見出し画像

パワーリフター&ベンチプレッサー目線でのRPEトレーニングの効果

※2021年6月14日更新

現在、RPEを活用したトレーニング実施支援ツールとして、以下の3つを公開しています。

RPEベースのトレーニング・プログラム作成&トレーニング実施支援&トレーニング結果分析ツール※有料

RPEを活用したリアルタイムな調子に合わせたトレーニング重量の自動提案ツール(通常バージョン)

RPEを活用したリアルタイムな調子に合わせたトレーニング重量の自動提案ツール(RPEストップ法バージョン)


「RPEストップ法」については、理学療法士として活躍されISSA Advanced Powerlifting Instructorの資格をもつLIFTING THE APEXさんがnoteで紹介されていますので、そちらをご確認いただければと思います。

有料記事にはなりますが、RPEトレーニング以外にもパワーリフター&ベンチプレッサーにとって非常に有益な情報を多数公開されていますので、自身の記録向上のために少しでも知識を増やしたいという方には必読の記事だと思います。


今回は記事はツールの提供ではなく「パワーリフター&ベンチプレッサー目線でのRPEトレーニングの効果」ということを、最新の科学的な知見に基づいてということでなく、あくまでわたし自身の経験に基づいた主観を中心として内容をまとめさせていただきました。

書き終わってみれば本当に無駄に長文になってしまっただけでなく、一部の人には役立つかもしれませんが大部分の人には「ふーん、そうなんだ」くらいにしかならないような内容となっています。

自分で言うのも何ですが、主観をまとめたはずなのに妙に理屈っぽい。お読みいただく場合はそのつもりで読んでいただければ幸いです。


はじめに


近年、トレーニングに関する研究論文がインターネット上で多数公開され、またそういった情報を日本語に訳してブログやYouTubeで公開する方も増えてきました。それにより以前とは比較にならないほど最新の科学的知見に基づいた有益な情報というものが入手しやすくなり、以前に比べるといわゆる正しいトレーニング知識を持ったトレーニーは大幅に増えてきたという印象です。

わたし自身も数年前まではベンチプレスの現役の競技者であると同時にトレーナーでもありましたので、自身の競技に活かすためや他者に還元するためにそういった情報の入手を好んで行っています。

稀にそういった最新の科学的な知見に基づいた情報(そうでない情報も含めた)の発信により、これまで自身が行ってきた行動を否定されるようなこともあり、人によってはそれに対して「それは間違いだ」と強く主張するようなこともあるようですが、何事も目線を変えると違うものが見えてくる、自身が納得いかない無益だと思う情報にも自身の目線や立ち位置を変えると有益となる情報が隠れていると思い、一旦はその情報を受け止めるというスタンスで情報を取り入れています。

ただ、どうしても競技者であったということからか、最新の科学的知見に基づいた情報というものを受け止める際は『競技者目線での活用や有用性』といことをまずは考えるという傾向が強くなっています。

「最新の研究結果だからそれは100%間違いない」「そっくりそのままやってみよう」

ということにはならず、自身のこれまでの経験や身の回りの競技者の実情を思い浮かべて

「本当に有益かどうか?」「これまでの状況を考え、取り入れるならどう取り入れるべきか?」

といったことを考える。また

「過去の~という状況は最新の情報の~ということが該当するのでは?」「だからこそ、~という形での取り入れ方が適切ではないか?」

といったことをまずはグダグダと考えるわけです。

また、最新の情報にもちろん価値があると思うのですが、いわゆる実体験によって構築された独自理論にも同じぐらいの価値があると思っています。

独自理論はその独自性が強くなれば強くなるほど、先のこれまでの自身の行動を否定されるような情報と同じく

「それは間違いだろう」「いやいや、さすがはないだろう」

となりがちなのですが、その独自理論も目線や立ち位置を変えることで何かしらの有用性を見出せる。また自身の中でその独自理論をかみ砕いて新しい理論として再構築することができるということから、実体験に基づく独自理論にも非常に価値があると思っています。

すごく乱暴な言い方にはなりますが、研究されて数字化されているか研究されずに数値化されていないか、比較的万人に向く理論であるかそうでないかという差があるだけで、誰かに対して効果があるということには変わりはないと思っています。

