胃にぱんをしずめて
胃にぱんをしずめてそうして窓際にボトルを立ててねむるのでした 蒼井杏(『瀬戸際レモン』)
短歌を読んでいたら、ちっちゃなナゲット、という言葉が出てきて、ちっちゃな、っていいな、と思った。
私たちはこの世界でちっちゃな何かを探す使命があるんじゃないかと時々思う。
うろうろしながら、この世界のちっちゃなを探す。
ちっちゃなナゲットを見つけた人は一つのちっちゃなを見つけた。
私はちっちゃなはしごを見つける。
これはなんのためのはしごだろう。
こんなちっちゃくては誰もどこにも登れないのに。
でも覚えておこうと思った。
春の光の中でちっちゃなはしごを見つけたんだよと後で誰かに話すために。
最近図書館に通っているけれど、ちっちゃなぱんを食べた人が薄く眠っているところをよく見る。
彼らはとても小さく眠る。
きっとすぐ帰ってくる。
こっちの世界は人が多いし、探せばすぐに大きなおにぎりなんかもある。
熱いお茶があり、会いたい人がいる。
こっちの世界にいるのに、こっちの世界がうらやましくなってしまった。
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