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水の中をめぐる旅【5】 ー2022年9・10月 隠岐諸島・西ノ島① 2022年秋

2022年の秋、隠岐諸島・西ノ島へ一人旅に行ってきました。

京都からですと、平日仕事を終えてから出発しても、新幹線と在来線特急を乗り継いで、その日のうちに松江まで行くことができます。
翌朝、七類港からフェリーで隠岐へ渡り、昼から1〜2ダイブ。
翌日3ダイブ、潜り足りなければ最終日も1〜2ダイブしてから、また船と鉄道を乗り継いで、日曜の夜に帰って来られます。
何度も行っている沖縄に比べ、なんとなくハードルの高さを感じていましたが、このように1日休みを取れば行けると判ってから、俄然関心が高まりました。

のちに調べてみたところ、東京からでも、往路は羽田から米子行きの最終フライトか夜行バスを使うことで、同様の旅程を組むことができます。

◼️ note「西ノ島を紹介して下さってありがとうございます!」にピックアップして頂きました。こちらこそ、ありがとうございました!


◆ 旅の準備 📖📞💻

隠岐諸島は、伊丹からのフライトもある島後の隠岐の島、島前の中ノ島、西ノ島、知夫里島が主な島で、調べてみると、隠岐の島、中ノ島、西ノ島にそれぞれ1軒ずつダイビングサービスがあるようです。
隠岐ビギナーの私には、飛行機で50分、それなりの市街地も形成されているらしい島後が手軽で安心かもしれませんし、近年移住促進で注目を集めている中ノ島の海士町なども興味があります。
しかし今回は、最も地形が複雑で面白そうな西ノ島を選びました。

まずは、ダイビングサービスへメールで問い合わせ。その日のうちに返信を頂き、予約を入れました。
松江での前泊は、旅のサブスク”HafH”で泊まれる駅前のカプセルホテルを予約。

意外と苦戦したのが、西ノ島の宿の確保でした。シルバーウィークと10月の3連休に挟まれた週末なので、さほど混んではいないだろうと予測。念のため1ヶ月半ほど前に観光協会に問い合わせてみましたが「今予約すれば、問題ないと思いますよ」とのこと。

ところが、観光協会で教えてもらって電話した宿は満室。次とその次にかけたところは、その週末は休館。
ガイドブックを見て、ダイビングサービスに近いところから順に、片っ端電話していきますが、小さな宿はコロナ対策で1日一組しか受け入れていないとか、県外からの来客は断っているとかで、どこもダメ。
仕方ないので、ダイビングサービスから少し離れてしまいますが、フェリーが発着する別府港近くの旅館へ問い合わせたところ、幸い受け入れて頂けました。
宿が確定できた旨、DSへ連絡を入れると「みつけ島荘さんはご飯が美味しいですよ〜」と返信があり、楽しみが増してきました。

※ その後、現地で教えてもらったのですが、西ノ島町観光協会へHPから依頼すれば、希望に応じた宿を探して予約までして下さるそうです。

▼ クラブノア隠岐

▼ 旅館みつけ島荘

◆ 隠岐への道

さて、9月29日木曜日。その夜のうちに松江に到着するには、京都駅19時46分発の「のぞみ」が最終ですが、これだと到着は真夜中になります。到着後に伊勢宮町へ繰り出し一献とはいかなくとも、一風呂浴びてゆっくり眠る時間は欲しいと思い、終業後直ちに職場を出発。京都駅17時46分発、岡山乗り継ぎで松江着21時43分。
残念ながら、宿泊先のカプセルホテルはシャワーのみで、大浴場で足を伸ばしてまったりというわけにはいかず、ロビーでカメラとGoProのセッティングをして、布団に潜り込みました。

翌朝、松江は放射冷却による濃霧。ちゃんと船が出てくれるかしらん、と少し心配しながら、7時55分松江駅前発の七類港行きの連絡バスに乗り込みます。バスは4列シートのハイウェイバス型で、ダイビング器材を入れた大きなキャスターバッグも、問題なくトランクに収納して頂けました。

バスが七類港へ到着する頃には霧は晴れ、快晴無風・ベタ凪。
最高の船旅日和。 

▲ フェリー「くにが」
▲ 穏やかな七類港の朝
▲ 後方はフェリーターミナル。右の連絡橋を渡って乗船します。
▲ 出航
▲ 湾を出て、外洋へ

後部デッキにベンチもあり、ここで潮風に吹かれて行くのも良さそうですが、前夜の眠りが浅かったので、二等船室で横になり、少し寝ていくことに。

熟睡して目覚めると、フェリーは既に島前の知夫里島へ近づいていました。
デッキに出て、松江で買ってきたおむすびで腹ごしらえしながら、初めての隠岐の豪快な海岸線を楽しみます。
同じ火山島の小笠原と似た雰囲気を感じます。

