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【助走2】ランサーズで本気になったとき。或いは、収益(冷静)と創作(情熱)のあいだ。

先日、
【助走】noteとblogのあいだ。或いは、創作(冷静)と収益(情熱)のあいだ。
という記事を書いた。
その時、遠くの記憶が飛んできたから、そのことを書こうと思う。

「文章を書いて収入を得てみたい」

ランサーズに登録した。
きっとなにかあるだろう。できるだろう。そう思った。

いくつか募集を眺めているうち、ひとつに目がとまった。
ダイヤモンドネックレスの商品名募集。

一粒ダイヤモンド。ネックレスのデザインと監修はパリ。

「ブランド品のように高額ではなく、でもクオリティが高く、シンプルだからずっと身に着けていられるダイヤネックレスに、どうかあなたが素敵な名前をつけて」

というものだった。

あたまのなかでイメージが膨らんだ。

地方から都会に上京、右も左もわからないけど一生懸命働いて数か月、やっとひと息。少しだけ周りや自分を見渡す余裕も出てきた。もう少し、がんばって!年末のボーナスが出たら、あのダイヤを買おうかな。自分への初めてのごほうび。

大好きな彼女がいる。まだ7か月だけど、とても好きだ。もっといっしょにいたい。気持ちをうまく伝えられないけど、伝えたい。小さな一粒のダイヤ。きっと彼女に似合うと思う。指輪のプレゼントは、僕にはまだハードルが高くて、彼女に(薬)指のサイズは聞けない。だけど、この華奢なネックレスなら、きっと気に入ってくれると思う。彼女がよく着ているベージュのニットに似合うと思う。

もうすぐ娘は二十歳。あんまり化粧っ気もないし、服装も「ラクだから」ってラフなスタイル。あれ?もしかしてホンニン、照れてる?10歳のお誕生日は、なんだったっけ?焼肉食べに行ったな。今回もそれじゃ、さすがに元気すぎるな(笑) じゃあ、今度はダイヤのプチネックレスなんかどうかな?本人イチオシの白いシャツにそれ着けてもらって、お昼もワインが飲めるあのお店に3人でランチってどうかな?

今書き連ねると、業務用バーナーくらい顔から火が吹き出すのだが、ともかくそんなイメージが浮かんできた。
しあわせで、シャイで、ささやかな人々のいとなみ。

以下、データがないので、記憶で書きます。

ネックレスのネーミングは、「ココロカラ(cocoro-carat)」

誰かが誰かに(その人自身を含む)、こころから幸せになってほしいと願う、その結晶として考えたネーミングだ。
きっと自分がそんな名前のネックレスをもらったら、しあわせでしあわせでたまらない。
パシッとこのネーミングがやってきた。
基本的に日本語が好きなので「パリでデザイン」とあったが、気にせず日本語由来にした。

ネーミングを記入して、その名前の由来や、自分の想いを書き込んだ。依頼主からも良いコメントをいただいた。友人に見せたら「これ、いいよ!ぜったい採用だよ!!採用されたら、わたしこのダイヤ買うね!」なんて言ってもらえて、採用されるとは思っていなかったけど、うれしかった。

結果としては不採用でした。
「パリでデザイン」という一番のアピールポイントを、センスよくまとめたネーミングに決定しました。(今思い返しても、そのネーミングは「持ってる」響きがあると思います。自分には絶対発想できないネーミングだと今でも思います。)

採用の謝礼は税込10,800円。
そんなことは関係なかった。
まだ見ぬダイヤのきらめきに「名前をつける」。
キラキラ輝くひとつの商品を頭に浮かべ、想いをはせ、想像を膨らませ、浮かんできたネーミングを逃がさないようにキャッチし、活字にして眺め、なんども推敲する。そのネーミングに至る経緯、託す想いを、プレゼンとして文章に起こす。他の人の提案や経過を見て、最終的に名前が決定するまでの、ときめき。
きれいにまとめてしまうけど、その時間がダイヤみたいなものでした。

採用されたネーミングが公表されたのちは、灰になりました。
その後ひとつかふたつ、何かの提案や簡単な文章を書く仕事をやってみようと思ったけど、無理だったな。
300円くらいの売上を残したまま、その後アカウントを削除しました。

なんでかな?今でもわかりません。
不採用だったから?いや違う。もし採用されても同じだったと思う。
多分、自分なりのひとつの創作を終えたのち、次の「与えられたお題」は「タスク」になってしまったんだと思う。
宿題になってしまったんだと思う。

ネットで検索した記事のなかには「?」と思えるものに当たることがあります。字数ばかり多くて、その人が心を込めた「オリジナルの言葉」が見えない。そういう文章に当たった時は、さびしい気持ちになるから、静かにタブを閉じます。

皮肉にも、小銭を稼ごうとしてやってみた「ことばの仕事」から、「ことばを紡ぐ楽しさ」を教えてもらいました。


noteを書くのは楽しいです。
最近は、忙殺の残業と「世界水泳を見届ける」というタスクでずっと書けてなくて、今日も残業しながら
「あー、今日こそはゼッタイひとつ書きたいぞ!」
と、どしゃ降りのなか、帰宅しました。

ただ書くだけじゃなくて、どこかで(多分)読んでくださる方がいらっしゃるから、なおうれしい。
大切な時間を使って読んでくれて、ありがとう。




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