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親子と夫婦

推しのミュージシャンが好きだと言っていたので初めて手に取った、寺山修司の「家出のススメ」を読みながら、親子と夫婦について考えた。

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寺山修司、私はさして好きでなかったけれど、スラスラ読めるのは不思議なもので、その現象は村上春樹にも通じる。春樹作品には入れ込むような感動は起こらないのだが、古いのはそこそこ読み切ってしまった。

そういった、通常の自分とは異なる思考リズム(文体)の刺激によって、通常の自分の中で滞っていた考えが言葉になったように感じたのでこの書き出しだ。

こういったイチから説明したくなる性分はASD気味だなと思う。
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本題。父と私は似ていると家族に言われて育った。
それを言っている母は、私が成長して大人の相槌が打てるようになると、毎日父の悪口を聞かせていたし、妹が言う場合もその文脈は母への同情ベースだったので、似ていることを私がポジティブに受け取れるはずはなかった。
しかし実感としても、父とは話しが通じやすく、似ているのだろうとは思う。

父はバリバリの理系で、研究機関で定年まで働いた。母は私達が大きくなると低学年向け家庭塾の先生などしていたが、主に主婦的な生活だった。
父は簡単に言うと俗物を嫌い、科学的で崇高なものが好きだった。母はミーハーで、、比較的短略的な楽しみを糧に今日明日を生きるイメージだ。
私は母の性格の解像度が低い。正直よく分からない。

そんな母と父は私が小さい時もよく夫婦喧嘩をしていた。うまくいかなさをお互いずっと抱えていたが、よく家族旅行もいったし、なんとかやり過ごしてきたんだと思う。

それが最近になって離婚だなんだという話になっている。(元気だな)
その原因は、言いにくいが母の宗教だ。
昔から家庭内宗教戦争だった。もう一度言うが父は理系だ。母が信仰しているのは、いわゆる新興宗教なのだ。
(不幸中の幸い、献金や熱心な勧誘のようなことはしていないそれほど強制されないタイプのようだが)

うーん、原因は宗教、と一言では言えないものがある。
そもそも違った性質を、恐らくきっとお互い「そこも良い」と思って結婚した部分もあっただろう。それで途中で発覚してきた不都合な違いを、埋めたり受容しあったりできなかったんだろう。その過程の苦しさもあって、母も宗教に入ったのかなと想像する。

ここまではぼんやり思っていたことだったのだが
今し方の父との電話で理解が深まった。
宗教戦争が始まったのは私の記憶ベースでも24年前だ。実際はもっと前からだろう。
それなのにまだ父は「母が分かってくれない」と「悲しい」と言っていたのだ。
そしてそのベースには「母は間違っていて、考えを正しく治すべきだ」という主張が短い電話からでも滲み出てしまっていた。


一方我が家。私と夫の関係悪化の歴史も長くなってきた。
要するに子供が産まれてからなので、もう7、8年。
その原因は自分的にはめちゃ深刻なのだが、気にしない人は気にならないんだろうな、とか
どうして私は同じことに拘って怒り続けているのか?と不思議に思う自分もいる。

そこで父との電話でここ、
・「どうしていつまでも同じことに拘って怒り続けているのか」

→つまり「諦め」「慣れ」のない保存された思考構造のなかで、繰り返し怒りを精製し続けてしまう

と、先程書いた
・違った性質を、恐らくきっとお互い「そこも良い」と思って結婚した

が見事にリンクしたのを感じた。
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そして私なんと現在入院中である。
入院は短期であるが、持病が悪化して、それもとにかくストレスに気を付けろといわれているヤツなのだ。

入院前日に何をしていたかというと、(また)夫婦喧嘩して、その夜中も熱にやられたのもあり夜中夫に…まあ、本人には聞かせられないが一言で言えば酷いことを言ったと書かざる負えないことを言っていたら
もっと悪化して入院した。

なので、これを機に考え方変えないと、もっと病気が悪化するかもな、と寂しくて泣く息子を目にして反省しているタイミングである。

私も、父も、ずっと同じ考えを変えていないし、それは父を見る限り、そして昔から拘りが強いと言われてきた私も恐らく、変えようとしないと変わらないようだ。
そしてそれは一見筋が通っていて「正しい」ので変える必要性が感じられにくいのも難点だ。

しかし少なくとも当の本人は、この件に関して「正しさ」で幸せになってはいない。

なぜ幸せになっていないのか…恐らく私達は正しいのベクトルを間違えている…?正しいの厳密性に注意がいってしまうために単一的な正しさしか認識できていない?それが実社会の人間関係では有用ではない…?

似ている他者(父)をみて何かが分かった気がしたのだが、何せ当事者でもあるのでやはり良く分からないのが正直なところ。
しかし、ここに書き残すことでなにか自分の中で進展すればいいと思う。

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