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一人の男がバーのオーナーになるまで【懐古録】~カフェ&バー経営の生き残り論~ #5

店側も客は選ぶ時代

時代は遡って高度経済成長期『お客様は神様』という言葉が誤認して広まり、その結果『客=偉い』なんて誤った認識を持った方が多くいらっしゃったとかなんとか。

まぁ、

令和の現在でも、そんな時代錯誤的な考え方を持たれている方がいらっしゃるため、カスタマーハラスメント、略して『カスハラ』という言葉が出来たため、これは根深い問題だなぁと思っておりますよ。

んで、

店を持ちました、一国一城の主になりました。お客さんに来てもらう立場になりました。
少しでも多く利益をあげるため、『神様』であるお客様からの無理難題や自店の雰囲気にそぐわない方もしっかり受け入れて……

んなわけあるかぃ!

確かにですね、周りのお客様に多少不快感を与える困ったお客様でも店側のルールに則(のっと)っているのであれば叩き出すのは難しいでしょう。
しかも、全国に何百店舗もある大手の飲食店では店長とはいえイチ会社員、ある程度店の運営に裁量はあるものの、よほど大事にならない限りは穏便に済ますのではないかと思います。

そして、

店の最低料金で長々と居座る客も、静かにしているのであれば、追加の催促なんてとても出来ませんよね。
でも、大手ならば成り立つわけです。
なぜなら

席数と店舗が多いから。

店の広さと店舗数でカバー出来てしまうのが大手の凄い所です。
困ったお客さんとて365日通ってくるわけでありませんし、オープンからクローズまでびっちり居座ることも少ないでしょう、てか、無いでしょう。
人件費や固定費でかなりの額がかかるため、質の悪いお客様の存在は痛いのですが本部がしっかりしているため、そういったケースを含めての出店を決めているんじゃないかと思ってます。

個人店では致命傷になりかねない

一方、個人店はどうでしょう? ってぇ話ですよ。
とはいえ、モデルケースが無いとイメージ出来ませんよね?
ってなわけで、自身の店を例にお話を進めたいと思います。

【ひいじいCAFEのスペック】
形態   ショットバー
飲み放題 無し
営業面積 4坪(トイレ有)
席数   5席(補助席2席)
場所   路面(ドアに窓があるため外から店内を見られる)

……まぁ、狭小中の狭小店舗ですが、稀に来店される質の悪いお客さんが営業にどう悪影響を及ぼすか? ということが顕著に出るため例としては絶好なのかな、ということで話を進めます。

まずは、

人に不快感を与える方についてですが、当店の場合はどうしてもお客さん同士の距離が近くなります。
どういった方というのは様々ありますが、平たく言うと

一緒に飲みたくないな

という類の方ですね。
ワタクシと一対一になるのであれば自身は仕事ですし、どうとでもなるのですが、お客様の立場からするとプライベートで飲みに来ているのに何で嫌な思いをせにゃならんのか? ってぇ話ですよ。

そうなると、

酒も進まず店側としても売り上げに影響出てきますし、お客様側からすると当店に関し、イヤな思いが強く残ります。
結果、足が遠のくという良くない負の連鎖を生み出してしまいますね。
とはいえ、人に不快感を与えるお客様の悪い所を消しつつ楽しい場を作るのが店主の手腕が問われるため、どうとでもなるのですが、ぶっちゃけ

疲れるんスわ。

そこそこお金を使ってくれたとしても質の悪いお客さんと同席する人にも、経営者にしてもいいことが一個もない、抱えている顧客の状況によってはバッサリ切ってしまうというのも視野に入れるというのも一つの手段かと思います。

で、次。

一杯で延々と居座る方について。
数人で頻繁に来店され、開店直後は開店から閉店まで長居されてお会計が1500円ということが多々ありました。
一杯だけ頼んで残りはひたすら「水!」と言われるわけですよ。
そうなると経営者としてはたまったもんじゃありません。
5席中数席を占領されて売り上げが2000円にも満たず、経費を引くと

大赤字。

とはいえ店のルールに則って滞在しているわけなので、店側としても退店を告げることは出来ませんね。
現在ではシステムの変更もあり、ここまで酷いことにはなりませんが、現在でも稀にあります。

加えて、

当店は静かにゆっくり飲みたいお客様が多く来店されます。
常連さんの中にも外から店内の様子を見て、誰か居たら入店を諦めるという方も多数おります。
そういう方に限って

良いお客さんなんですわ

質の悪いお客さん数人より良客1人の方が売り上げが多い、当店だけではなく見聞きした話でもセオリーが成り立つため、あながち間違いでは無いのかなぁというのが個人的な見解です。

対策としてのタイムチャージ

上記のこともあり、ワタクシが苦肉の策で講じたのがタイムチャージです。
当店では1時間毎に500円をタイムチャージとして設定しております。
とはいえ、何かご注文されると相殺(そうさい)としているため、実際は来店されるお客様の9割以上にタイムチャージは発生しておりません。

これは、

利用する側からするとコスいと思われるかもしれませんが、これも店の存続させるため、安く飲みたい、でも、お金は使いたくないという店側として歓迎しないお客さんを遠ざけるためには必要かと思ったからですね。

結果、

見事にハマりました。
タイムチャージを敷いたことによって最低金額で居座りたいというお客様の足が遠のいたため、痛いっちゃあ痛かったのですが、当店の性質上も相まって多くの新規客を得ることが出来たため

結局のところ売り上げはプラスになった

というのが実際のところです。
まぁ、あくまでワタクシ、いや、ひいじいCAFEのの場合なので

そういうこともあるんだなぁ

くらいで読んでいただけたら幸いですよ。
あくまで店の広さ、ターゲット層、一日に最低どのくらい売り上げる必要があるのか、そして自己が保有する運転資金によって変わってくるので、自身の店がどうなのか、冷静に分析することが必要だと思ってます。

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