映画の感想1 「水曜日が消えた」
水曜日が消えた、という映画を見た。
その話を一応、ネタバレにならない範囲で話したいと思う。
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・解離性同一性障害(かいりせいどういつせいしょうがい)
解離性同一性障害、よくきく言葉でいうと多重人格障害というやつだ。
複数の人格がひとつの肉体に発現する障害で、主には子ども時代の虐待などの激しい苦痛や体験により生じる。
つらい状況から逃げ出すための、依代として人格だったり、元々の主人格を支えるための存在としての人格だったり…
オーストラリアではなんと人格を2500も現れた実例もあり、日本でも直近に13の人格をもつharuさんという方のインタビューがあるのでこれも興味のある人は見てみてほしい。(これ)
「水曜日が消えた」では主人公がこの多重人格障害を持っている。7つの人格は各曜日ごとに、日をまたぐ毎に入れ替わる。
記憶は共有されておらず、イメージとしては7人の人間がひとりに合体したような感じだ。同様に多重人格を取り扱った映画で、有名な「シックスセンス」の監督シャマランが手掛けた作品で「スプリット」もあるがこちらはホラーテイストだが、本作品は人間ドラマだ。
・7つの人格の生活と苦悩
本作品は、「火曜日」と呼ばれる几帳面な人格が語り部として物語を進めていく。「月曜日」は奔放な性格、喫煙者でだらしないため、「火曜日」の一日の始まりは衣服をかいで、タバコ臭い…と嫌悪感を示すことではじまる。
記憶を共有していないため、日々の生活の記録はノートに記されており、また他の人格に意思を伝える方法として、住まいには多数の付箋がそこらじゅうに貼り付けられている。
水やりをお願い
シャワーの水温は熱いままにしないでくれ
ごみは分別するように!
7つの人格は、前述したように7人の別々の人間だ。
性格はもちろん、筆跡も違う、洗面化粧台には歯ブラシとコップが7つ並んでおり、玄関には靴が7足並んでいる。
この映画は映像がきれいだ。特に色彩の使い方がステキで、各曜日の持ち物はすべて異なる色になっており、視覚的にもわかりやすい。
映画の冒頭では主人公のひとり「火曜日」の奇妙な生活模様がコミカルに描かれており、クスっと笑ってしまう。
しかし、「火曜日」は主治医との会話の中で苦悩を語りだし、ハッとさせられた。
・すべてが7分の1
主人公は小学生の頃に交通事故をきっかけに、障害を持つこととなったがそれから現在まで16年もの歳月が経過している。
しかし、火曜日はこう言う。
2年と3か月ですよ、と
彼らにとっては1年は365日ではなく、52日しかない。
このように定量的にもだが、定性的にも7分の1だ。
暮らせる曜日は固定されているため、日々の変わり映えもなく、症状の悪化につながるため日をまたぐまでに眠りにつかなければいけないため、夜更かしもできなければ旅行にもいけない。
もちろん交友関係など壊滅的だ。
些細な会話も共有されておらず、また会うたびにまったく異なる人格なため理解されることもない。
人との関わりも、時間の融通も、完全なるひとりの生活も望めない。
そんな悩ましい生活のなかで「火曜日」はある日の朝、今日の曜日が『水曜日』であることに気付く。
「月曜日」が生活したあとの「火曜日」ではなく
自分(火曜日)が過ごした、次の日である水曜日に。
そして、物語は動き出すってなあらすじですお寿司。
・感想
設定がそも面白いし、言葉だけでなく映像での説明がわかりやすいので混乱するのことなく見れて、かつテンポがよかった。1時間40分ぐらい?の映画だけど短く感じたほど。
語り部となる「火曜日」の演技の子どもっぽさも、実年齢に対して精神年齢の歩みは7分の1であるからと気づいて驚かされた。
いつも血みどろのホラーかグロ映画を見ているので爽やかな気持ちになった。
欲を言うなら、もっと7つの人格を持つ主人公の生活風景を見たかった。
月曜日の野郎、ウンコ流してねぇじゃねえか!!とか。人格によって女性の好みが違うとか生なましい一面が見たかった。
・ならば舞台がもし、ニューヨーク(NY)だったら
7つの人格の表現はもっと刺激的でパーリィナイになってただろう。冒頭からぶっ飛ばしていくだろう。
まず几帳面で真面目な「Tuesday」が目覚めたら、
ベッドの隣には商売女が裸で大麻をキメてるだろう。もちろん使用済のコンドームは転がっている。そのまま女に焚き付けられて大麻を吸った「Tuesday」は半端ないダウナー状態になり、こう言う。
Worst day ever…(人生で最悪の日だ)
うん、ぜんぜん惹きつけられない。
情緒もクソもないね。
いや、クソ(FUCK)はあるね。
ー終ー
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