映画『アナログ』を観てきました♡
こんにちは、Hideです🍿
今週の日曜日に映画を観てきました。
ビートたけしが初めて書き上げた恋愛小説「アナログ」を映画化した作品です。
たけしさんは、原作だけで、映画には全く携わっていません。
主演のインテリアデザイナーの水嶋悟役に二宮和也 相手役の元バイオ二ストで現在事務職のヒロイン美春みゆき役に波留といった、演技派の俳優と女優のキャスティングでした。
監督は、1985年の日テレで大人気だった「天才・たけしの元気が出るテレビ!!」でディレクターデビューをした日本の映像ディレクターのタカハタ秀太監督。
今時の恋愛映画としては、動きを極力抑えて、ゆっくりとしたテンポで進んでいくストーリーです。
派手な部分もなく地味ですが、恋とは…愛とは何かを、観てる側に問いかけられたと気がしました、
スマホやSNSといった媒体を活用した恋愛が当たり前になっている現代に、直接会ってお互いの気持ちを深めていく、アナログ的価値観を貫く男女の恋愛物語です。
今回は、この「アナログ」の映画レビューを私なりの観点で感じたことを書いていきます。
デジタル化した社会の中で、手作りに拘った建築家の男と、世界的音楽家であったが悲しい過去を持つ女の恋は…
この映画は特に知っていたわけでもなく、観に行く当日に気分転換で映画が見たいなぁ〜って感じで、スマホで家から一番近い映画館の上映中一覧から、今なんか面白いのは?
と探していて、紹介文とタイトルと出演俳優だけ見てこれにしよう、と決めました(笑)
それでも、あまり賑やかな感じのものではなく、秋の雰囲気を感じれる、静かな恋愛ものを観たいな〜と思い「アナログ」を観ることにしました。
ビートたけしが原作だというのは、映画の冒頭テロップで初めて知りました。
最初はたけしが恋愛小説を書いたの?とびっくりしました。
穏やかなに流れての映画で、観て良かったです。
最初のシーンで、観客のいないホールのステージで波留が一人ヴァイオリンを弾くシーンが流れます。
何かなぁ〜と思いつつ、そこからガラッと場面は二宮演じる主役水嶋の仕事中の場面に切り替わります。
主役のインテリアデザイナーの水嶋悟(二宮和也)は、現代ではPCを使用して仕事をするところを、全て手作業で行うアナログ人間です。
デザインの図面も、トレースを使用し鉛筆で描くのです。
それとイメージを実際確認するのに作る、模型も手作りなのです。
ベテランの昔ながらの人ならともかく、年齢も設定ではおそらく40前後の世代が、行う仕事のやり方ではないのです。
別にスマホやPCが使えないわけじゃないのですが、本人はアナログ的な手法にこだわりを持っています。
鉛筆で描く図面には、CAD(PCの製図用ソフト)で作ったものよりも、人間の温もりがあると。
おしゃれで新鋭的なオフィスで働いているのに、アナログなやり方をしているというのは、よほど本人が強くこだわりを持っているからなのでしょう。
水嶋は仕事が出来て、その感性を会社や得意先からも評価されています。
地味でアナログ人間ですが、出来る男の部類に入る存在です。
しかし彼は、そんな才能を鼻にかける様子もなく、純粋にインテリアデザイナーという仕事が好きで、自分の感性と手作りをするのが好きだという純粋な気持ち働いている男です。
性格も、年代相応でどこにでもいる、病気で入院している母を持つ普通の中堅サラリーマンです。
高橋恵子さん演じる水嶋の母役も好演で、病気で入院中ながら一人息子がいつまでも独身でいることを気に掛ける優しい母を演じていてこれもまた、この愛がを静かに引き立てていました。
恋人役の三春みゆき(波留)が、本編上に登場してくるのは、上映後30分過ぎたあたりです。
彼女は昔は天才ヴァイオニストのナオミ・チューリング(本名:吉田奈緒美)として世界的に活躍していた女性でした。
留学中に若くして外国人ピアニストの男性と結婚しましたが、夫が子供頃から病弱の為、急死してしまったようです。
