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『商品と仕事の価値についての試論-mina perhonenを巡って-』

「格安」とか「半額」とか、「食べ放題」とか「無料」とか、みんな好きだし、それは買い手にとっていいことのように宣伝されている。

だけど、安いということは、その生産に携わった人たちの懐に入るお金が少ない、ということでもある。

より少ない価格で商品を得ようとすることと、作り手の仕事を低く価値づけすることは実は同じことだ。

mina perhonenさんの作る服は、一般的な洋服屋さんで売られているものよりも高いと思う。

でもそれは皆川明さんの妥協のない生地や縫製へのこだわりや糸まで辿る繊維産業とのつながりからくるもので、決して箔押しされたブランドが独り歩きしているものではない。

shopに立つ人、縫製する人、生地を切る人、刺繡をほどこす人、一つの服に携わる人たちがそれぞれに価値の高い仕事をしている結果としての真っ当な価格なのだと思う。

そして、そんな服を着る時は、どこか特別な思いを感じることができる。私たちの毎日の風景や記憶の中に残る服、私はそんな服を着ていきたい。

もちろん服だけではなく、南山さんのお肉や蓮ヶ峰農場さんの卵や鶏肉、作家さんの器に至るまで、そのメカニズムは働いていて、それを「良い仕事ですね」と感じた時に、「安くあること」を望むことは粋ではない。

私はいい仕事から生まれたモノに囲まれて人生を過ごしたいし、それを選べる審美眼を常に磨いていきたいと思う。

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