ひじき

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参加している読書会の振り返りや、ちょっとしたお出掛けの記録など、日々生活する中で印象に残った出来事をエッセイ風に書いています。昔は変人と呼ばれることが多かったけれど、最近はむしろ発想が平凡とよく言われます・・・関西在住。好きな作家は森見登美彦さんです。

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    とある読書会メンバーの共同マガジンです。基本は本に関連した内容でありつつ、ルールは特に設けてないので、各々がそれぞれの目線で雑談など、気楽に投稿しています。

最近の記事

読書ノート『人生の短さについて 他2篇』(セネカ、光文社古典新訳文庫):その①

◆はじめに  今回は、光文社古典新訳文庫で出ている『人生の短さについて 他2篇』の読書ノートを書いていこうと思う。  本書は、古代ローマの哲学者・政治家であったセネカの代表的な作品を収録したものである。表題作の「人生の短さについて」には、岩波文庫版をはじめ複数の邦訳が存在するが、僕はとっつきやすさを優先し、光文社古典新訳文庫版で読むことにした(以下、本のタイトルを示す場合には『人生の短さについて』、作品そのものを指す場合には「人生の短さについて」と、括弧を使い分ける)。

    • ある夜中のつぶやき

       ここ1週間余り、書く営みが停滞している。  最初のきっかけは明白だった。『切支丹の里』の読書ノートを書き切った後、軽い燃え尽き状態になり、何も書く気が起きなくなったのだ。確かに、あの読書ノートは「どうしても完成させたい」という強い思いをもって書いたものだった。とはいえ、完成後の反動は予想より遥かに大きいもので、正直かなり驚いた。  もっとも、今から振り返ると、この反動が続いたのはせいぜい2、3日のことだったように思う。ではその先も停滞が続いているのはなぜか。これはもう、

      • 読書ノート『切支丹の里』(遠藤周作)

        ◆はじめに  今回は、遠藤周作の紀行・作品集である『切支丹の里』の読書ノートを書いてみようと思う。  しっかりした読書ノートを書くのは、1年以上ぶりのことである。かねてより「読んだ本のまとめや感想をちゃんと書かないとなあ」という思いはあった。だが、いざ書こうとする度、いつまでも書き切れないんじゃないかという不安に襲われ、躊躇してしまっていた(僕は元々文章が長いうえ、読書ノートをつける時にはある程度本を見返すので、どうしても時間がかかるのだ)。  ところが最近になって、

        • 久しぶりの家籠り

           台風がやって来るという予報だったので、今日は1日家に籠れるように支度していた。結果的にそんなに酷い雨風に見舞われることはなかったが、予定通り1日中家にいた。夕方になって、強風域に当たっていないことを確認してから、最近できていなかったジョギングに出掛ける一幕はあったが、まあ細かいことは置いといて、1日家にいたことにしておこう。  さあ、ずっと自由時間だ。読書をするぞ、雑記も書くぞ! ——と前日まで意気込んでいたのだが、結論から言うと、本を30ページほど読んだ以外はずっとダラ

        読書ノート『人生の短さについて 他2篇』(セネカ、光文社古典新訳文庫):その①

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          僕はときどき気配が消える

           最近、給湯室で一休みしていると、後からやってきた人に「うおッ!?」と驚かれることがよくある。  仕事の合間に一息つきたくなると、僕は給湯室に向かう。我らが勤め先には、あろうことかこのご時世に、喫煙所以外に公式の休憩所がないので、僕をはじめとするノンスモーカーは給湯室に身を寄せる。その部屋は、元々奥に長いばかりの狭い場所であるうえに、冷蔵庫や食器棚などが置かれているので、いっそう狭隘な空間になっている。それでも、多い時には3~4人の従業員がひしめき合って、壁や流し台にもたれ

          僕はときどき気配が消える

          彩ふ読書会の参加録~8/18大阪会場第1部・推し本披露会~

          ◆はじめに  今回は1週間前に参加した彩ふ(いろう)読書会の振り返りを書いていこう。  読書会の開催日は8月18日(日)、会場は新大阪駅から少し歩いたところにある雑居ビルの中の会議室であった。彩ふ読書会が大阪で開催されるのは、6月末の読書会7周年イベント以来である。僕はこのイベントに続けての参加となった。思えば、彩ふ読書会に連続で顔を出すのは、コロナ禍後の読書会再開以来、初めてのことであった。  この日の読書会は2部構成で、第1部が「推し本披露会」=参加者がそれぞれ本

          彩ふ読書会の参加録~8/18大阪会場第1部・推し本披露会~

          お盆休みの滋賀ドライブの記録②ラコリーナ近江八幡編

           お盆休み3日目の、石山寺とラコリーナ近江八幡を巡る家族ドライブの記録の続きを書いていこうと思う。前回、石山寺と「光る君へ びわ湖大津 大河ドラマ館」を訪れたところまで書いたので、今回はその先の話ということになる。メインはもちろん、ラコリーナ近江八幡である。 ※前回の記事はこちら  本編に入る前に一言だけ述べておきたい。日帰りドライブの記録が1回でまとめきれないとは、全くもって想定外のことであった。しっかり時間を取って、腰を据えて1日の出来事を振り返ると、こうなるんだなあ