現在は日本に戻り、携帯電話も持たずに静かに、親戚の経営する輸入雑貨店で事務の仕事をして暮らしていました。
現在は有名なヴァイオニストというのを隠す為、偽名の三春みゆきを名乗っていました。
母の肩身の50年以上経過したハンドメイドのバッグにこだわりを持って愛用していました。
水嶋に出会ってすぐそのバックを褒められ嬉しそうにしていました。
過去の天才ヴァイオニストという栄光を持つ彼女でしたが、夫の死をきっかけに音楽から遠ざかった様です。
しかし冒頭のシーンでも連想させるように、ヴァイオリンを未だに愛して弾きたいという思いは持ち続けていました。
そんな、自分の感性にこだわりを見せる中年男性と、元天才音楽家で悲しい過去を持つ30過ぎの女性の恋は、本当に心打たれる感じがしました。
アナログな二人の恋は、まるで昭和の恋愛といった感じでした。
水嶋が内装をデザインしたリリーフランキー演じるマスターが経営している行きつけのコーヒーショップである日、偶然出会い、細かい内装のこだわりとセンスに感銘した三春の言葉に感激した水嶋はそこから彼女に惹かれていくのです。
二人の感性が一致したのですね。
行きつけとはいえ、偶然出会って感性が合うなんて、今時凄く初々しいというか、私の世代としては、懐かしい恋の始まりのパターンですよね。
水嶋はシャイな性格でなかなか思いを正直に表に出せないタイプで、こっちから観ていると、むずキュンな感じがまた良かったです。
「逃げ恥」にも似たニュアンスの感じでしたね。
何回か偶然その店で会っているうちに、また会おうと約束を水嶋がしようとするのですが、三春は携帯を持っていなく、毎週木曜日に仕事帰りに店に寄るとだけ水嶋に告げて次に会う約束をするのでした。
そんなアナログな彼女の思いを受け入れる水嶋でした。
毎週木曜を楽しみにしてお互い週に一回そこで会うのでした。
郊外の住宅地の目立たない場所にある、小さな店で週に一度だけ会うなんて、まさにアナログいや昭和チックですよね。
現代では、直に会えなくても、たとえ世界の裏側にいても、テレビ電話が出来てしまう時代の中、連絡先も素性も知らない同士が、「毎週木曜日にこの店で会いましょう」なんてあり得ませんよね〜
私もどちらかというとアナログを好む方ですが、この時代にここまでアナログにはなれませんね。
携帯を持ってない彼女ならば、自分が買って相手に渡して、これに連絡するから〜とか言ってしまうでしょうね。
このシャイで待つことの出来る男性だったので彼女もそういうところに惹かれたのでしょうね。
到底私とは縁のない恋の展開ですね。
だからこそ、観ていて胸ときめいたのかもしれません。
そんな二人の恋愛を見ていると、恋は絆の深さなんだなと感じさせられました。
個の映画の名シーン 二人の心を通わせたのは…超アナログな糸電話
週に一回だけ会っていた二人でしたが、ついに水嶋から終末の休みに海に行こうと誘い、初めてデートをするのです。
その季節外れの浜辺で、水嶋は彼女に糸電話を使って、これで二人の気持ちは繋がるよと言わんばかりに、糸電話で、何気ない話から不器用な言葉で気持ちを伝えるのでした。
この映画の名シーンの一つです。
この場面にこの映画の伝えたいことが詰まっているような気がします。
今の時代、便利なツールが揃っていますが、人と人との繋がりは手段ではなく、やはりお互いを理解し、心の中にある気持ちを大切にすること、不器用でも伝える事が大事で、通うじ会うことには形は関係ないということを改めて感じさせてくれました。
これまでのたけしさんのさんの映画とは全く違う物語でした。
現代社会をたけしさんから見て、今にこそ何が大切なのだろうというコンセプトからこの様なストーリ〜になったのではないかと思います。
さすが、天才と呼ばれるビートたけしさんですね。
派手な面白さだけを追求するエンターテイメントだけが映画ではないということを証明してくれましたね。
流石です。人の心を掴むところはお見事です。
アナログな恋の行方は…意外な展開から真の愛を感じる結末
