泣かないで

教育実習から戻ってきました。 
いやー知ってはいたものの聞いてはいたものの実習って大変なのね。とっても薄っぺらい感想。

ということで唐突ですが
実習日記、始まり、始まり~。 

1週目。
メンバーは私含めて4人。

教育大学大学院1年、担当教科理科。しっかり者のお姉さん。あれ?先生じゃないの?すでにベテランの雰囲気。

教育大学大学院1年、担当教科国語。声小さい大人しめな人だけど、うんうんいたいたこういう国語の先生!って雰囲気。

音大4年、担当教科音楽。元同級生…中高一緒だけど友達…まではいかない。ご両親が先生(だったような。)

大学4年(私)、担当教科英語。学生時代は真面目さと、結果オーライをモットーに全てを乗り越えてきた、その他大勢の1人という表現がぴったり。


最初の週はとにかく体力的・精神的にヘットヘト。 なんか変な疲れ方したし、転校生の気分を味わった感じ。「知らん人がいっぱいおるわ~」 みたいな。 「コミュニケーションって何?」みたいなね。 激!人見知りの私には大変だったのです。

そしてそんな中でそれ以上に私を苦しめたもの。それは…

給食!!

ええこんな年になって給食。もう大変。
中学生は食べる量も多いし、それでいて食べるのも早い。
友達とウッキウキでおしゃべりしながらなのに気がついたらもうお皿は空。
すげぇな中学生。(華奢な女子は特に!!)

初日クラス1食べるの遅くて、しかも…
「せんせい、のこしてもいいですか」
(わー!これ中学生の時も同じことしてた…恥)
ええお残ししました。

指導教官の先生には
「早く食べる練習をしてくださいね(溜息)」 「(oh…)はい、申し訳ありません」

まさかこの年になって給食で注意されるとは。
やばい対策を取らないとまた叱られる。恐怖。
(この年になると先生に叱られるってことがもうほとんどないから、免疫がなくなってる)

「先生には絶っっっっ対!言わないでね。君の嫌いなネギと私の嫌いなグリーンピースを交換しようではないか。いいよ!欲しいのなら牛乳も付けるよ。だからお願い!先生には絶っっっっ対!!言わないでっ(圧)」

若者よ、これがネゴシエーションだ。
大人的解決。無事完食。結果オーライ。


なんだかんだで2週目突入。
2週目からは授業開始!

担当教官に「私と同じ授業をしてください。生徒が戸惑います。」と言われていたので
「(御意。仰せのままに。)はい。」

ここでミス。
私は「言われたとおり」同じスタイルで授業をしました。 結果、生徒は飽きました。ちーん。
ドンドン生徒が離れていくのを感じる絶望。そして虚しさ。

黒板 私======大運河(広く雄大な)======生徒

みたいな。忘れられない風景がここにある。

実は私は同じ授業に「プラスα」とか「自分らしさ」を加えなかったんです。何年もかけて培ってきた先生の授業のコピーで生徒を惹きつけられることもなく。そりゃ生徒も面白くないわ。はーい反省。

そうそう。1週目の週末、ある男の子が面倒くs、、、とても善き提案をしました。

「先生、クラス全員の名前、月曜までに覚えてきてね。宿題ね!」
「(いやまてこの土日は指導案作りに教材作りなんか日誌的な(っていうか実習日誌)もん、それに睡眠貯金とかHP回復とか諸々で予定はいっぱいだよ…)

…おう任せとけ!」

言葉は滑らかに朗らかに。
はーい、つんだつんだ。

こうして2週目の月曜に全員の名前チェックテストここに爆誕。

言い訳じゃないけどいやまあ言い訳だけど、
私だって覚える気でいたよ。なんならその時点で7割くらい覚えてたし。
たーだっ!やっぱテストって言われると自信なくなっちゃうって言うか、ほら名前間違うのって失礼じゃん?って言うか、大人しめの子はあやふやだったっていうか…。(ごめんなさい)

これを機に、日誌は捨てて指導案作り及び教材作りと、睡眠及びHP回復をやりつつ、必っっっ死で覚えました。

結果、大成功☆

ここからグーーーンと生徒との距離は縮まりました。

たかが名前、されど名前。
あんなにコミュニケーションとれんで悩みよった1週目はなんだったんだ??

でもやっぱりまだまだ話さない子もいたし、なんとなく私が苦手だなーって思う子もいました。こんなの本当にダメなんやけどね。
苦手って勝手に思ってた子も話してみれば普通の子。 先入観ってダメやんね。

そんなこんなで2週目終了。
この日で私以外の実習生はお別れ。


ここからようやく3週目。 
3週目からはひとりぼっち。

1人になってからは先生達がかなり声をかけてくれるようになって嬉しかったです。
それに4人でいたときは実習生控室の前を素通りだった生徒も、私1人になってからは声をかけてくれたり、3年生なんかは入って来て勝手にくつろいだり。

その時間は楽しかったなー。
中学生のパワーっていうかエキス?みたいなの吸い取りました。あー若返り若返り。

世間話したり受験の話したり。
そんな多くの生徒の中で記憶に残っている子がいます。

私の前で泣いちゃった女の子。

所謂ちょっとやんちゃで不器用な、先生にも言い返しちゃうぞ!体育が大好きでも勉強は嫌い!なタイプの子。

実習に行った6月は、受験に向けて教室内の空気が変わりつつある頃。そのせいで自分と絡んでいたはずの友達とは妙な距離ができてしまって、でも自分はみんなと同じ波に乗れない。先生からもちょっとだけ邪険に扱われるような気がするし…。どうしよう、どうしよう…。

