ハローグアム #7(終)
ぼくらは、翌朝の3時に起きた。
睡眠時間、約3時間である。
安いツアーだからしょうがない。まだ起きてない頭を無理やり起すため、冷たい水で顔を洗い、気合を入れた。
ホテルのロビーには、朝の4時集合だ。ツアー会社が手配してくれたバスがぼくらを空港まで送ってくれる。
ロビーには、はじめましての日本人が多かった。3日間、滞在したが、すれ違いもしなかったのが不思議だった。
社員であろう現地の女性が、1人ずつ名前を聞いて、手に持っていた紙にチェックを入れる。ロビーに集まった日本人は、当たり前だがみんな眠そうだった。
バスの窓からは、来たときには見えなかったグアムの街並みが見える。
もう帰るのだ。来てみればものすごい早い。
違う国で過ごした時間は、刺激的で、毎日が発見に溢れていた。
飛行機は、定刻通りにグアムを離陸した。
窓の外を見ると、雲の上にいた。きらびやかな朝日が機体を照らしている。
果たして、ぼくはこの旅で何を得たのだろう。
古い自分を捨て、新しい自分になるのだと意気込んだが、新しい自分になることができたのだろうか。
たしかに言えることは、ただひとつ。
海外を無闇に怖がっていたぼくが、恐怖心や心配ごとを乗り越えて、海外に行ったということ。
人はそうそう変わらないかもしれない。けど、人はちゃんと変われる。
もしかしたら、「できない」と思っていることは、「できない」と思い込んでいるだけかもしれない。
成田空港には、朝の9時頃に着いた。2日ぶりの日本である。
帰りの電車では、疲れもあってか、あんまりしゃべることはなかった。車窓を流れる見慣れた景色を見ながら、ただ電車に揺られていた。
地元の駅につき、友達と別れ、家のドアを開ける。すると、犬が勢いよく飛び出してきた。しきりに、キャリーバッグやぼくの服のにおいを嗅ぐ。
グアムの匂いがするのだろうか。
犬の歓迎もそこそこに、ぼくは、バッグを開け、すべての荷物を取り出した。家族用のお土産は、リビングの机の上に置き、洋服や靴下などを洗濯カゴに投げ入れる。そして、コンタクトを外し、犬を引き連れ、ベッドに倒れこんだ。
犬は、ぼくの体にぴったりと寄り添って、毛づくろいをし始めた。
ベッド横の机の上には、オバマの栓抜きが置いてある。唯一形に残るお土産だ。
オバマは、言った。
「YES WE CAN」と。
ほんとうにそうなのかもしれない。やれば、できるのだ。
机の上の小さなオバマは、まるでぼくの思いに呼応するかのように、白い歯を見せて笑っていた。
おわり
Twitter:@hijikatakata21
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