▲ 知夫里島南端と、境港へ向かうフェリー「しらしま」
▲ 手前=中ノ島 奥=西ノ島
▲ 知夫里島の来居港
▲ 穏やかな内海を、西ノ島へ最後の数海里

知夫里島の来居港に寄港して、12時05分、定刻通りに西ノ島の別府港へ着岸。
ガイドのYさんが迎えに来て下さっていました。今日のゲストは私の他、米子から来た同年輩の男性Iさん。前回は7月にいらっしゃったそう。
夏の隠岐は透明度がとても良く、秋になると透明度は落ちるが魚影が凄いとのこと。山陰には面白い海が多いけど、隠岐は別格ですよ、とIさんが言います。
今日明日、この天気だったら、どこでも行けますよ〜!とYさん。
車は港を出て、尾根を一つ越え、奥深い入江に面したDSに到着。
のんびりと準備を整え、目の前の岸壁からボートに乗ります。

今日目指すのは、西ノ島の北東にある星の神島。
西ノ島No.1のビッグポイントだそう。

この季節は、真夏に比べるとプランクトンが増え透明度は落ちますが、それを求めて集まる魚影の濃さは半端ではないそうです。

岩壁を離れたボートは、入江の北に掘削された運河を通り、島の北海岸へ。
西ノ島では、西海岸の矢走二十六穴や国賀海岸などが有名ですが、この辺りも十分見応えあり。幾層にも地層が積み重なった断崖がすごい。
潜る前から期待が高まります。

◆ 1本目 星の神島 内湾

平均水深 13.1m
最大水深 24.0m
潜水時間 49分
透明度 10m
水 温 22℃  スーツ 5mmウェット(ツーピース)+フードベスト 

星の神島は噴出した溶岩で形成され、さらに日本海の厳しい波風で侵食された、切り立った小島。
ベタ凪の午後ですが、表層は結構流れており、さらに海面がイワシや豆アジの群れで騒めいているのが分かります。

流されぬよう、ブイロープ伝いに潜降。
いきなり、イサキとタカベの大群が待ち構えていました。アジやイワシの幼魚の群れを狙って、群れが動き回っています。

そこへ、ヒラマサの編隊、続いてカンパチが突っ込み、魚群は入り乱れて、私たちの周りで渦を巻きます。
その周りを悠々と泳ぎ回る大きなマダイたち。

※GoProのフィルターを間違えたため、動画の画面が暗めです。ご容赦を。

▲ 様々な魚の群れが、入れ替わり立ち替わり登場。
▲ 物珍しそうに寄ってきたのは、アジの仲間たちかな?
▲ 豆アジたち
▲ クロスズメダイ?
▲ まるで満天の星。
▲ 日本海の豊かさを感じられる水中風景

圧倒されました。凄い海だ。

いやあ、今日はめっちゃ面白い!と、ガイドのYさんも興奮気味。
特に魚群が活性化するタイミングに当たったのかもしれません。

水面休息中も、時折水面がざわめき、海鳥が群れていました。

◆ 2本目 星の神島 北西の潮

平均水深 14.6m
最大水深 20.1m
潜水時間 41分
透明度 10m
水 温 22℃  スーツ 5mmウェット(ツーピース)+フードベスト 

1本目と同じブイからエントリーして、隣接したポイントを目指しました。
ここも1本目と同様、もう、大興奮。
すごい、めっちゃ楽しい、としか言葉がない。

▲ 豊富なプランクトンの影響で、透明度は10m程度。
▲ カワハギ
▲ タカサゴ?
▲ タカベの群れ
▲タカべの群れ
▲ 地形も結構複雑でした
▲ スズメダイ
▲ もやの向こうの魚群も凄いことになっていそう。
▲ 一面にイワシやアジの幼魚が群れています。

こんなにも、日本の海の豊かさが凝縮されたポイントがあったとは。
マンタもロウニンもジンベエもいらない。この豊穣の海の有り様が素晴らしい。

この満足感、海自体のポテンシャルもさることながら、ガイドのYさんの魚を集める技のおかげでもあります。動画や写真でその一端をご覧頂けるかと思います。
この技はNHKの「潜れ!さかなクン」でも紹介され、この翌日にはNHK松江放送局が別途特集の取材に来るとのこと。

エギジットは16時を過ぎました。浮上すると、太陽は西に傾いて、水面は黄金色に輝いていました。ボートの周りでは依然としてイワシやアジの群れがさざめくように動き回っています。

隠岐初日。期待を何倍も上回る、素晴らしい海を体験させて頂きました。

海だけではなく、旅館の食事も豪勢。
隠岐の地酒と、海藻焼酎と共に、堪能いたしました。

▲ みつけ島荘の晩御飯(画面に全てが収まらないほど)

※ 2日目は、隠岐諸島でも随一の豪快さを誇る西ノ島の西海岸へ。ガイドにもバディにも宿にも恵まれ、素晴らしい海日和になりました。

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