7月に読んだ本。

日照時間が異常に短い、じめじめとした梅雨の気候と、ようやく出番とばかりに張り切ってでてきた夏本番の暑さ。

7月前半の不足分を取り戻すかのように、ここ数日、陽の光がさんさんと降り注いでいる。

しかし、太陽が全く見えないと、あんなにもうつうつとした気分になるとは。

暑いのはそんなに得意ではないけど、今回ばかりはまぶしい太陽の光にうれしくなる。

そんななか、今村夏子さんの芥川賞受賞のニュースは、うれしいできごとだった。今村さんは好きな作家の一人なので、これからもあの不穏さが漂う作品を存分に見せてほしい。

では、7月に読んだ本のまとめ。

1、まじめに生きるって損ですか? 雨宮まみ

この本に書かれているのは、家族や友人には打ち明けられない悩みだ。その悩みは個人的で、人によっては「そんなことで悩んでいるの?」「もっとつらい状況の人はいるよ」と言われてしまうこともあるかもしれない、けど当人にとっては大問題なのだ。その人が苦しいというなら、苦しい。人と比べて解決するものではない。悩んでいる人がいることは、誰かの救いにきっとなる。詳しい感想は下に書きました。

2、みんなの「わがまま」入門 富永京子

社会運動について書かれた一冊。中高生に向けて書かれているので、とてもわかりやすい。一見普通に見えても、人はいろんな問題を抱えている。声をあげること、その主張している内容が「わがまま」に見えても、言うことに意味がある。そこからいろんな議論が生まれ、解決に向かう道筋が生まれる。すぐに解決することは難しいけれど、言わなかったら一生解決しない。言いたいことが言えない世のなかでは息苦しい。社会運動を冷めた目で見るのではなく、どういう背景でこういうことを言っているのか、もしかしたらこういう事情があるのかもしれない、と一旦冷静になって相手の気持ちを考えることはとても大事だ。

3、ハバナ零年 カルラ・スアレス

キューバの作家は初読みだ。電話の発明者といえばグラハム・ベルだけど、実はアントニオ・メウッチというイタリア人科学者が先に電話を発明していた。この小説は、その証拠となる文書をめぐって繰り広げられる物語だ。メウッチという人物もそうだし、この小説の舞台である冷戦終結後のキューバの実情は、この本を読まないかぎり知ることはなかっただろう。この事実を知らないままで、一生を過ごすこともありえたと考えると、とても不思議な感覚になった。話を戻す。経済危機のキューバでは電気の供給が安定してないので、電話がほとんど通じない。電話が通じなければ、人に会うしかない。ぼくがいいなと思ったのは、ほんとうの意味での人と人の接触があることだ。『表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬(若林正恭)』に書かれていたけど、夕方になるとただ人と話すためにマレコン川の堤防に人が集まってくる、そんな描写がある。「会って、話す」ということがキューバでは、ごくあたりまえの文化として根付いているのかもしれない。あるがままに語り合い、笑い合い、悲しみを分けあう、その姿はとても人間らしくて、最高だ。

4、ナナメの夕暮れ 若林正恭

不器用で、めんどくさくて、考えすぎで、けどそうすることでしか生きていけない。だから、世の中と自分との間に生ずるズレを、ひとつひとつ解きほぐして、折り合いをつけていく。その過程は、やはりめんどくさくて、けど、まっとうで、人間って感じが溢れていて、とてもいい。この世の中、生きづらいけど、その生きづらさを前提として、いかにそのつらさを軽くしていくか。ラジオでも話していた話題が出てくると、「あのときの話だ!」となって、妙にうれしかった。

最近は、Twitterで話題になっていたルシア・ベルリン『掃除婦のための手引書』が気になっている。買おうか、買うまいか。


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