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東洋医学講座 221

〇夏の心臓の働きと食事

▽動物食と植物食

昔の人が四つ足を食べなかった理由はいろいろありますが、一つの理由としては、日本人の腸の長さに関係があります。日本人の腸は長く、そして小腸の蠕動運動が弱いのであります。蠕動が弱いとそれだけ発熱量が少なくなります。腸内温度で溶解したとしても皮下脂肪として外表につき、末梢血管のように保温性の少ない血管に付着した脂肪素は、容易に分解されません。皮下脂肪として付着した場合は、夏暑くなっても体温冷却が妨げられ、冬は冷たい外気によって皮下脂肪は冷やされて、その脂肪はいったん冷えるとなかなか温まりません。つまり、冷熱のコントロールがうまくつかなくなります。血管壁に付着したものは、血管を狭窄させ、弾力を失くして硬直させるので、心拍動に変調をきたし高血圧となります。

また、小腸蠕動が弱いと長い時間食物が腸の中にあるために異常発酵してしまいます。その場合、動物性のものは異常発酵だけではなく、様々な有毒菌が培養され、微性の食中毒を起こします。それをそのまま腸が吸収します。これでは体に悪いのは目に見えています。植物性のものは異常発酵しても有毒にはなりません。その証拠に少々臭いのあるご飯を食べても平気です。ところが動物食の場合は、同系の食物なので不完全な消化でも血肉になってしまいます。したがって、日本人といわず、本来人間は動物を常食としてはいけません。もし動物食をとるなら、陰の動物も適量とらなくてはいけません。陰の動物とは「魚」であります。

ただし、成長期の子供は動物食をとっても大丈夫です。なぜなら、子供は新陳代謝が早いからです。しかし、胃腸の弱い子は動物食をしてはいけません。湿疹の出やすい子や傷の治りの遅い子などは、腸の運動が弱いのであります。そのような子は乳製品や卵などは食べてはいけません。それらを止めれば、湿疹は治ります。もちろん程度によって治る日数は異なります。

腸の蠕動運動を活発にするためには、繊維素のものを多く食べることであります。繊維素を毎日毎食、食べるとなると玄米しかありません。野菜にも繊維素は多く入っていますが、生野菜を毎日毎食とると身体が冷えてしまいます。玄米を適量よく噛んで食べることです。よく噛まないと反対の働きとなり、ただの負担となって胃腸や腎臓をこわします。

塩味は全身を収縮させ、また、血管も収縮させます。血管が細くなると、血管壁と血液との摩擦度が高くなり、それとともに発熱度が高くなります。さらに、血液濃度も高くなって、発熱度を増します。

春でも夏でも、脂肪や糖質のものを好んで多く食べますと、血液濃度が高くなります。それで脈力の浮速拡大の状態になりますと、猛烈に身体は熱くなります。脈の浮速とは、脈管一杯に拡大することであります。熱くなりすぎるのは若いうちはいいのでありますが、年輩になると段々血管壁がもろくなって、弾力を失います。したがって、このような状態が長く続けていると、ついには高血圧、脳卒中になってしまいます。

高血圧の人の大部分は、若いときに動物食を好んで食べたり、糖質分を過食していたりした人です。昨日今日、高血圧になったわけではありません。それを避けるには、春夏秋冬にあった旬の食事をとらないといないというわけであります。

夏は、ビタミンの多いものとタンパク質を多くとります。飲み物としては、夏は水性(冷性)のもの、冬は保温のために粥性(熱性)のものをとります。

外気防衛の働きとしては、夏は皮下脂肪を脱いで、放熱しやすくし、冬は皮下脂肪を厚く着て、皮膚や筋層を収斂させて保温防衛します。かたや冷却かたや保温であります。

体の弱い人や冷え症の人は、夏でも熱性のものをとることが必要です。なぜならば、そのような人は季節は夏でも身体の中は冬だからです。

病気とは、機能の低下した人のことです。現代人は標準健康体の人はほとんどいません。腎・肝機能の低下している人が大部分です。したがって、夏といえども冷たいものを食べられる人は、ごく限られた健康体の人だけだと認識してください。

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