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作品にリアリティを生むブランディング【NHKドラマ『17才の帝国』劇中に登場する実験国家】(後編)

今年の5月にNHKで放送されたドラマ「17才の帝国」。
このドラマには、AIによって選ばれた17才の少年が統治する実験国家「UA(ウーア)」という組織が存在し、UAを中心にドラマ全体が構成されています。
このUAのブランディングをハイライツで担当しました。ロゴをはじめ、実験国家の要となるAI「ソロン」のデザイン、スマートグラス越しに投影されるUIなど複数のクリエイターたちと様々な議論を重ねて作り上げました。
私達がブランディングを行うにあたって考えたことや、そのプロセスをご紹介します。

前編〉では、ロゴが完成するまでのプロセスと、コンセプトをどのように導き出し、そしてビジュアルに落とし込むかをお話しました。〈後編〉では、ここまで作り上げてきたものをどのようにさまざまなツールに展開していくのかお話します。


5 ネオンサインの制作 

ロゴが決定した後、様々なツールへ展開を進めていきました。劇中で度々登場するネオンサインは特にこだわって制作したツールのひとつです。レトロと新しさの両方を持つアイテムであるネオンは「過去も今も共存させていく未来」というUAの思想を表現する大事な要素になっています。ただ、ネオン管は構造上の制約が多く、どうやったらロゴのコンセプトがうまく表現できるか、担当の方と話し合いながら制作を進めていきました。スッキリとしたネオン管のラインとぼんやりと広がる光が共存していることや、色が混ざり合うところなど、UAのコンセプトを表現できていると思います。

ロゴをモチーフに作成したアニメーションするアートワーク

6 AI ソロンとその他ツールの制作

UAのブランディングにおいて重要な要素であるAIソロンの制作も行いました。
最初に行ったのが、どのような存在であるべきか、性格はどのようなものかなどについてのすり合わせです。それにより劇中でのAIソロンの目指す方向を探っていきます。
すり合わせの結果、ヒューマニティーを感じるものではなく、客観的に情報提示を行うような存在であるということになりました。さらに、エナジーやサイバーといった印象を感じさせず、洗練さと柔らかさを表現していきました。形状としては人のような形をしている瞬間はなく、アメーバのような有機的な円や球体のようなものになっていて、色はロゴの考え方と同様にトリ(マゼンタ)、ヘキサ(グリーン)、ノナ(シアン)の3色が混じり合ったグラデーションになっています。動きもロゴのコンセプトを反映し共生や多様性を表現するため境界線がはっきりするときもあればぼやけるときもあり、冷静な落ち着いた動きをするものにしました。

その他の制作物として、スマートグラスをかけたときに映し出されるUIや劇中に出てくるグラフ等のデザインも行っています。「共生」というコンセプトを反映して色や境界線が溶け合った表現になっていて、ロゴから一貫したブランディングとなっています。

7 まとめ

UAのブランディングは、このような発想とプロセスで行いました。
劇中の世界ではたしかに存在している組織であると感じさせるため、細かい設定や登場人物の思いなどを徹底的に探っていきリアリティのあるブランディングを目指しました。今回のUAブランディングプロジェクトを通してさまざまな学びがありましたが、中でも一番大きかったのが、ドラマの中に登場するものであっても、ベースとなる考え方やプロセスは、ハイライツが普段行っているクライアントさまのブランディングと共通しているということ。
そして、徹底的に掘り下げてアイデアを練っていくことが強いブランディングを生むということです。
このことをこれからのさまざまなブランディングに活かしていきたいと思います。


▼前編

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