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ベロニカ×茉莉花/下北沢ERA

5月2日、ベロニカと茉莉花の対バン「A Day in Life」が20周年を迎えた下北沢ERAで行われた。結成当初から、しのぎを削り、お互いを意識してきた2バンドはフロアライブでどのように戦うのだろうか。 

ベロニカ

彼らは、哀しみも怒りも確かめて欲しいように歌う。
きっと、否定も肯定も求めていないけど

地上5階の下北沢EARに、地下の憂鬱を連れてくる1曲、"ドッペルゲンガー"で始まる。壊れそう?の問いかけが、ギター、ベース、ドラムとともに迫ってきて苦しい。続く、"オルタナティブレコード"では、イントロのギターが憂鬱の雨を降らせ、春の嵐を突然感じる。もう、私たちに逃げ場はないのだ。鋭利なポップの楽曲、"カタルシス"では、喜怒哀楽がぐちゃぐちゃに自分の中で燃える。「僕が人生かけて作った曲です。」(こじまVo・G)から始まる"パラダイムバレット"では、鉄筋コンクリートに打ち付けられている感覚がする。その中で、浮く、沈む、体も心も。

「茉莉花とは去年の1月赤坂で対バンしたね、懐かしいね、あの頃は配信ライブだったけど、あの頃の俺らからしたらお客さんとフロアライブなんてできると思わなかったので本当に嬉しいです。」(こじま)



01.ドッペルゲンガー
02.オルタナティブレコード
03.アンタイトル
04.カタルシス
05.インフェリオリティー
06.パラダイムバレット

茉莉花

嘘でも本当でもない気持ちを歌にする。
でもきっと、本当は本当に思っているから、

語りかけるような1曲、"かな。"で始まった茉莉花。かな、かい?という言葉は、誰でも誰かを思い出してしまうだろう。"街"では、最終列車で夢をみる、政治の話もわからないし、優しい人になれなかった、思春期の誰でも感じると言われ、自分だけのものにできなかった気持ちがギターソロで自分のものになる。新曲"愛しき人類"は、比較的ゆらりと淡々としたリズムで進む。体は正直ではないけれど、言葉と音楽は正直であるかのように。「もしも明日で世界が終わるなら」教科書の隅の空想のような歌詞から始まる"シムスーサイド"曲が始まるとそれは空想ではなかったことを思い知らされる。音の全てに憑依し、震えてなく少女が現れるのだから。この感覚を味わうことが、私たちがライブに行く理由だ。

「ベロニカとの思い出めちゃくちゃあるんですよね、1年前の配信ライブがあったおかげで今僕らでかくなれてると思うし、一緒に成長できてる仲だなって思います。やってることは違うけど目指してるところは一緒みたいな、」(かんじVo・G)




01.かな。
02.新世界
03.街
04.愛しき人類(新曲)
05.旅に出る
06.シムスーサイド
07.さらば

私たちは皆、気づかないうちに大人という括りにされるのかもしれない。彼らは青年から大人に変わる匂いに気づきそれを音にする。変化の匂いに敏感だからこその苦味も、全て音にしていく彼らはこれから何処に向かうのだろうか。別れ。出会い。勝手に任せられた春の風に吹かれ、いや、春の風すらあつめ、彼らはバンドとして不透明な今を戦い、進む。(ひお)


写真 ヒヨリ@hiyo_style

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