最新の科学的な知見に基づいた情報にはもちろん価値があり、競技者としてトップに立つような選手=いわゆる他者が真似できない天才型の選手の構築した独自理論はそっくりそのままは利用できないもののそれだけの結果を生み出した理論であることを考えるとうまく活用することができるのであれば大きな価値がある。

また、競技者として特別大きな結果を出していない人の理論までいかないような実体験として主観や考察、それこそ単純な結果報告だけでも多角的に見ることで十分に価値があると思っています。

すべてに価値があり、また「おもしろい」と思うのですが、やはりその中で一番「おもしろい」と思うのは

『最新の科学的な知見に基づいた情報を活かしながら、それを独自理論として再構築したもの』

だと思っています。

「いやいや、そこは最新の理論そのままで良いだろ?」

となるのが一般的な考えになるのでしょうが、あくまでベンチプレスというマイナー競技ではあるものの自分自身が何度も日本一になり一度ではあるものの世界一になったこと。また身の回りに世界大会で何回優勝したか数えるのが面倒になるような正真正銘の世界一がいたり、その選手兼指導者が育てた多数の世界で上位レベルの選手達がこれまで強くなってきた経緯を見ているため、どうしても最新の理論をそっくりそのまま取り入れるということに対して違和感を感じてしまうわけです。

このnoteを書いている今現在、たまたま縁があってJOCの強化スタッフとして複数スポーツの日本代表選手のトレーナーをされている方と一緒に働いているのですが、詳しくは書けませんがオリンピック競技での日本のトップ選手の皆が最新のトレーニング理論と言われることばかり行っているなんていうことは決してなく、都度取り入れるようなことがあっても大部分はそのスポーツ特有の理論でトレーニングを実施していたり、個人スポーツのトップ選手であれば選手個人の裁量によってトレーニングの大部分が決定されているということを聞いていることもあり、他の人よりも独自理論に価値を感じてしまうのかもしれません。

少し話がそれましたが、今回わたしが投稿させていただく「パワーリフター&ベンチプレッサー目線でのRPEトレーニングの効果」の記事は『最新の科学的な知見に基づいた情報を活かしながら、それを独自理論として再構築したもの』なんて大それたものではありません。

あくまでわたし自身がRPEトレーニングを行った経験や、身の回りの他者にある程度行ってもらった結果、自身や身の回りの他者の過去からの状況等を思い浮かべたうえで

「こういった効果もあるのかも?」「こういった活用もできるかも?」

ということを掻い摘んでまとめたものとなっています。内容としては、正しくは

『自身の経験による主観を中心としたRPEトレーニングの効果考察』

となるわけですが、わたし自身がそう感じるように一個人の主観での考察を楽しめるような方に読んでいただければ幸いです。


一般的に言われているRPEトレーニングの効果


・状態に合わせたトレーニング重量の調整
・目的に合わせたトレーニング強度およびボリューム調整
・漸新性過負荷の調整
・Effective Repのコントロール
・挙上速度のコントロールによるトレーニング強度およびボリューム調整

表現の違いはあるもののすごくざっくりと書くと以上のようなこと+αがRPEトレーニングの効果として紹介されていることが多いと思います。

こういったことをわたしが改めて書いても面白くもなんともないので、以下のリンク先等からご確認ください。RPE以外にもトレーニング関わる多くの有益な情報を発信されているサイト(筋トレ研究所さん)で、分かりやすくRPEトレーニングの効果についてまとめられたとても参考になる記事となっています。

先に書いたように、最新の科学的知見に基づいた情報だけでなく、個人の実体験の報告(主観や考察)に価値を感じるということもあり、上記リンクの筋トレ研究所さんの記事内にある

「経験上、トップセットを終えた後にRPE6-7くらいでバックオフを行っていた時の方が、スムーズに筋力が伸びています。」

という一文が印象に残り、また「おもしろい」と感じました。

だからこそ、今回の記事を投稿しようと思ったしだいでもあります。


個人的主観によるRPEトレーニングの効果考察


前置きが長くなりましたが、あくまでわたし一個人での主観を中心としたRPEトレーニングの効果考察について記載させていただきます。
一般的なRPEトレーニングの効果を紹介したサイトで見たこともあるような内容もあるとは思いますし、また書き出せばまだまだあると思いますが4つにまとめました。

