祖母とわたしの、ひみつの会話。
2018年1月1日、元日。
大抵の人が特別だと感じる、年に一度のこの日を、いつもと変わらない日常として過ごしている、隣りに居るこの人がたまらなく好きだ。
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隣りに居るのはわたしの祖母。
あだ名はふさちゃん、83歳。
わたしがカナダで生活をしていた時には、母はもう自宅と祖母宅を行ったり来たりする生活をしていたから、介護が必要になってから6年以上が経つ。
認知症も進み、ここ数年はわたしのことも孫として認識していない。
だからこうやってお正月や休日に会いにくると、一日に何度も「あら、どちらさま?」という一言から彼女との会話ははじまり、私たちは何度も何度も出会いなおしてきた。(わたしはこのやり取りが好きだし、関係性も気に入っている)
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そんなふさちゃんと今日もおしゃべりをしているときのこと。
彼女が急に声をひそめ、少し恥ずかしそうに、でも嬉しそうに微笑みながら、
「わたしね、あなたのことが好きだと思うの。」
と伝えてきてくれた。顔の前に人ひとさし指を持ってきて、“しー” っとポーズをとりながら。
好きだと〈思うの〉 ーそう、彼女はわたしが誰かはもうよく分かっていない。でも、それでも一生懸命、奥のほうにある気持ちを引っ張りだして伝えてくれたのだ、と思う。
愛しかないその言葉に、わたしは思わず泣きそうになりながら、同じように顔の前に手を持ってきて “しー” のポーズをとりながら、「わたしも、ふさちゃんのこと好きだよ」と言った。
わたしのこの気持ちが彼女にちゃんと伝わっていますように。
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ふさちゃんと“しー”ってひみつにする約束をしたけど、この会話も忘れ、明日また「どちらさま?」と聞いてくるであろう彼女のぶんも、このひみつを忘れたくなくて、noteに書き残すことにした。(ふさちゃんごめんね。でもきっと「あら、恥ずかしい」と言いながらも、ふふふと笑ってくれるだろうな)
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