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400杯以上ドリップしたコーヒー屋さんデビュー

私が出会った師匠は、惜しげもなく

コーヒーにまつわる知識を

本当にたくさん教えてくれました。

師匠は普段、会社員として働く傍ら

奥様とご家族がコーヒー豆の販売を

されています。

師匠の自宅の離れには、

焙煎する工房があり、

飲食の提供は

かっこよくカスタマイズされた

ブルーの箱バンの軽自動車で、

飲食店営業の許可を取られていて

イベントの時に、この軽自動車を

出動させるとおっしゃっていました。




お店を持つより、

ランニングコストの

比較的負担のかからない移動販売の方法。

なるほどなぁー、と

多分その時からぼんやりと

私の移動販売のコーヒー屋の

外観が、頭の片隅にありながら

コーヒーの学びを

深めていくことになりました。


師匠の焙煎機は師匠の師匠にあたる

コーヒー屋の駆け込み寺のような

凄い人がいて、

メカメカしたロボットのような焙煎機は

その師匠の師匠が設置をされたそうです。

(近い将来、この師匠の師匠にも

出会えることになるのですが。)

しかし、現実的には到底買えないだろうなーと

夢のような焙煎機を時々使用させて

もらいながら、

師匠の焙煎のきっかけが気になりました。

(師匠の焙煎機は他に類を見ない珍しい焙煎機です!)


元々はアウトドア好きな師匠。

キャンプの時に使っていた

小さなアウトドア用の焙煎機から

始まったそうです。

さすがに私も最初から

大きな焙煎機には手を出せないな、と

思ったのと、

元々飽きっぽい性格なので、

ずっと続けられるかどうか?という

問題もあったので、

私もアウトドア用の100gほどしか

焙煎出来ない焙煎機を買って、

焙煎を学び始めました。

師匠から生のコーヒー豆を分けてもらい、

時間があれば焙煎をし、

コーヒー好きな友人知人に配りました。

まだその当時は手挽きのコーヒーミルしかなく、

コーヒーミルの無い人には

ガリガリガリガリと粗めのコーヒー豆を挽いて、

焙煎しては師匠に持っていき、

コーヒーの淹れ方を教わる傍ら、

時間だけは無駄にあったので、

コーヒー屋巡り、焙煎、ドリップなどなど

明けても暮れても

コーヒーの事ばかり考えていました。


そんな師匠のもとで

3か月くらいしたある日、

「今度、イベントがあるんだけど

そこでコーヒーを淹れてみないか?」

と誘われました。

まだ今のようにマルシェがさほど

無かった時でしたが、そのイベントは

とても素敵なイベントで、

憧れていたイベントでもあったので、

二つ返事で、

やります!と答えましたが、

今思うと、未熟過ぎる私が

コーヒーを淹れるなんて大胆な

イベントのクオリティの高さを

知らしめさせられる事になりました。



そんな憧れのイベントに

思いがけずに関わることが

出来た幸運な

コーヒー屋としての

初めてのお仕事は二日間連続。


しかし、二日分のコーヒーって何杯くらい

出るのか全く分からない。


何せ一度に100g程度ほどしか

煎れない焙煎機。

当日初日まで毎晩遅く

何十回となく、焙煎機を

回し続けました。


そして当日、

師匠が用意してくれたテントに

準備をして、イベントのオープンを

待つお客さんを見やり、

わぁー、始まっちゃうよ〜。

どうしよう、どうしよう。。。と

ドキドキして、

その場を逃げ出したくなる気持ちを

抑えながら、

(多分)強張った笑顔で最初のコーヒーを

手挽きのミルでガリガリ挽き、

一杯ずつコーヒーを淹れていたと

思います。


とにかく慣れていない事と

緊張とで、コーヒーの提供に

時間がかかり、

行列が長くなり、

手が痛くなり、

ついには初日の途中で

二日分として用意していた

コーヒー豆が無くなり、

急遽、師匠のコーヒー豆に

途中から変えて、

その日はなんとか終えることができました。


1日目を終えて、師匠が、

「明日のコーヒー豆はうちのを使う?」

と聞かれたものの、

自分が煎ったコーヒー豆じゃないと

意味が無いから、

帰ったら焙煎します。

と言い切って、

ほとんど睡眠を取らずに

何十回と焙煎機を回して

翌日も同じように

コーヒーを淹れました。


今思えば恥ずかしいくらい

上手く淹れる事が出来ないコーヒー

だったのに、

二日続けて来てくれた人や

「コーヒー美味しかったです」と

言いに来てくれた人、

わざわざ駆けつけてくれた友人知人、

師匠と師匠の奥様や私の家族の

おかげで、

二日間で400杯?

 ビックリする売り上げだった

(当時は一杯250円でした)ので、

終わってから驚いてしまいました。

そんな

無謀と無知と無経験(未経験)の

初めてのコーヒー屋デビューは

不思議な自信を持たせて

くれました。


ほんとに恵まれているなぁ、私。

って心から思えた

忘れられない二日間でした。









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