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【THE MATCH 2022感想戦】祭りの後は焼け野原 格闘技とは残酷だから美しい魂のダンス

*この記事は執筆者の個人的な考えや推測が多く含んでおり、また格闘技関係者から直接話を聞いて執筆したというものではなくただの一格闘技オタクが書いたものであるため間違った情報が書かれている可能性があります。もし間違いやご指摘、誤字脱字があった場合はコメントなどで教えていただけると嬉しいです。
 またこの記事内で選手や格闘技関係者の敬称を省略している場合があります。予めご了承ください。


・はじめに

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ついに終わってしまいましたねTHE MATCH 2022。
多くの人が歓喜してそして燃え尽きた一日ですが、自分もその高ぶりを抑えきれず筆を執ったならぬ現代らしくPCのキーボードをたたいている次第です。
またまだ読んでない方がいたら筆者が書いたTHE MATCH 2022の全カード解説記事がありますのでよろしかったら読んでいただくと嬉しいです。

最後まで付き合っていただけると嬉しいです。宜しくお願いします。


・想像通りで想像以上の盛り上がり フジテレビくん見てるー?

不謹慎かもしれませんがこれは言わなきゃいけないなと思います。
コロナ禍でありながら東京ドームへ埋め尽くすように5万人以上の観客が入り、その中には菅田将暉やONE OK ROCK TAKA、東京オリンピックスケートボード金メダリスト堀米悠斗など多くの著名人がリングサイドの100万越えのVIP席にいました。まさに壮観です。
日本の格闘技イベントでこれ以上のものはもう起こらないと様々な所でいわれてきましたが、あの光景を見るとその言葉が現実に思えてきます。

フジテレビの地上波放映を断念した理由は明言こそしていませんが直接の原因は今回の大会制作陣営MVPの榊原さんの反社報道でしょう。
文字通りこの人がいなかったらこの大会はできてませんでしたが、こんなところに落とし穴があったとは…
それでも持ち前の前向きさで立ち直ってデメリットしかない本大会冠スポンサーをyogiboの木村社長に引き受けていただき、あれだけ望んでたテレビの放送をTOKYO MXとこぎつけたりと流石のかじ取りで大会を創りました。
いろいろ言われますが稀代のプロモーターには変わりません。

実際生放送でのフジテレビの利益はどのくらいだったのでしょうか。
自局のみで放送できるともちろん本放送を流せますが、例えば翌日のニュースや様々な番組でこれに派生した番組が作れたといったように試合以外のメリットの大きさは素人でも想像できます。

これらのメリットの大きさと昔の古傷や格闘技反対だという反対派の大局でモノを見れない人のワガママを天秤にかけてデメリットを優先したフジテレビの流石の運営方針に拍手が止まりません。
そんなフジテレビへの感情はこの言葉しか生まれません。

フジテレビ君見てるー?君の捨てたイベントめちゃくちゃ盛り上がったよー!


・K-1vs他団体の対抗戦 宝塚システムには外敵は不要?

今大会のもう一つのテーマは”K-1vsRISEの対抗戦”です。
この出来事の大きさは格闘技をあまり知らない人にわかりやすく言うなら、プロ野球セパ交流戦が行われていない世界線で行われたセパ交流戦です。

様々な方が予想を上げていましたがだいたい個人差はあるものの全体的にK-1勢有利な予想が多かったイメージです。
では実際の結果はどうだったのでしょうか?なおRISEでの試合数の少なさや注目度の低い選手、RISEで活躍しているものの他団体でそれ以上の印象や活躍がある海人選手や江幡睦選手のような選手はRISEの勝ち星から外しています。武尊vs天心はそもそも外しています。
・K-1vsRISE      試合数 9 結果 K-1勝ち星5vsRISE勝ち星4
・K-1vsSHOOT BOXING 試合数 2 結果 K-1勝ち星0vsSB勝ち星2
・K-1vsHOOST CUP  試合数  1 結果 K-1勝ち星1vsHC勝ち星0
・K-1vsMAキック   試合数  1 結果 K-1勝ち星1vsMA勝ち星0

全体の勝ち星数は7vs6とK-1の勝利ですがこれくらい競った記録になるとは思ってなかった人が多かったと思います。
勿論RISEの選手を始め他団体の選手はめちゃくちゃ強いですしこういう結果になる事は特におかしい事ではないですが、数字出してここでびっくりする人も多いと思います。

なぜK-1有利の見方や予想を多くの方がした理由は新生K-1の運営方法にあると思います。
新生K-1はアマチュアからKrushを経てK-1のリングに上がるスターへのシステムがすべて整っています。
さらに独占契約で選手を縛ることで簡単に選手の出入りが行われないようにすることで鎖国状態を創ることも成功しました。

これによって外部から閉鎖されたK-1内で戦いのエスカレーターさえ登り切ればだれでもスターになる事が出来るようになりました。
実際K-1はチンギス・アラゾフ、マラット・グレゴリアンのような外国人スターや久保優太、平本蓮、皇治、木村”フィリップ”ミノル、武井由樹などといった国内スターを手放してもその盛り上がりは現在決して衰えてはいません。
この現象のことを青木真也御大が専門学校からステージまでスターへの道のりが整備されいている閉鎖された業界である宝塚歌劇団の運営方法をもじって”宝塚式”と新生K-1の運営方法を評したことから、今回この記事では宝塚システムと書かせていただきました。

でも別にこのシステム自体は悪い事ではないんですよ。
団体内部のみでストーリーが発展、解決からの循環するのでその展開が終わることは無いことためファイターとしての幻想が創りやすくまたそれだけ追えば物語への参加が可能なので新規の参入がしやすく、新たなスター候補の供給も絶えないため団体を長く続けることを考えると限りなく正解のシステムです。早い話がブランド化です。
新生K-1はその理念を”100年続くK-1”としているのでこのような運営スタイルを選択することは特別変なことではないです。

