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教員の基本給:級や号って何?

公立学校の教員の給与はどのように決まっているかご存知ですか?また、講師と教諭では給与に差があるのはなぜでしょうか。


基本給の決まり方

公務員には、基本給を決めるための表があります。それが給与表です。教員の場合、教育職給与表によって、基本給が決められています(人事委員会規則による)。各自治体によって金額はかなり異なっています。以下に神奈川県の例を挙げます。

神奈川県の教育職給与表(二)

このうちのどの級に応じた基本給が支給されるかは、自分の立場に応じて決まります。5級の幅がある場合は、以下のような適用になります(古い給与表には示されています)。

  • 1級 講師 助教諭 栄養助教諭

  • 2級 教諭

  • 3級 主幹教諭

  • 4級 教頭 副校長

  • 5級 校長

同じ号でも、級が上の方が基本給は高いです。そのため、講師より教諭、教諭よりも主幹教諭、管理職の方が給与が高くなります。ちなみに、教育職給与表(一)は大学(学長、教授、准教授、講師、助教、助手)での適用になります。教育職給与表(三)がある場合は、(二)が高等学校や特別支援学校、(三)が小学校、中学校、幼稚園の教諭に適用されることが多いです(自治体の人事委員会規則による)。

正規採用の基本給

級は立場に応じて決まります。正規採用され教諭になった場合は2級になります。では、号はどのように決まるのでしょうか。

号は、学歴によって決まります。短大、大卒、修士、博士の順で初任でも級が高くなります。各自治体によって多少の違いはありますが、こちらを参考に神奈川県の例を挙げます。

  • 短大卒:7号

  • 大卒:17号

  • 修士:29号

  • 博士:47号

上記の神奈川県の教育職給与表(二)に基づくと、正規採用された大卒かつ新卒の場合基本給は22万6千円で、修士かつ新卒の場合は24万6千円になります。また、新卒でない場合は前職の職歴も加味された号になります。

昇給

号は基本的に経験年数で4ずつ増えていきます。同じ教諭でも、年齢が上の方が給与が高くなるのはこのためです。

臨時的任用教員の基本給

大卒かつ新卒の人が講師になった場合、講師用の1級が適用されます。通常大卒は17号からですが、現在では人材確保の観点から多くの自治体で1級25号から始まるようです。この場合、講師一年目は実は大卒で正規採用された場合よりも基本給自体はやや高くなります。しかし、給与全体は必ずしもそうではありません。

講師の給与に関しては他にも特徴があるためです。1年間働いたあとに再び講師として任用された場合、正規採用と同じく号は4号分上がります。しかし、4号分上がっても、1級では基本給の上昇は少なめに設定されています。また、講師は年度末で退職扱いになり、わずかな退職金が出ます。また、それに伴い講師は前年度の最後に雇用の空白期間があるために、毎年夏のボーナスが2ヶ月分しか反映されず、教諭に比べて1/3に減らされます。さらに、教職員組合の調査によると、講師の場合昇給には上限が設けられています。多くの場合、77号や81号が上限とされ、勤続年数10年強を超えると、それ以上は給与は上がらないことが一般的のようです。

まとめ

教員の給与を決める教育職給与表を紹介し、その級に当てはまる職を説明しました。さらに、正規採用と比較した講師の給与についても触れました。基本給の決定に関しては、意外と知らない方は多いのではないでしょうか。
給与が支給されたり年度が変わって昇給した際には、給与明細を見ることがあるでしょう。その際に、級や号について参考になれば幸いです。

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