CITY POP 🎵 昭和のシティポップ　1980年代編　VOL.３　男性アーティストSide-B

こんにちは、Hideです🎵

今回も80年代シティポップの男性アーティストの曲を紹介します。

80年代中盤から、サウンドもシンセサイザーの導入だけではなく一層デジタル化が進み、より煌びやかでリズムカルでダンサブルなナンバーが増えてきました。

そんな音の雰囲気の変化も味わえた80年代でした。

ボーカルを前面に出しそれを盛り上げるバックのシティサウンドの織りなす曲と、デジタルの軽快な魅力を活かしたダンサブルな曲の２面に別れていったように感じます。

では、そんな多色化したシティポップをお送りします。

「SPARKLE（スパークル）」/ 山下達郎　1982年発売　アルバム『FOR YOU』収録曲

作詞：吉田美奈子　作曲：山下達郎　プロデュース：山下達郎

当時、鈴木英人デザインのイカしたジャケットも話題になった

シングル化はしなかったが、当時間奏パートがサントリービールのテレビCMに使われた。

そのせいか、一般リスナーやアマチュアのギタリストからも人気を得た曲である。

この曲のイントロのギターカッティング部分は山下自身の演奏でレコーディングされたもの。

シンプルだが印象的なイントロのギターカッティングは、アマチュアギタリストがお決まりのように弾いていた。

この曲は当時としては珍しくシンプルなバンド編成で制作された作品で、基本シンセサイザーは使われていない。

乾いた音が夏のイメージを掻き立ててくれる曲だ。

80年代としてはシンセサイザーの音を多用していない曲はかえって珍しいが、それでも印象に残るなんてそこが逆に凄いと言わざる得ない山下の夏の名曲です。

ギターを中心とした最低限の楽器類だけで、ここまで表現しているのは、山下のすば抜けた音楽センスを感じれるシティポップの一曲です。

「バカンスはいつも雨（レイン）」 / 杉真理　1982年10月21日発売

作詞作曲：杉真理

杉真理初のヒット曲「ロマンスはいつも雨（レイン）」

福岡県福岡市博多区生まれ東京都大田区育ち

慶應大学工学部に入学し、サークルでバンドを結成し（後に竹内まりやも参加）1974年にヤマハのポプコンの関東予選に出場（この時に同大会に出場していた佐野元春と出会い、その後も親交が続いている）

同年の「ヤマハJコンテスト」決勝大会にて作曲賞を受賞する。

そこから3年後の1977年MARI & REDSTRIPES名義でシングル「思い出の渦」でレコードデビュー。

その後、CMソング等を手掛けたり、旧友の竹内まりやへ楽曲提供をしたり裏方での活動を行っていた。

1982年大瀧詠一と佐野元春と共に、企画ユニットアルバム「NIAGARA TRIANGLE Vol.2」に参加。

シングル「A面で恋をして」（化粧品CMソング）を同アルバムと同時にヒットさせ、杉真理の名を世間に知ってもらうきっかけとなった曲である。

1982年グリコセシルチョコレートのCM 当時人気アイドル堀ちえみが起用された

「昨日より　1秒前より　もっとあなたが好きです❤️」堀ちえみのセルフから

82年当時まだ16歳だった堀ちえみのCMでのセリフがなんともたまらなく青春時代のときめきを感じ、あの頃を思い出してしまいます。

当時、私は高校3年生で男子校に通っていて、女子には縁のない毎日を送っていました。

いや〜若いって素敵ですね！全てが輝いていますね⭐️
あの頃に戻りてぇ〜（笑）

1982年にグリコセシルチョコレートのCMソングに起用された「バカンスはいつも雨（レイン）」がオリコンで23位になりヒットする、CMの効果も相まって杉真理の名前が単独名で世間に認知される。

女性ウケする爽やかで甘い声が特徴。

派手ではないが聞きやすいメロデーと優しくシャイな詩が、印象的なシティポップシンガーの一人でしょう。

「ドラマティックレイン」 / 稲垣潤一　1982年10月21日発売

作詞：秋元康　作曲：筒美京平

稲垣潤一二枚目のシングルでヒット曲となった

オリコン週間最高順位8位　TBSザ・ベストテン9位

宮城県仙台市宮城野区出身　私の地元出身で区も一緒です。

父親がビートルズやエルトンジョンのファンで、ギターを習ったり作詞や作曲も行なっていて、稲垣もその影響を受け、小さい頃から音楽が好きだった。

中学時代からバンドを始めドラムとボーカルを担当するようになる。

高校時代から本格的にバンド活動を始め、高校卒業後は仙台のライブハウスや横須賀や立川の米軍キャンプ等で演奏を続けるうちに、仙台の店でスカウトされ1982年に「雨のリグレット」でデビューする。

