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僕も彼女も

「ありがとう」と言われて 手をつなぐ

強い期待と少しの不安

彼女は真っ直ぐに前を向いている

彼女の視線の先に 存在している何か

それを確かめるために

僕は 恐る恐る顔を上げた


真っ直ぐに続く道

いつまで手をつないでいていいのか見当もつかない

「ありがとう」この言葉の意味を

僕は こんなにも深く考えたことはなかっただろう

このまま時が止まればいいのにと

叶うはずもない願いを祈り続ける


僕のことを どう思っているの

知りたいけれど 怖くて聞けない



先に手を離したのは、彼女だったのだろうか

「またね」

そう言い残して 彼女は駆け出した

立ち止まる僕

追いかけてはいけない

そう自分に言い聞かせたのは

僕の道徳心なのか

彼女の羞恥心なのか


ふたりの距離を縮める方法を

僕も彼女も

まだ 学んではいない


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作家。著書「自閉症の僕が跳びはねる理由」「自閉症の僕が跳びはねる理由2」「跳びはねる思考」「あるがままに自閉症です」詩集「ありがとうは僕の耳にこだまする」「自閉症の僕の七転び八起き」他多数。 東田直樹オフィシャルサイト https://naoki-higashida.jp/
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