ハローグアム #5
海が近くにある生活というのはいいものだ。
ぼくらは、グアムに初めて来た日と同じように、朝起きると、ABCストアに寄って、軽食と飲み物を買い、海へと向かった。
相変わらず、暑い。日焼け止めなどまるで効果をなさず、すでに肌は茶色に変色していた。空は、相変わらずの青く澄み渡っていて気持ちがいい。
この世の楽園には、徒歩5分で着く。
友達は、海こそが自分の故郷とでもいうように、すぐに海と一体化した。初日と同じように、人はほとんどいない。ほぼ貸し切り状態だ。
ぼくは、ヤシの木が作った木陰で、さきほど買ったスパム握りを食べる。
これがびっくりするくらいおいしかった。期待を上回ったというか、申し訳ないけど、ほとんど期待していなかったのだ。
よく食事は誰と食べるかが大事だといわれるが、どんな場所で食べるかも大事らしい。
晴れた朝、眼前に広がるエメラルド色の海と、青い空、白い砂浜、このような素晴らしいロケーションでは、食べるものも3倍ましでおいしいことに気付いた。
もちろんスパム握りは、どこで食べてもおいしいので、グアムに行った際はぜひ。
そしてもうひとつ発見したことがある。
グアムの蚊は、しつこい。
砂浜に座って、海を眺めていたら、不意にブーンというあの耳障りな音がする。穏やかなグアムの朝がぶち壊しだ。
どうやら後ろの茂みの方から、蚊はやってきたらしい。
ぼくは仕方なく立ち上がり、その茂みから離れた。が、蚊はまるでハイエナのように追ってくる。
根負けしたぼくは、蚊の追跡から逃れるべく、友達にひとこと言って、砂浜の端の方まで歩くことにした。
歩いていく方面には、人がたくさん見えるし、海にはカラフルなボートがいくつか浮いていた。ぼくらがいたところから、およそ300メートルもないくらいだったが、ずいぶんにぎわいが違う。
そこにいる人たちは、どうやら海から徒歩1分もかからないホテルに泊まっているらしかった。ホテルは砂浜と直結している、ロビーを出たらすぐ海だ。
この世の楽園まで、徒歩1分である。
端まで来たので引き返すと、途中でチャペルの存在に気付く。砂浜からはすこし高台にあって、そこから海を一望できる。やはり新郎新婦は、ほとんど日本人なのだろうか。
もといた場所まで帰ってくると、友達は沖の方でまだプカプカと浮いていた。
2日目にして、ぼくも、ようやく海に入る。コンタクトをしていたので、顔をつけずに、浅瀬でチャプチャプ。小さなフグが海藻の間に隠れているのを見つけ、しばらくその姿を追う。
すると、砂浜の向こうからバギーが疾走してきた。
近づいてくる運転席を見ると、グアムの警官が2人乗っていた。遠くからでもわかるくらい彼らの体はムキムキである。こんがりと焼け、鍛え抜かれた上腕二頭筋が否応なしに目に入る。
この地での悪事に対応するには、強靭なフィジカルが必要不可欠なのであろうか。
ぼくは、海に浸かりながら、悪いことはするもんじゃない、となぜか気を引き締めた。
Twitter:@hijikatakata21
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