どんなことからも無理やりでも少しでもプラスになることを見出そうという姿勢の、かつ独自理論が大好きな人間による主観を中心にまとめていますので「いやいや、それは違うだろう」と思うようなこともあるかもしれませんが、そう感じた場合は読み飛ばしてもらうか「まあ、確かにそういった側面もあるよね」くらいの軽い気持ちで読んでいただければ幸いです。

1.日々のトレーニングに対する意識向上
2.自己評価の連続によるトレーニングフォームの改善
3.加齢および傷病に適応した疲労回復のコントロール
4.自身の課題の洗い出し


1.日々のトレーニングに対する意識の向上


通常、トレーニングを行う際に考えることは「重さ(強度)×回数」で次に「セット数」になると思います。「今日のトレーニングは120kg×8回×3セット」という感じですね。で、この時に使用する重量や挙げる回数が本当に限界ギリギリの場合=成功するかどうか分からないような挑戦するような場合、様々なことを意識してトレーニングを行い、またそのトレーニングに向けて様々な準備をすると思います。

ウォーミングアップもしっかりするし、トレーニング前の栄養補給も考えるし、当日のトレーニングに影響が出るような(疲れるような)ことはしないし、前日の睡眠もしっかりとるようにする。また挑戦する日が分かっているのであればその日に向けて出来る限り余計なストレスを溜めないように日常を過ごす等々、トレーニング以外のシチュエーションでも出来る限りその挑戦が成功するように意識し、また挑戦を成功させるための努力をすることになります。

ただ、一般的なトレーニング方法ではこういった挑戦するという機会はそれほどなく「今日のトレーニングは自己ベストー10kgの110kg×8回×3セット」といったような特別な準備がなくても出来てしまう、何となくやっても出来てしまうようなトレーニングを実施することの方が多くなっています。

挑戦するという目的がなければトレーニング以外のシチュエーションで意識的に努力しなくなるのが普通で、それこそ人によってはウォーミングアップをしっかりとしないだけでなくメインセット自体も何となくテキトーにやってしまう人も多いと思います。

何となく日々を過ごし、何となくトレーニングを行い、結果として残るのは

「思ったよりも重かったな」

というアバウトな感覚だけ。

そういった姿勢で日々のトレーニングを行う場合と、挑戦するときのように様々なことを意識してトレーニングを行う場合と比較して「どちらが効果が出るか?」ということは誰の目にも明らかだと思います。

どういった意識を持ってトレーニングを行っているかは人それぞれですが、何かしらの結果を出しているような人はほぼ確実に何かを意識している、考ながらトレーニングを行っています。

ここでも前置きが長くなりましたが、RPEトレーニングでは「重量(強度)×回数×セット数」という通常のトレーニングで考えることに「感覚」というものを追加し、それによってある意味で毎日のトレーニングだけでなく毎回のセット練習で挑戦する=『より軽く挙がるように挑戦する』というシチュエーションを作り出すことができます。

セット練習のあとに「今のはRPE8.0だったな」なんていうような事後の結果だけを考えるのではなく、事前に「今日はRPE8.0の重量でのトレーニングを行う」=「2回の余裕を持って挙がるはず」ということを考え、そこから「2回の余裕を持って挙げるためにはどうすれば良いか」ということを考える。

さらには「2回以上の余裕を持って挙げるにはどうすれば良いか」という考えを持つようにし、それによって挙がるかどうか分からないような重量に挑戦するように挑戦する意識=『より軽く挙がるように挑戦する意識』を持ち、当日のトレーニングだけでなくトレーニング以外でのシチュエーションでもそれを達成するための努力をするように自分自身に発破をかけることができます。

まあ『より軽く挙がるように挑戦する意識』までいかないにしても、8回狙いのトレーニングで8回きっちりと挙げきるために色々と意識するように、RPE8.0のトレーニングで2回の余裕を持って挙げるために色々と意識するだけでも「何となくトレーニングを行う」ことと比べて大きな違いが生まれます。

RPEトレーニングを導入したとしても特別に大きな目標もないのであれば常に高いモチベーションを保つのは不可能だとは思いますが、通常のトレーニングと比較して圧倒的にトレーニングに対する意識を高めやすい、RPEトレーニングには自然と日々のトレーニングに対する意識を高めることが出来る効果があると思っています。


