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クリーンファイターズの軌跡 ~限られた予算で強いチームを作る!~ 4

こんにちは。
スクラムヒューマンパワー代表 日原 達仁です。

私の記事を読んでいただいて、ありがとうございます。

平成8年、入社3年目にラグビー部のキャプテンに就任しました。
この年はTOSENと勝沼クラブとの合同チームで、
激戦区関東ブロック予選、埼玉と東京を破り広島国体への出場を決めます。
山梨県ラグビー協会の期待を背負っての船出でした。

合同チームでも私がキャプテンを務めさせていただき、
現在山梨学院大学ラグビー部監督、
全日本で活躍したこともある梶原宏之さんもチームメンバーでした。

国体出場を決めるまでは大きな問題はなかったのですが、
本選出場となると長く職場を離れることになってしまいます。
山梨工場は当時120名が在籍し、そのうち20名がラグビー部員です。
20名全員がいなくなっては、稼働率は大幅に下がってしまいます。

TOSENメンバーは、必要最低限に絞ることになり、
共に予選を勝ち抜いた選手も、
残念ながら何人かは連れて行けませんでした。
ただ、現在も従業員200名規模であり、
JAPANトップイースト2のレベルで戦える
社会人ラグビーチームを所有している会社は、
日本全国探しても、ほかに見つからないのではないでしょうか。

本選は山口県代表の日新製鉄が相手です。
悔しくも2点差で敗れてしまいましたが、とても良い経験となりました。

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しかし仕事においては、あまりうまくいっていた記憶はありません。
私たちラグビー部員も、
「仕事もラグビーも取り組める環境を与えてもらっている」
という意識が薄かったのかもしれません。

ただでさえ大きい身体、存在感、
悪目立ちしてしまっていたのでしょう。
顔を合わせたついでに仕事の話をしているだけでも、
ラグビー部は仕事中も
ラグビーの話ばかりしていると噂が立ってしまいます。

私もラグビー部員と仕事の話をしているときに、
当時の生産部長から
「ラグビー部!ラグビーの話をしているな!」と叱られ、
とっさに「仕事の話をしていて何が悪いんだ!」と
言い返してしまったこともあります。
キャプテンである私が皆の見本にならなければならないのに、
若さゆえでしょうか、お酒を飲んで愚痴を言っては発散していました。

仕事では他の社員以上に成果を求められ、
ラグビーでも結果を残すことを求められます。
会社の為、地域の為、ラグビーの普及のため・・・
当時の私にはラグビーの価値などわからないまま、
勝利意識だけに集中していました。
山梨県ラグビー協会の期待を背負ってスタートしたラグビー部、
そのラグビー部に対して、会社はいったい何をしてくれるんだと、
被害者意識に苛まれ、毎日が葛藤の日々でした。

経済状況の悪化を受け、会社経営も縮小を余儀なくされます。
当然、チームも積極的な強化ができなくなっていきます。
ラグビー部員の中にも、何人かは会社を辞めていく人も出てきます。
私は生産加工課から総務課へ異動になり、
簿記の知識もないまま、振込伝票の仕訳けに頭を悩ませていました。

ある時、不在の上司に代わって労使協議会へ出席しました。
経営者と組合員の協議、すべての議題が終了したとき、
生産部所属の組合員からとんでもない質問が飛び出しました。
「会社はどんな目的でラグビー部を作ったんですか?
  現場で働いているラグビー部員が、
『俺はラグビー部がなかったらこんな会社には入らなかった。
 なんで現場作業をしなければいけないんだ』と話していました。」
というのです。労使協議会の場で、血の気が引く思いでした。

仕事とラグビーが両立できる、望んだ環境にいるはずなのになぜなのか。
会社はなんのために、どんな目的でラグビー部を作ったのか。
私も、この時には正しく理解できていなかったのだと思います。

「ラグビーも大切だが、仕事もがんばってほしい、
ラグビー部員が会社のリーダー的な存在になってほしい」と、
当時の社長から真摯な言葉を頂いたのも、この時でした。


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