4月に読んだ本、簡単なまとめ。
1、冬のUFO 夏の怪獣 クリハラタカシ
『冬のUFO 夏の怪獣』クリハラタカシ
— ひじかたかた (@hijikatakata21) April 10, 2019
全編フルカラー漫画。奇妙で、あたたかくて、懐かしくて、ゆるくて。この作品の世界観をなんて表現したらいいんだろう。
ひろしとみどりの愛おしいやりとり、キョーコさんの奇想天外っぷり…。
とにかくずっとこの世界に浸っていたい。 pic.twitter.com/68OR7wc4kv
1ページ目を読んだ瞬間、いきなり心を掴まれた。これはたまらなく好きな世界観だと。ひとつひとつのセリフのワードセンス。それぞれの物語に流れるなんともいえない緩やかな時間。空想と日常の絶妙なバランス。画面の鮮やかさ。効率的な世界から漏れてしまった、意味のない愛おしい世界がここにはある。これは忙しすぎる現代に向けた、一種の啓発書なのかもしれない。特に、ひろしとみどりのやりとり、キョーコさんの奇想天外っぷりは必見。
2、思い出トランプ 向田邦子
『思い出トランプ』向田邦子
— ひじかたかた (@hijikatakata21) April 16, 2019
人物描写が怖いくらいにリアル。著者は人間誰しもが持っている、後ろめたさ、弱さ、醜さを巧みにあばきだす。
一篇一篇は短いが、その数ページに人生の悲哀がつまっており、自分の中のダークな部分が引っ張り出されるようで、読んでいてヒリヒリした。 pic.twitter.com/x7cxtG7QUL
向田邦子のエッセイは何作か読んだことがあったけど、小説ははじめて読んだ。それぞれの作品はありふれた日常の些細な場面を描いているのだけど、それがドラマになるのはすごい。人間心理というか、心の深いところまで分け入る観察眼には、お手上げだ。どうしたらここまで、人間を知ることができるのだろう。生き生きとした人間が描けるのだろう。一人一人の登場人物が、自分たちのすぐ身近にいそうな空気をまとって、小説の中にいる。人間誰しも持っている、嫉妬や脆さなど、いわゆる闇の部分を描いているが、そこまで嫌悪感なくスラスラと読める。
3、風の影 カルロス・ルイス・サフォン
『風の影』カルロス・ルイス・サフォン
— ひじかたかた (@hijikatakata21) April 24, 2019
ある一冊の本に出会ったダニエルは、著者である謎の作家の生涯をたどるうちに、愛と憎悪の渦に巻き込まれていく。
「誰かしら覚えてくれている人間がいるかぎり、ぼくらは生き続けることができる」
バルセロナを舞台に過去と現在が交錯するミステリー大作。 pic.twitter.com/IUQERQr77t
かなり久しぶりに、長編小説を読んだ気がする。前後編合わせて、約800ページ。最後まで、読めるかなと不安だったが、先が気になってページをめくる手が止まらなかった。作品の中で、復讐と憎悪のみに突き動かされている登場人物がいるのだが、なんだかそのエネルギーの強さに圧倒されてしまった。尽きることない復讐の一念のみが彼を生き長らえさせている。人間が生きるための原動力、欲といってもいいかもしれないが、そういう心を奮い立たせてくれる強烈なエネルギーは自分にはないので、すこしうらやましくも思った。もちろん復讐心は人間をいい方に導かないので、絶対によくないと思うが、健全なかたちでの欲は持つべきなんだろうなと。愛するものを守るとか、なるべくストレスなく生きるとか。なんでもいいのだろうけど。
最後まで、読んでくださってありがとうございます!