思い出〜第2章 光凛 vol.1〜
「こんにちは!」
都内某所のオフィスビルの中の大学受験対策を専門とする大手予備校の入口に、そう元気よく挨拶をする一人の少女の姿があった。童顔で少し高く個性的な声を持つとても小柄なこの少女は、高校生かどうかさえ怪しいほどに幼く見える。この光景を見たら誰もが少女のことをこの予備校の生徒だと思うに違いない。しかし、挨拶を終えた少女は小走りするかのような軽快な足取りで、受付裏へと回りスタッフルームの扉の前に立ち止まる。トトトンと扉を3回叩いた少女は、そのまま中へ吸い込まれて行