11月に読んだ本、簡単なまとめ

1、生物から見た世界 ユクスキュル/クリサート

動物は、人間のように多くの対象物を識別できるわけではない。が、生きていくうえで最低限かつ少数の対象物を把握できればいいので、とてもシンプルだ。たとえば、ゾウリムシは障害物とそうでないものという識別しかないので、なにかにぶつかったら、あとずさりし、脇へずれて、ふたたび前に進む。唯一、その行動をとらないのは、エサとなる腐敗菌のみ。腐敗菌にぶつかると、はじめて静止する。このシンプルな世界観は人間からしたら、物足りないように思えるが、ゾウリムシにとったらとても確実な方法。悩む必要がない。人間の世界は、いろんなことが見え過ぎているのかもしれない。

2、ひとりごと絵本 100%ORANGE

身の回りに溢れる不思議なこと、変なことは案外たくさんある。それに気付いてないのは、日常に忙殺されているからだろうか。この本を読むと、主観的な世界って、なんてすばらしいのだろうと思う。自分が面白いと思うこと、それは自分だけのものであって、他人がどう思うかという視点はまったく必要ない。自分だけの世界を育て上げる、それはとても愉快で、楽しい。しかし、情報が溢れかえった現代ではこの上なく難しいことなのかもしれない。なにかに束縛されることなく、自由な気持ちを常日頃から持ちたいものだ。そんな感想を抱く。

3、男ともだち 千早茜

イラストレーターの神名にとって、ハセオは困ったときに助けてくれるヒーローのような存在。無条件で自分を慰めてくれるし、励ましてくれる。そんな彼女をハセオは、優しく受け止める。けど、その関係は友だち。神名は、友だち同士の適度な距離感がちょうどいいのだけど、自分を理解してくれる人はこの人以上にいないという、2つの選択の間で、揺れ動く。相手の小さな変化に気付いたり、相手の性格をその人以上に理解してくれる他人は、めったにいない。それを恩着せがましく言うわけでもなく、自然に言ってくれるハセオは、神名にとって、友だち、恋人以上に大事な存在。男女関係なく、人生のなかで、そういう関係性を築けることは、宝だ。

4、ちゃぶ台 vol.4「発酵×経済」号 ミシマ社

菌の世界というのは、なかなか面白い。「一般的によいとされているもの」を使うのではなく、その土地に根付いたもの(お米、水)を選べば、菌はちゃんと発酵してくれる。つまり、外に答えを求めるのではなく、自分たちの足元にあるものを見つめて力を引き出すことが肝要。自分には何か足りないと思いがちだが、それは足りないのではなく、自分の足元を見ていないだけなのかもしれない。必要なものは、もう揃っていて、その素材を生かせてないだけなのかもしれない。知的好奇心をくすぐる、とても有意義な読書時間だった。


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