2.自己評価の連続によるトレーニングフォームの改善


1.でも書きましたが、通常は日々行うトレーニングは何となくやっても出来てしまうトレーニングを行うことの方が多くなっています。何となく出来てしまうトレーニングでウォーミングアップから毎セットのフォームの良し悪しを考える人は少ないでしょうし、人によってはメインセットでのフォームの良し悪しでさえ考えないということもあるかもしれません。

RPEトレーニングで常に挑戦する=「より軽く挙げるor予定通りの感覚で挙げるための意識を持つ」というシチュエーションを作り出すことが出来れば

「メインセットはRPE8.0の重量だけどそれよりも良い感覚で挙げたい」「予定通りきっちり2回の余裕を持って挙げたい」

ということで、自然とウォーミングアップからフォームがより良くなるように努力することができます。またそれだけでなく、メインセット後に

「今のセットはフォームの~という部分が良かったから予定よりも軽く挙がった、予定通りの感覚で挙がった」「~という部分が悪かったから予定よりも挙がりが悪かった」

といったフォームに対する振り返りをRPE結果に関わらず自然に行うようになります。

実際に挙がるかどう分からない限界に挑戦するようなトレーニングで、かつその挑戦がダメだった場合にフォームの良し悪しの振り返りを行うことはよくあるでしょうが、そのような機会は非常に少なく、また挙げようすることで精いっぱいであるため、そのフォームの良し悪しの判断が正確である可能性がどうしても低くなってしまいます。

それに対しRPEトレーニングは設定値にもよりますが、ある程度のゆとりを持って目標回数を挙げることができるトレーニングであるため、実際に挙がるかどう分からない限界に挑戦するトレーニングと比較して、より正確にフォームの良し悪しの振り返りが行える可能性が高くなってきます。

自身のトレーニングフォームは自分ではしっかりと見えないもので、通常は他者からの指摘で評価・改善されるものとなりますが、RPEトレーニングではより軽く挙げるために自然とフォームを改善しようとする意識が持て、フォーム改善に努める機会を増やし、より軽く挙がったorそうでなかったという自身の感覚=自己評価の連続により、通常のトレーニング比較でフォームの改善が行い易くなっている、トレーニングフォームの改善効果があると思っています。
※あくまで自己評価のため、最善のフォームであるかどうかは別の話です


3.加齢および傷病に適応した疲労回復のコントロール


RPEトレーニングでの科学的な知見に基づいた疲労回復については以下の記事がとても参考になります。

わたしの記事での疲労回復のコントロールについては、あくまで「こういうことが出来たら良いな」ということと、自分一人の個人の実体験についてを書かせてもらいます。

まず、疲労回復のコントロールについはRPEだけでなくボリュームや強度等々のトレーニングにおける様々な要因+αから考える必要があり、競技者を対象とするのであれば具体的に数値化された「万人向けの最善の疲労回復のコントロール方法」なんてことを導き出すのは不可能だと思っています。

その理由はトレーニングをされている方であればすぐに想像できると思いますが、シンプルに「個人差が大きすぎる」ということが理由になります。

実際に具体例をあげてどれだけ個人差が大きいかということを、世界大会に出場するような日本人ベンチプレッサーで例にあげると

・連日で9.5-10RPEでひたすらトレーニングを行う
・30~50セット/日のトレーニングを5日/週で行う
・90~100%の強度でしかトレーニングを行わない

といったような常識から逸脱したトレーニング内容で疲労回復のコントロールを行っている人がいる一方で

・2日/週の頻度で合計6セットのトレーニングしか行わない

以上のような一般的に適切とされる内容より少ないボリュームで疲労回復のコントロールとしている人もいます。あくまでそれらがその人たちにとって最高の結果を出すための最善の疲労回復のコントロール方法というわけではありませんが、個人差が非常に大きいということはご理解いただけると思います。

ただ、先に述べたように競技者を対象とするなら「万人向けの最善の疲労回復コントロール方法」というものは導き出せないのですが、自身のRPEを含めた様々なデータを取り、そこから自身のための「最善ではないもののある程度適切な数値化された疲労回復のコントロール方法」というものを導き出すことは可能だと思っています。

