たけのこ釜めし4

釜めしを食べに、銀座へ。

すっかり東京も涼しくなり、秋がやってきた。朝起きると、部屋はひんやりりとしていて、夜に吹く風は、もう冷たい。

あたたかいものが恋しい季節だ。

ぼくらは、銀座に向かった。

大きな道路沿いには、ブランドショップ、百貨店、飲食店などが上品に並んでいる。人通りも多く、とても華やかな場所だ。過ごしやすい気候も相まって、歩くのも気持ちいい。

晴海通りを築地のほうに向かって、進み、右折して、西五番街通りに入る。

しかし、目当ての場所が見当たらない。グーグルマップを見ながら、ウロチョロしていると、ようやく「鳥ぎん」の看板が見えた。

鳥ぎん2

お店はそこから、狭い道を進み、奥まったところにある。

鳥ぎん

時刻は12時すぎ。地下へと続く階段を降り、店内に入ると、ほぼ満席だった。さいわい、席が空いていたため、待たずに入店。

ここは、釜めしのお店だ。

早速、「筍の釜めし(950円)」を注文。生米から炊くため、15分ほど時間がかかるらしい。

さきに、きゃべつときゅうりの漬物をつまみながら、セットで頼んだ焼き鳥をほおばっていると、真打ちの釜めしの到着。

たけのこ釜めし2

蓋を開けると、筍の甘い香りが空気中に広がり、食欲を否が応でもそそられる。しゃもじでしっかりと混ぜ、お茶碗につぐ。

筍の食感と炊きたてのご飯のほくほく感が口の中で、合わさると、それはもう「うまい」という言葉しかでてこない。

上品な味付けに、心までが豊かになっていくようだ。

釜に張り付いているいわゆる「おこげ」の部分をそごうと格闘していると、隣のマダムが、「お釜に蓋をして蒸らしたら、取りやすくなるよ」と教えてくれた。

そんなテクニックがあるとは。どうりで周りのお客さんが食べてはいちいち蓋をしていたはずだ。ぼくらはそんなこともつゆ知らず、蓋をせずにずっと食べていた。

さらに、そのマダムは、自分が食べていた「鳥釜めし」をぼくらにすこし分けてくれた。銀座のまんなかで思わず、人のあたたかさに触れる。


そのあと、築地まで歩いた。

テレビで見たことあったけど、はじめて「築地本願寺」を生で見た。お寺なのだけど、日本というより、オリエンタルな雰囲気の建物だった。

ステンドグラスや白い柱、金に輝く大きな障子にパイプオルガン、シャンデリア…いろんな文化が混ざり合っている。

人でにぎわう築地の場外市場を抜けて、「波除神社」にてお参り。海老塚や玉子塚、すし塚があるのは、築地ならでは。

銀座に戻り、ギンザ・グラフィック・ギャラリーで、「日本のアートディレクション展 2019」を鑑賞。「星乃珈琲店」に入り、メロンソーダを飲む。アイスを溶かしながら、銀座の一等地で休憩。とても優雅である。

陽の落ちた銀座は、もう寒くて、昼の銀座とは趣がちがう。

通りに面したビルや建物に光がつき、たくさんの車と人が行きかい、別の世界になったみたいだった。鮮やかで、華やかで、すこし寂しくて。

いくつもの悩みが、夜の銀座ではとても些細なものに思えた。



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