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図書館の自習室を見直した話

 お盆休み4日目、朝から実家近くの図書館に向かった。そして自習室に陣取って本を読み進めた。実家にいると、ずっとテレビを見るなどして時間を溶かしてしまいそうだったので、敢えて場所を移したのである。

 この図書館の自習室を利用するのは、高3の夏に受験勉強をしに来て以来であり、十数年ぶりのことであった。

 実を言うと、図書館の自習室というものを利用することに長らく抵抗があった。ペンを走らせる音以外何も聞こえてこないような静かな環境に、耐えられる気がしなかったからである。机に向かって座る姿勢を否応なくとらされ、自由に寝転がったり寝そべったりできないのも気掛かりだった。普段暮らしている単身者用マンションの近くにも図書館があり、何度も足は運んでいるが、自習室を利用したことはなかった。だから今日も「逃げ出すかもしれないけれど、ともかく足を運んでみよう」くらいの気持ちだった。

 実際に使ってみると、モジモジしていたのがバカらしくなった。読書が面白いくらい捗ったのだ。逃げ出したいとはこれっぽっちも思わなかった。静かな環境で、椅子に座って本を読む。それ以上でもそれ以下でもなく、それしかできない状況が、心地よかった。

 暫く前から、休日をダラダラ潰してしまうことなく、本を読んだり自分の考えをまとめたりする時間に充てたいと思っていた。それにもかかわらず、インターネットの誘惑に勝てないまま、徒に時間を浪費してしまう状態が続いていた。家にいると怠けてしまうことには薄々気付いていた。でも、我儘な自分が作業に取り掛かれる場所は家以外にないと思い、身を動かそうとはしなかった。

 そんな状況を打開するための糸口が見つかった気がした。それだけでも、今日は十分意味のある1日だった。

 同じように図書館の自習室に来ていた妹と連れ立って、近くの食堂でお昼を摂った。話が尽きなかったので、カフェに場所を移して小一時間ほど話し続けた。それからめいめいの席に戻り、めいめい手持ちの本を読み、めいめいのタイミングで家に帰った。夕飯までにジョギングしようと思ったが、雨が降ったのでやめにした。

     ◇

 さて、読者諸賢の中には、お盆休み3日目の日記が抜けていることを訝しく思う方がおられるかもしれない。白状すると、この日は外出していて、帰ってビールを飲んだ後、睡魔に襲われて寝落ちしてしまったのである。決してつまらない1日だったわけではなく、むしろとても面白い1日だった。そのうち時間を取って振り返ることにしたい(言うだけで終わらないようにしたい)。

(第236回 2024.08.13)

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