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史上最強



少しの余裕もないくせに

君は笑うんだ

かわいらしい花のように

かれんな蝶のように



少しも楽しくないくせに

君は歌うんだ

やさしくさえずる鳥のように

心を癒す虫の音のように




空を見上げて ため息をつく

足元に視線を落とし 涙をこぼす

君にだって そんな日があることを

僕は知っている




「僕に何ができる?」そう尋ねても

君は黙ったまま

遥か遠くの地平線を

透き通るような瞳に映し

僕には手の届かない心の奥底で

自分自身を責め続けるだけ



だから僕は

繰り返し伝える

「君は悪くない」

そしたら君は

少しだけ目尻を下げて

僕の顔を見てくれる

近くに僕がいることに

気づいてくれる




君がほんの一瞬でも

「よかった」と思ってくれたなら

僕は幸せ

僕がここで生きている理由がわかる

君と一緒の未来を想像できる

僕が見ているから

君を見ているから

どうか 落ち込まないで




こんな人生も悪くないねと

君が思ってくれたなら

僕の人生も

史上最強といえるだろう





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