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「なんのために」 目的を明確にするのか

こんにちは。
スクラムヒューマンパワー代表 日原 達仁です。

私の記事を読んでいただいて、ありがとうございます。

先日、長年お世話になった経営者の方に、
スクラムヒューマンパワー法人化の報告と、
近況を伝えようと連絡をしました。
今は社長を引退されているのですが、
私の携帯電話には「社長」で登録してあるので、
「社長、お元気ですか?」と挨拶します。

嬉しいことに、
「日原君、いつもTwitter見ているよ、頑張っているね」と、
褒めていただきました。
実は会社を退職してしばらく、
体調を崩して仕事ができない時期があったのですが、
「苦しい思いをさせて申し訳なかった」と、
その時のことを謝罪をしてくださいました。
社長のせいではなく、私の目的が、
ビジョンが明確に描けなかったことが直接の要因であったのに、
大変申し訳ない気持ちになりました。

3代目の社長としてバブル崩壊後の苦しい時期に就任し、
数々の経営危機をその経営手腕で乗り切ってきた方です。
当時年頭方針として社員の前で、
「皆さんも苦しいですが、私も同じです。
   皆さんにもたくさん給料を支払いたいし、
   私も経営者として相応しい報酬を得られるよう、辛抱しましょう」
と本音で語ってくださいました。

社長は自身の意見を主張するよりは周囲の意見に耳を傾ける、
慎重に経営するタイプの経営者でした。
当時の私は、社長の存在があまりに薄いのではと、
もっとワンマンでもいい、
なんとか采配して欲しいと不安を感じることもありました。

その頃の私は、全社を管理する業務を、
「人事総務課係長」としては膨大な量の仕事を任されていました。
取締役会や役員会の議事録をデータ化したり、
工場幹部会へ出席し、毎月の経営の動きを把握したりと
非常に多忙な日々を送っていました。
議事録をただデータ化するだけであれば、情報収集のうちです。
幹部会など、経営トップの経営指数を見ることになるので、
「やばいな?ラグビー活動はどうなる??」と不安になったり、
どうしたらラグビー部が続けられるか想像します。

経営を支える。
工場の製品を良くする。
納期を守る。
営業にもラグビー選手が必要じゃないか?
挨拶、清掃、時間厳守はラグビー部が率先しよう、
その方が会社の雰囲気が良くなる・・・

私は妄想も得意なので、諸々妄想が進みます。

ある時、労使協議会に出席したとき、
若い社員から役員に質問が飛び出しました。
「なんのためにラグビー部を作ったのですか?存在意義がわかりません。」
役員の方は、
「ラグビー部は、ラグビーを強くしたいという事よりも、
会社の一体感や、団結力を育てたい。ラグビーの自己犠牲の精神、『ONE FOR ALL,ALL FOR ONE』で、みんなでこの不況を乗り切りたい。その立役者としてラグビー部員には期待している。」と答えました。

続けて私に、
「だから日原、社員に理解してもらえるように、
   体育会系らしく挨拶など模範になってほしいんだ!」
と熱く話してくれました。
会議が終わると、当時ラグビー部の監督をしていた上司が、
「たつ、悪かったな。あの会議に参加するのは早かった。
   次から何があっても私が出席するよ、お疲れ様」
と労ってくれたのですが、私は定時が来てもしばらく放心状態でした。

企業スポーツの本来の目的とはなんなのだろう。
ラグビーチームが強くなるだけでは、駄目なんだ。
仕事、会社のルール、規律、
福利厚生面、モラル、士気の高揚、相互依存の関係性、信頼感・・・
様々なことがラグビー選手に求められ、
更に求心力を与えなけれなならない。

私はキャプテンとして、
選手達に「これからは、さらに会社に貢献しよう!」
と話さなければなりません。
選手たちは朝から晩まで現場作業をして、その後にラグビーの練習です。
心も体もくたくたで、とてもそんな余裕は在りません。
仕事は緊急で重要なことばかり、
何のためにラグビー部が存在するのかなど、考える余裕はありません。

入社3年目でキャプテンに就任、関東社会人2部へ昇格、
選手の実力もあがり、山梨県ラグビー協会や関係者からの期待が高まり、
広島国体へ出場が決まりました。
山梨県のキャプテンを兼務していましたので、
選手の中には全日本で活躍した選手がいたり、
チームの戦力、実力は充実していました。
関東ブロックの予選を勝ち抜くのは、至難の業です。
実業団の強豪チームが県の代表選手でしたので、
厳しいトーナメント戦でした。

広島国体の試合は平日の日程も多く、
工場の稼働を止めるわけにいきません。
我々のチームからは厳選された選手しか参加できず、
予選を勝ち抜いた選手も、残念ながら連れていくことはできませんでした。
ラグビーで結果、成果が達成できても、仕事は別なんです。
あまりにも優遇されていないのではないか・・・。
試合の翌日にはいち早く山梨に帰郷し、昼過ぎには職場に戻りました。

きびしい環境なんだ!ラグビー部が求められている目的はなんなんだ!

キャプテンを務めた2年間では、答えは見い出せませんでした。
自らキャプテンを降り、これ以上は続けられないと、
会社とラグビーの板挟みに苦しみました。

ちょうどその頃、長女が誕生しました。
練習が終わるタイミングで陣痛の連絡があり、すぐに病院へ向かいました。
家族を犠牲にして、
仕事とラグビーを続けてきた本当の理由とは、なんなんだろうか?

「教えてくださいな。
 私はここからどっちのほうへ歩いていけばいいの」
「それは、お前がどこにいきたいかによるな」と猫は言いました。
「私はどこだってかまわないのだけど」アリスは言いました。
「なら、どっちの方を歩いたって同じじゃないか」 

「不思議な国のアリス」の、アリスとチェシャ猫の問答のようです。
私はどうすればいいのか、自問自答を続けていました。

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この時から、
私は「何のためにラグビーをするのか」を強く意識し始めます。
「地域に根付いたチームを創りたい」と考えるようになり、
ラグビーの普及、発展、多くのラガーマンを
育成したいと考えるようになります。
このあたりのことや、チームのクラブ化についてなど、
「クリーンファイターズの軌跡 ~限られた予算で強いチームを作る!~ 5」でもお話しておりますので、興味のある方は読んでみてください!

目的が明確でないと、ビジョンが描けません。
ビジョンが描けないと、多くの人は不安になります。
所属するチームの雰囲気は悪くなり、人は離れていきます。

リーダーがパラダイムを起こすべきなんです。
計画性のない人生を生きるのか、自らがデザインした人生を生きるのか。
知的な創造こそが、物的な創造の先に立ちます!

「なんのために」なのか、
目的を考えるようになり、自問自答を続けました。
目標に対して具体的な結果を思い描くこと、
PDCAより前に「目的」が大切であると気付くことができました。

次回も人材育成についてお話しいたします。
組織の在り方や、個人の生き方のパワーになれれば嬉しいです!


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