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五煎目:東道盆(とぅんだーぼん)ってどんなものですか

東道盆は琉球漆器

琉球漆器は、琉球王国時代から伝わる伝統工芸品であり、木製品に漆を塗って加工したものです。東道盆(とぅんだーぼん)の呼び名は「春秋左氏伝」(中国の歴史書)の中の、遠来の客をもてなすことを意味する「東道の主」に由来しているといわれています。

元々、東道盆は琉球王国の宮廷料理「五段のお取持」(ぐだんぬぅうとぅいむち)の料理の一部であり、その料理を盛りつけるための漆塗りの蓋付きの盆を指していました。
現代のオードブル皿のように、小皿にごちそう(酒のつまみなど)を盛って使用しており、多くは公式な宴会や個人の祝宴、客人のもてなしの際に用いられたそうです。

東道盆は漆塗りの琉球漆器で、円形や長方形、正方形、八角形、六角形など、外観はさまざまです。中には小皿が組み込まれていて、盆の形や大きさに応じて5枚、7枚、9枚など、中国では吉数とされている奇数の小皿が配置されています。なお、ぶくぶく茶に使用される東道盆は主に円形です。

琉球漆器の歴史


琉球漆器は、14~15世紀頃の琉球王国時代に始まり、中国から伝わった技法が琉球で独自に発展し、「琉球漆器」として知られるようになりました。琉球王朝時代(15~19世紀)には、首里城に「貝摺奉行所」という役所が設けられ、漆器作りを専門に行っていたようです。

漆器は、木製品を保護し美しく仕上げるために漆を塗る技法のことで、日本各地に産地があります。漆を乾燥させるには温度と湿度が必要ですが、沖縄の年間平均気温は22.4℃、湿度77%の環境は漆器作りに非常に適しており、発展しました。 また、漆器のベースとなる木製の器は、主にデイゴという木から作られていました。デイゴは柔らかく加工しやすい特性があったため広く普及し、現在では沖縄県の県花としても知られています。

ちなみに、ぶくぶく茶で使用されるぶくぶく鉢も同じ木材でできています。現在は様々な木材で作られていますが、もともとはデイゴから作られたものが正式のようです。

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「ぶくぶく茶とは|福を呼ぶ、琉球伝統の茶道」普段着物研究所
https://www.daily-kimono.tokyo/p/blog-page_22.html


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