない友人から太ったねと言葉を掛けられた日には
最悪の気分になると想像されます。
投薬していることを知らなかったのかも知れません。
悪気があったわけでもないかも知れません。
でもこの記事を読んだ方はこのことを頭の片隅に置いて
言葉を発してもらえたら嬉しいです。

SLEとコロナウイルス

免疫抑制剤を飲んでいるのですから
当然、コロナには罹りやすいと思われます。
しかもステロイドや免疫抑制剤、抗がん剤治療をしている人は
重症化しやすいと言われていますので、かなり不安です。
でも薬はやめられません。
このご時世、皆予防しているとは思いますが
おそらく私たちのような病気の方は特に
ビクビクして生活していると思います。
早くワクチンや治療薬が確立され
終息することを切に願っています。

最後に

例によってかなり長くはなってしましましたが
これが私が説明できるSLEについての内容です。

この病気になると、楽しみも制限されるし
いきなり体調が悪くなったりするので
怠け者だと思われることもあります。
でも、コントロールできないのです。
生きづらいですが、付き合っていくしかありません。

健康な人でもいつ何時発症するかわかりませんし、
生活習慣に気をつけたところで防げる病気でもありません。

SLEを多くの方に知ってもらうことで
少しでも同じ病気の人が生きやすくなったり
ご自身や身近な方が原因不明の体調不良に苛まれた時に
もしかして…と気づくきっかけになってくれたらと思います。

以前、Twitterに書いたヘルプマークについての記事も貼っておくので
こちらもよかったら読んでみてください。


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