海でのデートで、友人たちの後押しもありみゆきへのプロポーズを決意した水嶋は、婚約指輪まで買ってしまうのでしたが…
水嶋はいつものように木曜日に毎週通うのですが、みゆきは3週間経っても現れません。
そしたら、水嶋の友人の奥さんでラジオDJをしている関係で、みゆきが世界的名ヴァイオニストだというのが発覚してしまいます。
そこから友人は水嶋の気持ちを思い、みゆきの姉から話を聞いて、店に行けなくなった事情を知ってしまいます。
水嶋がプロポーズをしようとしていた日に、店に行く途中に乗っていたタクシーが事故に遭い、半身不随になり脳に障害が残ってしまい、意識はあるのですが、会話することも出来ず、感情を表情に出せないほどの重傷を負っていたのです。
姉も水嶋との間柄は、みゆきから聞いていた様で、妹がその様な状態なので、水嶋の気持ちや将来の事を考え、連絡出来なかったようです。
そんな事故があったと友人から聞いた水嶋はいても経ってもいられず、彼女の入院する病院へ向かうのでした。
もうそこには、静かに笑いかけてくれるみゆきはいませんでした。
無表情でただ車いすに座っているだけでした。
姉は、変わり果てたみゆきを見てショックを受けた水嶋に
「妹は、あなた(水嶋)に木曜日以外にも連絡がとりたくて、携帯電話を買って、店に向かう途中で事故に遭ってしまった」
「あなたは将来があるので、もう妹のことは忘れて、自分の人生を生きて下さい」
と告げられるのでした。
水嶋はみゆきの状態はもう戻らないと、医者から言われていると聞かされ、ショックに打ちひしがれました。
でもどうしても、みゆきへの愛を捨てる事の出来ない水嶋は、何度も病院に通うのでした。
「あなたが妹を思ってくれるのは本当に嬉しいけど、このような状態の人間の面倒を見るのって、思ったよりも大変なのよ」
「負担も大きく自分の人生を犠牲にしなければならないのよ」
と言われるのでしたが、どんな状態になってもみゆきへの愛は本物で、なんとか面倒見るのを手伝わせてくれと懇願するのでした。
そこで一旦物語は、終わりかと思われましたが…
場面は一年後に変わります。
海沿いに家を建てた水嶋は、それまでは使用しなかったパソコンを完備して、在宅ワークで今までの業務をするようになっていました。
そこに水嶋に押された車椅子に乗った奈緒子(みゆき)が現れます。
結婚して一緒に暮らしていたのです。
在宅ワークにしたのは、奈緒子と一緒に暮らせるようにする為だったのです。
自宅でPCを活用して仕事をしながら奈緒子の介護をしていたのです。
本気で奈緒子の事を愛していたのでしょうね。
体が不自由になって世話をするのも大変なのに、働き方の形態を変え、家まで購入するくらい奈緒子と一緒にいたかったのでしょう。
この展開でも感動ものなのですが、その後に驚くべき奇跡が起こるのです。
家の外に出て海を見ていた二人。
水嶋が奈緒子に話しかけると、奈緒子の目から涙が溢れました。
そして、手を伸ばして水嶋の手を握って、水嶋の方を向いて嬉しそうにも悲しそうにも見える表情を見せて、小さな声で話しかけるのです。
事故以来、自分の意思では体を動かすことが出来なかったのに、夫になった水嶋の言葉に反応出来て手も動かせて表情が戻った奇跡はやはり愛の力なのでしょう。
あのシーンは感動涙ものでしたね。
真の愛とは心から相手を思うことなのだなぁ〜と柄にもなく感じました。
AI時代になっても、アナログな人の愛は変わってはいけない。
真実の愛は人の心の中にある、という事をたけしさんはこんな時代だからこそ伝えたかったのでしょう。
二宮と波留の一見地味そうなコンビが純粋な恋愛物語をより新鮮で温かくしてくれたのでしょう。
長文になりましたが、お付き合いありがとうございました。
今秋おすすめの作品です。
大きなスクリーンで見ると感動もひとしおですよ!
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