          お盆休みの滋賀ドライブの記録②ラコリーナ近江八幡編

          お盆休みの滋賀ドライブの記録①石山寺編

           やっと時間が確保できたので、お盆休み日記の空白の1日となっている8月12日の記録をつけたいと思う。この日は、6日間にわたる僕のお盆休みの中で、最もアクティブな1日だった。家族揃って、朝から夜までドライブに出掛けていたのである。  他日の日記で書いた通り、僕はこのお盆休みの間ずっと実家にいたのであるが、これは南海トラフ地震臨時情報を受け、予定していた旅行を取りやめたからであった。決断自体には納得している。しかし、あちこち動き回るはずだった長期休暇中、ずっと家に居続けるという

          お盆休みの滋賀ドライブの記録①石山寺編

          お盆休みがおわる

           6日間に渡るお盆休みが、とうとう終わる。  この6日間、僕はずっと実家にいて、家族以外誰とも会わずに過ごした。そして、オリンピックのマラソン中継を見たり、図書館に行って本を読み進めたり、(まだ記録をつけられていないけれど)日帰りでドライブに出掛けたりしていた。毎日違うことをしていたが、やりたいことを自由気ままにやったという点は共通している。時間が過ぎていくのをあまり気にせず、のんびりした気分でい続けたという点も同じである。総じて充実したお盆休みであった。  昼過ぎから「

          お盆休みがおわる

          図書館の自習室を見直した話

           お盆休み4日目、朝から実家近くの図書館に向かった。そして自習室に陣取って本を読み進めた。実家にいると、ずっとテレビを見るなどして時間を溶かしてしまいそうだったので、敢えて場所を移したのである。  この図書館の自習室を利用するのは、高3の夏に受験勉強をしに来て以来であり、十数年ぶりのことであった。  実を言うと、図書館の自習室というものを利用することに長らく抵抗があった。ペンを走らせる音以外何も聞こえてこないような静かな環境に、耐えられる気がしなかったからである。机に向か

          図書館の自習室を見直した話

          お盆休み2日目

           特に予定を入れることなく、1日中実家にいた。パリオリンピックの女子マラソンが観たかったからである。  予想していたよりもずっと面白いレースだった。一番の理由はなんと言っても、鈴木選手が終盤まで先頭集団に食らいついていたことである。世界とのレベルが大きく開いていた女子マラソンで、日本代表選手がずっと先頭に付いて走る姿を見ることができたのは、思いがけないことであり、そして嬉しいことだった。最終盤は有力選手たちに置いて行かれたものの、後続の選手に追いつかれることなく力走。最終6

          お盆休み2日目

          お盆休みが始まる

           午前中に部屋の片付けを手短に済ませた。そして、昼食を終えるとすぐに実家に帰った。  このお盆休みは元々、家族で伊勢志摩へ旅行に行く予定だった。しかし、南海トラフ地震臨時情報が出たのを受け、取りやめることになった。ぽっかり空いた時間をどう過ごそうかと思っていたところ、パリオリンピックの男子マラソンをみんなで観ようという話になった。そういうわけで、実家に集合することになったのである。  マラソンの結果については、各ニュースで報じられていたので、ここで改めて繰り返す必要はない

          お盆休みが始まる

          諦めきれなくて…

           昨日今日と2日続けて、仕事帰りに本屋に行った。これは僕にとっては珍しいことである。僕は基本的に、1ヶ月に1度しか本屋に行かない。行く度に衝動買いしそうになるので、制限をかけないと財布が危うくなるからだ。おまけに、僕は読むのが遅いから、そんなに買っていては積読が大変なことになってしまう。  それにもかかわらず2日連続で本屋に行ったのは、1日目の本屋で目当ての本を手に入れられなかったからである。確かにその本は何万部も売れるようなものではなかったし、そもそも最近出た本でもなく、

          諦めきれなくて…

          思考の癖に悩む日もある

           久しぶりに、仕事でがっつり凹んだ。  きっかけはごく些細なことだった。資料をチェックしている時に、細かいところが気になって確認のために回覧をストップしたのだ。実際のところ、それは問題になるようなことではなかった。にもかかわらず、「これはこうでなくてはならない」とガチガチに考えてしまい、何十分もブツブツ相談してしまった。  もっとも、僕が凹んだのは、時間を無駄にしてしまったからではない。自分が正しいと考える処理から微妙な揺らぎが生じた際に、その揺らぎ与える影響の大小を見積

          思考の癖に悩む日もある

          だらんとした休日と不思議な名作の話

           数日前に書いた通り、日曜日は1日ヒマであった。このヒマを利用して、僕は〈この先どういう風に生きたいか〉と〈夕飯の後睡魔に負けないためにはどうすればよいか〉という二大難問に取り組むはずだった。しかし、実際にやったことと言えば、数ヶ月前にもらったカタログギフトからのご褒美選びと、数日分溜まっていた小遣い帳の作成と、台所の掃除くらいのものであった。難しいことは脇に置いて、簡単に手を付けられる面倒事を優先したわけである。こうして日常は日常として繰り返され、どこまでも続くようになるの

          だらんとした休日と不思議な名作の話

          ひじき氏、下鴨神社へ行く

           7月27日。  毎月恒例のオンライン読書会を終えると、ひじき氏はすぐさま京都へ向かった。  目的はただ1つ。下鴨神社で授与されている、『有頂天家族』アニメ化10周年を記念した御朱印帳を手に入れることである。      ◇  『有頂天家族』は、ひじき氏の好きな作家・森見登美彦氏の作品である。下鴨神社に住む狸の一家を中心に、狸と天狗と人間が京都で繰り広げるドタバタ劇を描いたファンタジー小説だ。——これだけ書いてもどんな話か伝わらない気がするので、幻冬舎文庫の裏表紙にある

          ひじき氏、下鴨神社へ行く