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#3 【孤独感が招くダルさ】

僕は時々泣いてしまいそうになる。
何もかもが嫌になって。

人間には2つのカメラがある。

自分の目の中にある
自分目線からの1のカメラと、

自分の右斜め上くらいにある
まるで、防犯カメラのような、
自分を映す2のカメラ。

この2のカメラから自分を見ると、
自分の弱点や嫌な所が、
体を洗った後のタオルを
洗面器につけた時の垢のように 
浮かび上がる。

きれい水の人なんていないと思う。
でも、自分は人より垢の量が多い。
自分は一番自分を知っている。

自分は自分の、好きな物嫌いな物、
得意な事苦手な事、長所短所、思い出
自分は自分の事を全て知っている。
そう思っていた。でも、どうやら
それは違うみたい。

自分の中には
小さなパイロットがいる。
そのパイロットが肉体と心を繋ぐ。
そして、コックピットの中で
ミニチュアサイズのこの部屋から
肉体を動かす。
何年も放置された
巨大な廃墟の錆びついた鉄筋で
出来たこの体を
ギーギーと音を立てながら、
ゆっくりと起き上がる。
動くたびに、関節の錆から
次々に剝がれ落ちていく。

やっと起き上がって周りを見ると、
もう誰もいない。
そしてまた、

電源を切る。

どうやらこのパイロットとやらが、
僕の正体らしい。

ただ、こいつも来た信号に対して、
マニュアル通りに操作しているから、
全ての意図を
理解しているわけではない。

つまり、自分は誰だか分からない。

もはやそれは、
生きることへの恐怖である。

そして、このカメラは一生付いてくる


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