例えば

「20代のときは限界に近い重量(RPE9.0-10.0相当)で連日でトレーニングを行い結果を出せたけど、40代なった現在はそもそも連日でトレーニングを行うと回復が全く間に合わない」

だから

「回復が間に合うようにトレーニング頻度を減らしたけど、頻度を減らしてからこれまで挙がっていた重量とは程遠い重量しか挙がらない」

なんていうことはよくあると思います。

そういった場合にRPEを含めた様々なデータを取り、例として

・RPE8.0以上のトレーニングするのは3セット/日かつ6セット/週まで
・ベースとなるRPEは7.0
・週に4回の高頻度でトレーニングするけどそのうち2日はRPE6.0をベースに
・8週間のうちRPE9.0以上を扱う期間を2週間だけ設ける
・1日のボリュームは最大3tまで
・1週間の総ボリュームは最大10tまで

以上のようなある程度具体的に数値化した、どうしてもベースとして考えたくなる最盛期の20代のときとは全く異なる

「加齢とともに衰えた今現在の自分の回復力に適した疲労回復のコントロール方法」

を導き出すということも可能だと思います。

また、先に書いたような常識から逸脱したトレーニングを行い、それで疲労回復のコントロールを行っている人であったとしても、仕事のストレスや生活環境が変わったためトレーニングのボリュームを1/10に減らしても回復が間に合わない=疲労回復のコントロールができなくなるなど、個人差だけでなく同一個人であってもそのときどきの状況によっても適切な疲労回復のコントロール方法というものは大きく変化します。

そういった場合は通常時以上に適切な疲労回復のコントロール方法を導き出すのは難しいのですが、

「仕事が忙しくストレスが溜まりやすいときや、トレーニングに集中できないようなときのための疲労回復のコントロール方法」

といったことも、自身のデータ取りからある程度は準備することも可能なのではないでしょうか。

そして、ここからは完全にわたし個人の経験によるもの、傷病への適応について簡単にだけ書かせていただきます。

わたし自身は元々あまり無理をしないという性格もあってか、20代前半~30台後半の15年近い競技生活の中でほとんど怪我らしい怪我をしたことがありませんでした。

仕事の休憩時間にトレーニングをすることも多く、ウォーミングアップも含めて最長1時間、30分でトレーニングを済ませるということも多く、そのボリュームの少なさのおかげで怪我をしなかったのかもしれません。

ただ、積もり積もったものがあったようで、筋肉や靭帯の損傷でなく自然治癒しない軟骨や骨が削れ、痛みからトレーニングができない状態となりました。手術によって日常生活は問題なく過ごせる状態になり、工夫をすればトレーニングが全くできないという状態ではなくなりましたが、常にある程度の痛みがあり、またうまくトレーニングを行わないと後日の痛みが強くなり、トレーニングがまともにできなくなくなります。

そしてその状況を何とかして打開するため、トレーニング内容による後日の痛みへの影響度合いを数値化させ、ある意味それを楽しみながら考察し、約2年間かけて見つけた怪我の痛みと付き合いながら行えるトレーニングというのがRPEを活用したトレーニングだったわけです。

身の回りの競技者の実情を考えてみても、怪我をしたという人にとって「トレーニングを休む」ということが一番無難な選択肢であり、ほとんどの場合でそれは一番効果的な対応だと思っています。

ただ、私のように完全に治ることのない怪我もありますし、競技者であればその怪我とうまく付き合いながらトレーニングを行う必要のある方も多いと思います。

・RPE8.0以上のトレーニングは1日に最大2セットまで
・連日トレーニングの場合は1日はRPE7.0以下をベースとする
・オフ前だからといってボリュームを増やし過ぎず、ベースとなるトレーニングの1.3倍までにボリュームを抑える

詳しく書けばまだまだありますが、以上が現時点でのわたしの「怪我とうまく付き合うためのトレーニング方法=傷病に適応した疲労回復のコントロール方法」となります。

これが分かるまでかなりの時間を要し、また今現在も怪我をする前の競技者としてトレーニングを行っていたときと比べると遥かに軽い重量しか挙がりません。競技者として復帰するためには今よりもトータルで強度を上げたトレーニングを行う必要があるでしょうし、そもそも強度を上げずに現在のトレーニングを続けても今後わたしの怪我が悪化する可能性も十分にあります。

