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【読書】『生きる職場』【働きやすい職場にはメリットしかない】

 noteで武藤北斗さん(武藤北斗・パプアニューギニア海産)をフォローさせていただいていて、いつも記事を読まさせていただいています。
 それが本書を手にした理由。

・好きな日に働き、休みたい日に休む。連絡も一切いらない。
・嫌いな作業はやらなくてよい。
「これで仕事が回るのか?」
と、当然の疑問がわきます。
 じつはそこに、生産性向上、品質の向上、つまり経営効率の改善があったのです。

これは、「縛り」「疑い」「争う」ことに抗い始めた小さなエビ工場の、新しい働き方への挑戦の記録です。

 働きやすい職場にはメリットしかないのです。

ポイント
・働きやすい職場にはメリットしかない。
・目標は「働きやすい職場」を作ること。「フリースケジュール」と「嫌いな作業はやらなくてよい」は手段。
・変えるべきは変えること。

働きやすい職場のメリット

 ということで、メリット5つ。
①離職率の低下
②商品品質の向上
③生産効率の向上
④人件費の減少
⑤従業員の意識改革

 これは僕の体験です。
 具体的な原因は伏せておきますが、パートさんが次から次へと退職していく、という事件がありました。
 新しく入ったパートさんを教育しても、すぐに辞めてしまうので、新人教育の繰り返し。職場全体のレベルが上がるわけがありません。
 もちろん、教育に時間を取られてしまうので、自分の時間も無くなっていきます。
 人の入れ替わりが激しいことのデメリットを、身をもって体験しました。
 離職率が低下すれば、「ベテラン」が増えるので、品質も改善するし、効率も上がる。会社のことも理解してもらえるので、願ったりかなったりです。

 『エンゼルバンク』で、人の入れ替わりが激しいのを薄めたコーヒーで例えていましたが、言い得て妙でした(どこだったか忘れてしまいましたが)。
 こう書いてしまうと、経営者目線なのですが、武藤さんのきっかけは、そこからではありませんでした。

目標は「働きやすい職場」を作ること

 きっかけは、2011年3月11日の東日本大震災でした。心よりお見舞い申し上げます。
 石巻の工場は閉鎖。最後まで従業員と親しく話せができなかった、後悔。
 いろいろあって、大阪で再建することになったのですが、再建後2年で、石巻からついてきてくれた工場長さんの退職。
 そこで武藤さんは工場に入りますが、現場では、
・パートさん同士の争い
・パートさんが自分(武藤さん)を信用していない
・さらに、パートさんが会社のことを好きではない
という状態でした。

 目の前の問題だけを解決する方法を探しても駄目なのだと。新しいなにかを作り出し、本質的に変えていくことでこそ、問題を解決していくことができるのではないかと考え始めたのです。

 その答えは「とにかく、働きやすい職場にする」こと。
 初めの段階では、会社としての効率や生産性、品質向上といった経営的な要素は一切含まれていなかったのです。

 「とにかく働きやすい職場にする」という目標のもとに、
「フリースケジュール」
「嫌いな作業はやらなくてよい」
が生まれました。
 フリースケジュールをはじめて4年。出勤人数がゼロだった日が一日だけ。それも、偶然が重なったからでした。台風の日に何人も出勤したり、ゴールデンウィークの連休中のたった一日だけの平日にも数人出勤したり、だったのです。
 また、「嫌いな作業はやらなくてよい」とはいっても、全員嫌いという作業もなかったのです。なので、特に問題はありませんでした。

 ここからは、僕の経験ですが、パートさんの休みの調整が面倒だったので、
「誰かに代打頼んでよ。ピンチヒッターお願いしてよ。二つ返事で許可するから」
と言っていたら、パートさん同士でシフト調整するようになっていました。
 「自分でやるのが面倒だから」という、褒められたものではない動機でしたが、パートさん同士で諍いが起きることもなく、シフトに穴が開くことも無く、自分の仕事も減ったので、困ったことはありませんでした。
 また、アルバイトさんたちは、友だちを紹介するという方法で解決しました。
「そんなに次から次へと教えられないよ」
と言ったら、
「俺が教えます」
と言って、アルバイトさんたち同士で教育するようになっていました。教える手間が省けるわ、人手不足が解消するわ、もちろんシフトに穴が開くこともなくなりました。
 なので、当時のパートさんたちやアルバイトさんたちには、相当助けてもらったな、という好印象しかありません。
 自分がサボっているような気もするし、責任感もないような気もします。それに「フリースケジュール」にも程遠いものです。
 しかし、仕事が上手く回っていて、特に問題もなかったので、一つの攻略法だと考えています。

 仕事において効率を求めることは重要です。
 しかし、
「人を管理すること」
「人を縛るような働き方を従業員に強いること」
が本当の意味での効率につながらないのなら、やめてしまった方がいい。
 働きやすい職場にする。そのためのルールを作る。
 その方が効率的で、なによりも建設的なことなのです。

変えるべきは変えること

「時間までフリーにするのは無理だろう」
と武藤さんも思ったそうです。
 しかし、なぜ無理だと思っているのか?
 自分の先入観にすぎず、実際に試してみなければ、本当のことは分からない。
 まずは、やってみる。これまでの習慣にとらわれず、変えるべきものは変える。
 誰かが何かをしてくれるのを待っていても、何も始まりません。まずは、自分たちで考えて、実行してみる。

「できない。はい終わり」ではなく、どのように変化させればいいのか、どう改善すれば少しでも働きやすい職場に近づくのか、今ではそれを考えることが、僕自身の人生の楽しみにもなっています。

 それに、武藤さんも述べられているように、やって駄目なら元に戻せばいい、だけのことです。
 一口に、
「働きやすい職場にしよう」
といっても、置かれた状況によって、千差万別です。
 どうすればいいのかを考え、実行して、働きやすい職場を作るためには、試行錯誤・トライアルアンドエラーをくり返して、ベターな方法を探していくしかないのです。
 メリットしかないのだから、働きやすい職場を作りましょう。

まとめ

・働きやすい職場にはメリットしかない。
・目標は「働きやすい職場」を作ること。「フリースケジュール」と「嫌いな作業はやらなくてよい」は手段。
・変えるべきは変えること。

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