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『君と明日の約束を』 連載小説 第三十七話 檜垣涼
檜垣涼(ひがきりょう)と申します。
小説家を目指して小説を書いています。
よろしくお願いします🏵
毎日一話分ずつ、長編恋愛小説の連載を投稿しています。
最後までいくと文庫本一冊分くらいになりますが、1つの投稿は数分でさくっと読めるようになっているので、よければ覗いてみてください!
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一つ前のお話はこちらから読めます↓
部活が禁止されていると言っても、短時間なら忘れ物をしたとか言って部室を使うことはできる。だから今の言葉は、テストが近づいているのにずっと小説に夢中になっていてもいいのか心配して出たものだった。
彼女のことだ。印刷をするだけだから、とか言うだろうと予想して、職員室で先生にどう言い訳すればいいか教えてあげる準備をしていた。
それなのに、僕が言うと、彼女は黙ったまま心底意外そうな目で見つめてきた。なに、その顔はどういう意味だろうか。
まさか、テスト前なのに勉強をしなくていいの? という意味が伝わらないわけないだろう。自分の言葉足らずが沈黙の原因ではないと確信した時、彼女はとんでもないことを堂々と口に出した。
「聞いてない」
「何が?」
「テスト前とか知らない」
思わず「は?」と声を漏らしてしまう。
呆れた。いや、彼女がそういう人だとわかっていなかったわけじゃないけど。
にしても、期末テストだぞ。そんなこと。
「いや、小テストじゃないんだから」
期末テストなんか学期末にあるのは当たり前だし、聞いたとか聞いてないとかの問題じゃないだろう。
けど僕のツッコミ彼女に見事にスルーされた。彼女は本当に驚いた目で僕の方を見ていた。
「……え、まじ?」
人並みに真面目な僕は、ついていけない。
実際、彼女の成績を聞くと、勉強が得意じゃない僕でも心配になるレベルだったので、思わず笑ってしまう。
でも笑ってしまったのは別に僕の性格が曲がっているからとかじゃないと思う。彼女が「何も恥ずかしいことなんて言ってませんよ」と言うノリで話すから。
確かに心の笑いを出してしまった僕も悪いのだけど、その反応を受けて少し不機嫌になった彼女に「そんなに言うならミツ君が教えてよ」と言われてしまった。
そういうわけで僕たちは、テスト前の休日もいつもの場所で会って、一緒に勉強をすることになった。
ーー第三十八話につづく
【2019年】恋愛小説、青春小説
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