ただ、RPEトレーニングを取り入れることで、出来なかったことができるようになったということは間違いありません。

以上はあくまでわたし一個人の経験談でしかありませんが、競技者で多いであろう怪我とうまく付き合いながらトレーニングを行う必要がある人にとってRPEトレーニングは効果的である可能性が高いと思っています。


4.自身の課題の洗い出し


『日々のトレーニングに対する意識向上』『自己評価の連続によるトレーニングフォームの改善』『加齢および傷病に適応した疲労回復のコントロール』といったことを、あくまでわたし一個人での主観を中心としたRPEトレーニングの効果としてあげさせていただきました。

いずれも「重量(強度)×回数×セット数」というこれまでのトレーニングでの主となることから新たにRPE(感覚)というものを追加し、RPEを意識してトレーニングを行い、その結果を管理考察するという『自身の課題の洗い出し』を行うことによって得られる効果となります。

RPEを意識してトレーニングを行うだけでも『自身の課題の洗い出し』の効果はある程度得られますが、それを一定レベルの競技者に適した記録向上・疲労回復のコントロール・怪我の回避等々で活かすとなると後々に結果考察ができるような管理、出来る限り数値化させて管理を行う必要があります。

先に書いたわたし一個人の傷病に適応した疲労回復のコントロール方法は、RPEを意識したトレーニングを行うだけでなくRPEおよびその他の様々な要因を出来る限り数値化させて管理記録し、それを考察することで導き出せた方法となります。

RPEに関わらずトレーニング行った結果として拾えるデータはすべて数値化させて拾い上げ、

「過去の一番調子が良かった時の理由」「現在の調子が悪い理由」「記録が伸びた理由」「記録が伸びていない理由」

等々を数値化させ、それを様々な角度から見て考察を行う。

そして

「今後自分がやるべきこと」

についても数値化させ、それに基づいてトレーニングを行うことで大きな効果が得られると思っています。

天才型の選手はそういったことをやっていないことが多いのですが「今後自分がやるべきこと」を感覚的に理解し、それを頭の中で整理して数値化させ、そこから必要なトレーニングを導き出しトレーニングが行えるため他の人より結果が出せるのでしょう。当然ながら皆が天才ということは決してありませんので、通常は先に書いたような方法を行うべきです。

既にnoteで公開させていただいている冒頭で紹介させていただいた【RPE Training Support Tool】や近日中に公開予定の【RPE STOP Training Support Tool】は、RPEを意識してトレーニングを行うためのツールになりますが、現在作成中のツールについてはそういった数値化できるデータを拾い上げ、「今後自分がやるべきこと」を視覚化することが出来るツールとなっています。

当初は、パワーリフティングやボディメイクにも一応は活用できるツールではあるものの、あくまで自身がベンチプレスの選手であるためベンチプレス単体での活用をイメージしたツールでしたが、パワーリフティングやボディメイクにも対応できるよう現在は

・最大5種別のトレーニング種別分け(SQ・BP・DLや胸・背中・下半身等々)
・最大30種目のトレーニング種目設定
・1日に最大8種類のトレーニングを30種類のトレーニングから選択
・RPE Training Support Tool機能+RPEストップ法(バックオフセット)でのトレーニング実施支援
・設定トレーニングおよびトレーニング実施結果の各種データ集計
・集計データの項目を自由に選んでのグラフ作成による視覚化

以上のように機能を追加し、誰しもが先に書いたことができるようなツールとなるよう作成を進めています。


最後に


当初はもっと簡潔に分かりやすく『自身の経験による主観を中心としたRPEトレーニングの効果考察』をまとめさせていただくつもりでしたが、書き終わってみればかなりの長文となってしまいました。

主観を中心とした内容となっているため、当然ながら万人向けの内容ではないのですが、捉え方しだいでは多くの人に有益となる可能性のある内容ではあると思っています。

ツール提供以外にも、機会があればこういった主観による考察記事を投稿させていただく予定です。

駄文ではありますが、少しでも参考になったと思う方がいらっしゃいましたら、スキやフォロー等々をいただければ幸いです。

東坂康司

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?