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九州最大級のいちご園さんへ

先日、福岡県の八女市にある農業生産法人玄農舎さん運営「プーさんのいちご園」のイチゴハウスと育苗ハウスを見学させていただきました。

お忙しいにも関わらず長いことお話しさせていただき、気がついたら夕方5時30分。本当にありがとうございました。

簡単に「プーさんのいちご園」のご紹介。
・約1ヘクタールほどの大規模農園
・メイン品種の「あまおう」を含め、16種類(年によって異なる)の豊富な苺の品種
・各メディアに取り上げられ福岡(九州全体)で人気のイチゴ狩り園
・農場スタッフとして正社員やパートさんを雇用する、高設栽培の大規模農業経営を行う

早速苺ハウスへ


宮崎出身農大卒の社員さんのご案内で、まずは観光農園を行う苺ハウス内へ。若くて体格も良く、めちゃくちゃ良い人でした。

驚いたこと その1。 

通路の広さ!
入ってすぐに「ひろーい!」 とつい声が出たほど。
うちでも1m20はとっていて車椅子も入れるのですが、さらに広い。1m50ほどかな。
ほとんどのハウス内の通路が、車椅子のお客様が安全に楽しんでいただける様に通路幅は広くとってあります。
いろんな苺ハウスを見てきましたが、ここが一番広い!
通路が狭いと、苺が服やバックに当たることで汚れたり、もちろん苺には傷がついてしまうような観光農園も多くあります。

広くとることは良いことですが、実は勇気がいることでもあるんですよ。

ハウスの大きさ(面積)はだいたい決まっています。ですから通常、高設栽培を取り入れる時は、同じ面積に栽培本数を最大化して売上を最大化したいわけです。
例えば1棟のハウスに高設4列入れるより、6列入れた方が良い。
となると4棟のハウスを運営するなら、4列では計16列。6列では計24列です。差は8列。4列で同じ栽培本数にしたいなら、ハウスが6棟立てないといけないので、土地代ハウス代資材代が乗っかってきます。ですから通常の農家さんは狭くても作業できる範囲で、最大本数植えたいわけです。

通路幅を広くすることは、仕事をする上で作業効率を上げること以上に、お客様のことを考えないと決断できないことなんですよ。
とはいえ、ある程度資金が必要ではありますが。

その2

品種の多さ!
なんと16種類!もちろん毎年異なりますが、多すぎでしょ。

わかりやすく、頭上に品種名や特徴が書いてありますが、どれから食べようか迷ってしまうよね。
もちろん「あまおう」がメインなので一番多いのですが、これは管理も大変よ。本当に大変。

お客様は多すぎて迷うかもしれないけど、ワクワクして味の変化が楽しいと思うよね。

その3

ここ2年ほどはコロナの影響で、お客様の制限も行なっているとのこと。
そこで1時間で入れる人数制限は300人まで。

えっ、300!!! すごっ!!!
全ての期間ではないにしても、1日平均でもすごいお客様数なんだろうな。

それだけ広大なハウスと敷地ですが、すごいな!
朝10時オープンですが、お客様は8時には駐車場にきて整理券持って、車で待ってるとのこと。
どんだけ人気なんだーーー!

売上高もコロナでそうとう落ちこんでるそうですが、それでもびっくりの数字でした。

その4

観光農園ならではの顔はめパネルも用意されてます。楽しいね。
いちご狩りだけではなく、贈答用の苺箱もご用意してあります。こちらの売上も良いとのこと。
そして苺のスイーツやソフトクリームも楽しめるお店も併設してあります。
こりゃ子どもも楽しめるね。

その5

観光ハウスとは別の場所にある育苗ハウスへ移動して、こちらも見せていただきました。
当たり前ですが、ハウスの数!苗床の多さ!
多くの品種を栽培しているため、品種によってポットの色分けがしてありました。
新しく建てた育苗ハウスの上にはソーラーパネルがあります。
また、苗床の床にはレーンが設置してあり、コンテナをおいてスライドさせることで苗運びもスムーズに楽にできる工夫がされています。
雇用されてる方がパートさんも10名ほどいらっしゃって、女性が多いため作業効率を考えてる様子をいろんな箇所で発見でしました。

その6

これほど大規模農業を運営されてるとこでも、雇用することの大変さについては、長く詳しく話をさせていただきました。

いちご園がある場所は福岡県八女市。人口は約6万1000人です。福岡県でも県南に位置して、熊本県や佐賀県に隣接しています。
ちなみに近くの久留米市は人口約30万人、福岡市は約153万人です。
八女市は2010年には約6万9000人の街でした。それが12年で8000人も減少するとうい事実があります。
地方も都市部一極集中が加速しています。

今は、雇用するために求人を出すだけでは、なかなか難しいとおっしゃていました。地元では若い方の雇用は難しくて、必然的に県外から意欲ある方を採用してることが多いとのこと。

パートさんもほとんどが地元の10年来のベテランパートさんが長く在籍しています。
ただ、社員さんは、3年もてば良いと。それも相当の覚悟がある方でないと続けるのは難しいです。
「農業をやってみたくて」「苺が好きだから」「地方に住んでみたくて」では農作業の仕事は続かず、短くして辞める方が多いのが現実です。

そのため、農場部長は面接を行う前に、イメージとは違って過酷な現場であると伝えています。
普通の会社みたいに勤務時間も休日も必ずしも計画通りにはいきません。暑いし、寒いし、汚れるし、雨に打たれるし、苺シーズンでは朝イチから夜まで働くよと。その変わり、閑散期に勤務時間を短くしたりと年間通して勤務調整させていただくことを、包み隠さず正直に仕事内容を伝えた上で雇用契約を行なっています、とおしゃっていました。


とはいえ、あえてここに書かせてもらうと、農業も多種多様で仕事内容も変化します。そして作業効率も昔に比べて劇的に良い方へ進んできています。
これから先、きっと農業全体も良いイメージに変化すると信じています。
未来あるお仕事であることは確かです。

地方の雇用は難しくなることは確かです。
ですが、それだけに会社としてもいかに仕事のパーパスやビジョンやこれまでのストーリーを発信していくことがとても大事なことだと思いました。

多くのいちご園を拝見してきましたが、これからも足を運んで、お話しさせていただき、自社農園へ良い部分を取り入れていきます。

そのほかにも多くのことをお話しさせていただきました。
まだまだ具体的なアドバイスなどは心に秘めて頑張ります。
この度はありがとうございました。
またね。


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