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中小企業で働く魅力と注意点④ アライアンスを組みやすい

今は様々な業界で、自前で全てを揃えることは難しくなってきました。
超大手企業であっても、合弁会社を作ったりするなど、脱自前の動きは加速化していますし、逆に協業ができない会社は仮に大手であっても取り残される危険性が出てきています。

私自身、人材業界に20年以上携わる中で、大手企業、小所帯のベンチャー、中小企業(現在はココ)で仕事をさせていただく中で、自社に合うパートナーと組むことは、会社として生き残っていくために非常に重要な事と感じています。

この記事では、このアライアンス/パートナーという視点から、中小企業で働く魅力と注意点について解説いたします。

※なお、中小といえども全ての会社でこの記事の内容があてはまるという事ではありません。一つの傾向値としてとらえて頂ければ幸いです。

① 大手は「自社ブランド」意識が高い

1-1 大手ならではの「意識」

大手企業はその知名度から、元々自社の看板を掲げる意識が高くあります。
その知名度と根拠となる実績、業績を作り上げるために膨大な時間とコスト、人員を投入し苦労をして創り上げた経緯があるからです。

大手は実際に資金力もあることから、技術やノウハウがなければ社内投資をして自社内で育てていくか、外部から即戦力人材を獲得して自社内に取り込み、自社ブランドとして育てていく傾向があります。

ようやく最近になって、自前主義を手放して有力ベンチャーを発掘して買収したり、合弁会社を作るなどの動きが出てきた、という状況です。

また、大手はプライド自体も非常に高いもの。
以前、私が在籍していた大手企業で、元社員(エースプレーヤーで、社内での貢献度も非常に高い人間)がアライアンスの提案をしてきた際、

「ウチの●●●●(サービス名)ブランドを安易に使わせるな!」

と、聞く人によっては高慢とも取れる発言をして門前払いしていました。
(ちなみに元社員のアライアンス提案は、元社員の恩義から提案いただいたもので、元社員の会社の取り分無という、本当に恩義ファーストの内容でした)。

1-2 中小企業にはそこまでのこだわりがない

対して、中小企業であれば大手企業ほどの知名度はなく、そのことを自覚しています。普段の営業活動においても、自分たちは「選ぶ立場」ではなく「選ばれないといけない立場」という謙虚さもあり、いわゆる「殿様営業」などしない傾向があります。

自社ノウハウについても、自社を過大評価することはなく「ウチなんて、吹けば飛ぶような会社なんだから…」と表現するような謙虚さがあります(一部の中小企業では、中途採用で大手出身者、高学歴者を取りたがる”ブランド志向”の会社があるのは、これと無関係ではないでしょう)

アライアンスにおいても、当然会社の知名度や実績は考慮しますが、過度な自前主義、プライドもないことから、有名無名、個人事業主に至るまで様々な会社とつながりやすい傾向があります。

つながりが広い分、大手では見つけられない、相手にされないが優れた会社と出会える可能性が高くなります。

② 大手は決裁工程が多い

大手企業では、一つの稟議を通すのに何人もの役職者のハンコが必要となります。さほど大きな事案でなくても、なかなか前に進まず、担当者としてはもどかしい思いをする、ということも少なくないでしょう。

アライアンス含めた新規取引の締結においても、厳しい与信管理がそのハンコ群と合わせてあり、契約締結は容易ではありません。

中小企業であれば、この決裁ルートが大手ほど分厚くないため、アライアンス締結のやりやすさにもつながってきます。

③ 理念でつながれる

中小企業は、小所帯であるがゆえに、何かで事業に失敗したり、騙されたりして損失が出た時そのダメージは非常に大きく、それが原因で倒産などにもなりかねません。

そのため、誰と組むかについてはある意味慎重に考える傾向があります。
パートナー探しをする際、特にその会社/経営者/事業責任者が信用できる人物なのか、純粋にその人と一緒にやりたいと思える人なのかという点を非常に気にします。

その中で、事業に対する考え方、理念を共有できるか、という視点が重要になります。
たとえ会社が小さくても、そこまで目立った実績がなくても、理念を共にできる人だと思えれば一緒に手を組みますし、資金を持っていたとしてもそこが違うと感じれば、手を組みません。

勿論、大手企業も事業に対する考え方、理念は十分考慮していますが、純粋に「この人と一緒に仕事をしたい」という思いは、中小企業のほうがかなえやすいと思います。

手前味噌で恐縮ですが、私の所属する会社もいわゆる中小企業です。
様々な会社と協業させていただいていますが、「この人と一緒に仕事をしたい」という思いがかなえられており、着実にその方々のお力で、事業を伸ばせています。

④ 注意点

アライアンスを組むことが今後のビジネスで重要と考えている方にとって、中小企業はそれがやりやすい環境であるのは事実だと思います。
一方、いくつか考慮しなければいけないこともあります。

4-1 そもそも、パートナー探しは必須

ノウハウ、資金、人材、知名度様々な面で大手ほどのものがない中小企業は、そもそも自前で何でもやっていくことは難易度がかなり高いもの。

仮に今はうまいこといっているビジネスがあるとしても、今は変化のスピードは速く、すぐに競合もでてきて自社ビジネスは陳腐化する、ということが起こっています。

外部にアンテナを張り、相乗効果が期待できるならば、積極的にパートナーとつながり、一人でやらず力を合わせて事業を伸ばしていく、という発想が必要でしょう。
パートナー探しは一つの仕事として取り組むべきものだと、私自身は考えています。

4-2 信用調査の基準

大手企業は取引開始の難易度が高いのは、それだけ信用調査が厳しく、その基準が高いことも大きな要因です。

安易にアライアンスを組んで大きな損失を被るようなことを防ぐためには、やはり信用調査の基準は一定以上のものが必要。

勿論、中小企業でも与信管理はあり、中小であるがゆえに厳しく行っている会社も多いですが、安易な判断をしていないか、調査基準が甘くなっていないか、という視点も必要でしょう。

4-3 アライアンスを理解されるとは限らない

中小企業の経営者の中には、経営者自身のプライドが高く、自分自身を過大評価している人間も存在します。
また、アライアンスそのものには肯定的でも、経営者の価値観が色濃く影響するもの。その経営者と合わない会社であれば、締結は難しくなります。

中小でアライアンス締結がしやすいのは、経営者自身の理解がある、ということが前提となります。

⑤まとめ

アライアンスを組むうえで、会社として相乗効果が得られるかが何より重要な事になりますが、価値観が違う他人同士が組むのがアライアンス。

会社としての実績、知名度、信用度と、それに裏付けられた会社としての価値観は、やはり大切なポイントになると思います。

中小企業ならではの、そうした価値観でつながれるという醍醐味を味わう。
今回の記事がその一助になれば何よりです。

最後までお読みいただきまして有難うございました。

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