見出し画像

#17 「ぴえん」と言おう

「ぴえん」をご存知でしょうか。
スマートフォンのキーボードに入っている、黄色い顔の、うるうるの上目使いをした表情の絵文字のアイツです。
「ぴえん」は、ぴえーん、と泣きたいような気持ちを表現していて、絵文字だけでなく、言葉として使われることもあります。
三省堂の「辞書を編む人が選ぶ 今年の新語2020」では「密」や「リモート」を抑えて、なんと大賞を受賞しています。

最近では「ぴえんのうた」なんていうぴえんのオリジナルソングもあります。
舌ったらずのアイドルが歌うアニメソングのようで、ファンシーで甘ったるいメロディが妙に癖になるのです。

わたしは、そこそこいい年齢の大人なのですが、今年は、この「ぴえん」という言葉を、よく使った気がします。
家族や友人へのメッセージのやりとりには、よくこんな文章を打っていました。

イベント中止になった。ぴえん。

マスクどこにも売ってない。ぴえん。

コロナほんとなんなの。ぴえん。

やるせなかったり、不安だったり、もやもやしたり、そんな、どこにもぶつけようのない気持ちは、ぴえんに変換しました。
もやもやとふくれあがって、心を占めていた感情を、ばかばかしくてかわいらしい記号のような単語に変えて、ちいさく圧縮すると、それだけで、心の中にひろびろとした快適なスペースが生まれました。
感情を、ひとつひとつ丁寧に言葉にすることで救われることもあるけれど、獰猛なトラにしまじろうと名付けて、愛すべき存在にしてしまうような力技も、たまには、ありなのかもしれません。

最後まで読んでくれてありがとう。
わたしはとてもうれしいです。ぴえん。
ちなみにこれは、感激のぴえん。

ではでは、また明日。


読んで下さってうれしいです。 スキ、サポート、シェアなどのリアクションをいただけると満面の笑顔になります。