12月に読んだ本、簡単なまとめ

1、わたしのちいさな古本屋 田中美穂

著者の田中さんは、仕事を辞めたその日に、古本屋になることを決め、物件探しも会社を辞めた足ですぐに始めている。その行動の迅速さたるや。とにかく売る本はある。しかし、資金はない。じゃあ、古本屋だと、わりと安易に決める。けど、人生には、こんな瞬間があるよなと思う。なにかに導かれるように物事が進んでいく瞬間が。後先も考えないで、勝手に体が動く瞬間が。
最初は、わからないことだらけで、売る本もそんなにないし、買取の値段の相場もわからない。でも、いろんな人の助けやつながりのなかで、すこしずつ「自分の古本屋」になっていく過程は、とても面白い。
居場所は最初から自分にぴったりと合ってるわけではない。試行錯誤しながら自分で育てていくものだ。田中さんは、自分に合った場所を自らの手でつくったのだ。

2、櫛挽道守 木内昇

木内さんの書く作品はやっぱり好きだなと思う。人間の弱さや、醜さを描きながら、どんな人間も温かく見守り、肯定してくれる、そんな安心感がある。静かで、坦々としているが、その文章にはちゃんと血が通っている。彼女の書くものはわかりやすいハッピーエンドを用意しない。
いろいろあったけど、また苦しいことが起こるかもしれないけど、人生は続いていく。そんなここちよい余韻がある。読んだあとは、決まって登場人物たちのその後を応援したくなる。

3、あなたを選んでくれるもの ミランダ・ジュライ

月並みな感想だけど、本当にいろんな人がいるなと思った。彼女が訪ねていく人物はわりとパンチの効いた人々。かなり癖が強い。映画の脚本が行き詰って、なかば現実逃避的に、フリーペーパーの広告主を訪ねようと思わない限り、たぶん一生出会わなかっただろう人々。
ぼくらは、出会う人よりも出会わない人のほうが圧倒的に多い。けど、結果的にこの突発的な行動が、映画の脚本づくりのヒントになっていく。
ぼくは、これからどのくらいの人に会うのかわからない。けど、自分の行動範囲外の人と出会う機会は、たぶんこんな風に自分でアクションを起こさない限りないのだろうなと思う。ランダムに人と出会うのも違った刺激があって楽しいのかもしれない。

花田菜々子さんの「出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年のこと」もおすすめです。



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