ですがこのスタイルで運営する場合絶対に避けなければならないのは、
「K-1所属の選手が他団体の選手と他団体所属のまま試合をする」ことです。
勿論勝てばよいです。しかしよしんば負けてしまったら大変なことです。
ファイターとしての幻想というものが商売道具であり重要な格闘技界隈においてほぼ最悪の形で創ってた幻想が剥がされるわけです。
宝塚歌劇団主催の講演で宝塚と関係ない役者が一番心に残るステージをしたりしたら、宝塚関係者の面目は丸つぶれです。それは自分たちが囲いを覆ってまで作った商品の価値の否定であり、確実に囲いの内でもそのストーリーにノイズが出ることは明白です。
なんとかこの事の重大性を言語化していますがニュアンスだけでも凄いことが起こったんだなと思っていただけると幸いです。

実際これが起きてしまったK-1運営はどう考えているのでしょうか。
負けた選手の中には現役チャンピオンもいるためまずはタイトルマッチかそれともほとぼりが冷めるまで一旦置いとくか、はたまたK-1離脱か…
これからの新生K-1の動向に注目です。


・武尊vs天心 魂の試合 見れたことにただただ感謝っ・・・・!圧倒的感謝っ・・・・!

正直筆者はこの試合をやることに否定的でした。というかむしろ反対でした。noteの記事やYouTubeでの発言を知っているとわかるのですが、筆者はこの戦いを”宗教戦争”と解釈しています。宗教同士の争いに勝敗を持ち出すなんて無駄なことだ!むしろ行うことでのデメリットがデカすぎる!とずっと考えていました。再度の宣伝になりますがそこら辺について気合入れた記事を書いているので良ければ読んでください。

ですがそんな筆者ですら試合にはドキドキして見て声出したり途轍もなく拍手したりしました。それぐらいこの2人の試合は人を引き付けるものだと再確認させられました。
またその勝ち方もすごく、きっちりダウンをとっての那須川天心の勝利でTHE MATCH 2022は幕を閉じました。

まずは両選手を始めとした両陣営にこれを実現させた運営陣に多大な感謝です。本当にありがとうございました。

さてついにこの試合が終わったため皆がなんとなくお口にチャックしていた焼け野原になった未来の話が大手を振って話せます。
いまさらですがこれにより那須川天心はキックボクシングを引退します。このことで一番キツいのはRISEやRIZINでしょう。
特に天心という団体以上の選手がいたことで一気に上がったRISEとしてはこれからの身の振り方を考えるだけで涙が止まりません。規模の縮小というか団体の”格”は確実に落ちたことは否定できませんのでね。
ですが意外とRIZINは元々MMAの団体であり天心は例外的なラッキーですので、バブルのように割り切って考えれば運営的には問題ないのかなと思います。

新生K-1も例外ではありません。
団体の象徴である武尊がダウンをしての判定というキッチリとした敗北ですのでそのダメージは相当なものでしょう。競った判定での敗北なら少なくともファンはそのダメージはまだ受け止められるギリギリのラインでしょうが、ダウンという明確なシーンを作られての敗北はかなりくるものがあると思います。

武尊選手の心のダメージも心配です。
負けたら引退を覚悟していたほどですので、この敗北でマジで引退することも考えられます。武尊選手はその覚悟キマっていますが、もし起きたら一番きついのは新生K-1の運営陣です。おそらく武尊選手に最低5年は象徴として頑張ってもらう”絵”を書いていたと思うので、今回負った傷は瞬間的にもきますが遅効性で襲ってくるヤツの方がダメージはデカいと思います。

何度も言いますが那須川天心はキックボクシングを引退します。
輝く格闘技の世界にあこがれた少年は16歳で飛び込み約6年半でその頂点に立ちました。
那須川天心は格闘技界のスターですがキックボクシング界だけ見れば一生背負わなければならない”罪”といえます。
その界隈では収まらない存在というのは基本的には誉め言葉です。ですが那須川天心に限って言えばそれは賛辞の言葉ではなく呪いの言葉でしょう。

海外の格闘技のマッチメーカーが良く言う言葉ですが「It Takes Two Tango」というものがあります。訳は「2人いないとタンゴは踊れない」。
意味としてはどんなスター選手も対戦相手がいないと試合が成立しないというものです。
自分と戦う相手がいない所まできた那須川天心はまさにダンス相手がいないため自分1人で頑張って踊らなければいけません。ですがこのダンス相手には相手だけではなくボクら格闘技ファンや一般民衆もその対象に入っているとも個人的には考えています。天心の表現を誰も理解しきれなかったので天心はキックボクシングを引退することを決意したのだと思いますからね。

だからこそ天心の踊る相手を創り切れなかったことはキックボクシングの歴史に刻まれる”罪”と言えるでしょう。もちろん天心自体は何も悪くありません。強さを極めたからこそ起きる現象ではありますが、まさか相手がいないファイターが出るとは誰も思ってなかったでしょうね。

ついに踊る相手がいなくなった天心はキックボクシングを引退してボクシングへ向かいます。我々残された者一同は新天地で素晴らしいダンスを天心が踊れることを感謝を込めて笑顔で送り出しましょう。

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・おわりに

この記事はいかがでしたでしょうか⁉
いつも書いている記事よりも自分の感情をかなり込めたものですので、様々な意見があると思いますがそれらはコメントやSNSでおっしゃっていただけると嬉しいです!
また普段の記事も気になるという方はフォローしていただけると嬉しいです!基本的に月2~3のペースで記事を書いていきます!

ここまで読んでいただきありがとうございます!


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