その日、その子はいつもの雰囲気とは全く違っていて、親にも先生にも、もちろん友達の前でも、絶対に見せられないその姿を私に見せて、

何も言わず静かに泣いていました。

中学生は幼い。
でもときに大人。
微妙な時期。
自分でもなぜイライラしてるのかわからない。

大人は「たかが中学生」と言うかもしれない。

でもそんな中学生でも、
悩んで、苦しんで、ちっちゃい体で色々背負って毎日学校へ来てる。

知ってますか?大人の皆さん。

私は何もできず、
もちろん当時の私に何か気の利いたアドバイスなんて出来る筈もなく。

(ね、泣かないで…)

と思いながら、ただただ同じ空間で同じ空気を吸って過ごしました。
思い詰めたような彼女の表情が今でも忘れられない。


大人になると、大人になれれば…
(ある程度)自分の意思で自分のお金で自分の責任で。その環境から変わること、逃げ出すことは出来る。だけど義務教育下の中学生は難しいよなー
なんてぼんやり思っていました。


そうしてるうちに査定授業。

結果から言うと大成功!!
先生にも「査定が今までで一番いい授業やった。」って言っていただけました。
やっぱり生徒を名前で指名していたのは、かなり好印象だったみたい。


そして最後の日。 

これは私にとって完璧に想定外。
みんなの前で泣きました。
あーあ、私そんなタイプじゃないのに。

あんまり私のことよく思ってないんかなって思っていた女の子(スクールカースト最上位級)が泣いてくれて、しかも大号泣。
あぁ…私がこの子のイメージを勝手に作ってしまったせいで、この子のことを知ろうともしなかった。知れる機会はあったはずなのに、最低や…。

「人見知りなんてクソくらえ」

今の私のベースとなる部分は、この瞬間この母校の黒板の前で基礎工事が完了。
(この後また色々な経験をして、全工事完了するのはもう少し後の話)


ありきたりですが、3週間大変でした。

きつくて、
眠くて、
暑くて、
コミュニケーションとれなくて、
給食は食べられなくて、
授業は思うようにいかなくて…。

でも生徒のたった一言の
「頑張って!」とか
「面白かった!」が
あんなに私を救ってくれるとは…。
改めて人の持つパワーに気がつきました。
言葉って不思議。


さあ無事大学4年間の総まとめ的イベントは終了。
これからどうしよっかな。就活せなね。 

誰か職をください(切実)。 


以上が私の大学4年の時、mixiに書いていた日記に色々加筆修正しての再編集ver.です。


私は大学4年の6月に教育実習に行きました。

大学で沢山の教職に必要な単位をとり、沢山の課題をこなしてきましたが、最後のクライマックスの教育実習という場で、教員にはならないことを選択。

実習期間中、自習監督を1人で任される機会がありました。それまでは必ず指導教官の先生と一緒に行動していたので、全く1人は初めて。
そんな自習中、生徒がふざけて教室から脱走。それを見た私は、「今この子が死んだら責任取れない!怖い!」(得意の妄想大爆発)
「え?そんなことで?」と思われるかもしれません。でもそれが私の中では本当に「急に」怖くなった出来事でした。
そんな経緯もあって、一般就職の道に進路変更。

その後、何がしたいかも分からず、何ができるのかも、はては自分が何者なのかも全く分からず、卒業しても内定は頂けない残念な学生でした。

みんなと遅れて約1ヶ月。

とにかく働かなければとアルバイト(所謂フリーター)採用ではありますが、ある会社からようやく拾ってもらえたのでした。

今、妙にリクルートスーツを着こなしている、疲れ切った切羽詰まった表情の、昔の私のような学生を見ると、いたたまれなくなります。数年前の自分を見るようで辛い。なぜか周りと同じ波に乗れなかった私。

「大丈夫なんとかなるよ!」

そんな気やすい言葉が彼女達の胸に響かないのは、私がよく知っています。

でもね、
その後なんだかんだあって、内部試験を受け、トントン拍子にアルバイト→契約社員→正社員となり、さらに会社から認められて管理職になり役職も付くようになりました。
コロナ禍の今でも、美味しいものを食べれば美味しいって思えるし、友達とオンライン飲み会して大笑いすることも出来ています。
今のあなたがいる所から少し先の未来にいる私は、コロナに怯えながらもなんだかんだ楽しく生きてるよ。こうやって過去の事を振り返ることも出来る様になったよ。

だからあえて言う。

「大丈夫。」

こんな言葉クソくらえだって、
自分の描いていた未来じゃないって絶望しているかもしれないけど。大丈夫だよ。


母校でのあの暑い昼下がり、
私の前で涙を流した不器用な彼女が、もし大学にストレートで進学していれば今年が新社会人1年目。
大人になった彼女が、自分の意思で自分の責任で。素敵な人生の選択が出来ていますように。今どんな環境にいるか私には分かんないけど。

そんな彼女が、いつも笑顔でいられますように…。


だから…ね、泣かないで。


#教育実習 #泣かないで #大丈夫 #思い出

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