当時、私は高校3年生で、地元出身のシンガーが80年代流行していたAORを歌ってのデビューということで、FMラジオでかなり話題になっていた。

稲垣より先に、地元の期待を一身に受けデビューしたハウンドドッグよりも先にヒットしてしまった。

デビューから雨を舞台にした、都会の男と女のちょっと危ない恋を描いていた。

私は、ハウンドドッグ等の男臭いロックンロールが好きだったので、この曲は全く好みのジャンルではなかったが、それが逆に新鮮で、オシャレなサウンドと大人の恋の歌に少しドキドキ感を覚えて聴いていた。

自身でも楽曲を作るアーティストだったが、この曲のヒット後も、大瀧詠一やユーミンやポップスの作家陣からの提供を受けて、あらゆる曲風の歌を歌いこなすボーカリストとして活躍した。

シンガーソングライター全盛時代に、シンガーに徹して、自作の曲は歌わないというポリシーを貫いた。

ドラムを叩きながら歌うという珍しいスタイルのシンガーでもあった。

1992年には、福山雅治や唐沢寿明主演のドラマの主題歌「クリスマスキャロルの頃には」が大ヒットして170万枚を売り上げ、稲垣最大のヒット曲となった。

この「クリキャロ」は現在でもクリスマス時期になるとよく流れるクリスマスソングの定番曲の一つになった。この曲で広瀬香美とのコラボ企画もあった。

とにかく、この「ドラマティックレイン」はデビュー駆け出しだった稲垣が、現在のボーカリストとしての地位を築くきっかけとなった昭和のシティポップの代表曲の一つです。

これを聴くと40年経った今も高校時代に初めて聞いた少年だった頃を思い出させてくれる曲です。

「君に、胸キュン。」 / YMO　1983年3月25日発売

作詞：松本隆　作曲：YMO

YMOとして最後の作品となった「君に、胸キュン。」

オリコン週間最高順位2位　TBSザ・ベストテン３位

カネボウ化粧品のCMソングに起用される。

世界的にも80年代の音楽に革命を起こしたYMOだったが、この曲はそれまでのシンセを酷使したインストルメンタルではなく、キャッチーな歌を全面に押し出した曲で今までとは違うYMOのイメージに驚貸された。

細野晴臣が元はっぴいえんどで一緒だった松本隆に、「売れそうな詩を書いて欲しい」と要望した事で、この可愛らしくてキャッチーな歌詞になった。

リードボーカルは、高橋幸弘が担当しており、サビの部分は3人がユニゾンで歌っている。

「胸キュン」というフレーズはCMのキャッチフレーズで曲のタイトルにも使用された。

この曲から「胸キュン」という単語が世間一般で使用されるようになった。

YMOとしての活動を終えようと考えていた彼らが、最後にファンや世間を驚かせたいと思って制作された楽曲で、当時YMOは活動休止状態だったが、CMタイアップの話が出た事から急遽レコーディングに至った。

「かわいいおじさんたち」のコンセプトで曲を発表した。

それまでの無機質なイメージとは180度違うアイドルの様な爽やかなPVに仕上げた。

振り付けも3人で考え、全てがこれまでのイメージとは違う路線を強調した。

彼らの目論見通り私を含めオーディエンスも音楽関係者を驚かせた。

あのYMOがこのような可愛い曲をYMOの活動の最後に見せた、というのは日本の音楽史に残る珍事的な出来事だった。

シンセサイザーを世界に広めたYMOが、最後に全くイメージの違う楽曲で幕を閉じたという事が大いに話題になった。

優れた作家陣とYMOの卓越した演奏があって、初めて過去と正反対のユニークさがウケた、昭和の終盤に残るシティポップの名曲になった。

「ペパーミントブルー」 / 大瀧詠一　1984年３月21日発売　アルバム「EACH TIME」収録

作詞：松本隆　作曲：大瀧詠一　プロデュース：大瀧詠一EACH

「ペパーミントブルー」を収録したアルバム「EACH TIME」

オリコンLPチャートで週間1位を獲得　オリコン1984年LP チャートでも8位を記録

81年に大ヒットした『A LONG VACATION」から3年後に発表された、大瀧詠一のオリジナルアルバム。

当初前作からの続編と世間からは捉えられていたが、大瀧詠一自身は、このアルバム自体を一つのストーリーとして考え制作していたので、世間からの声には難色を示していた。

このアルバムの収録曲からシングル盤を発売することはしなかった。

これは”シングルヒットが無ければアルバムは売れない”という当時の業界の定説に挑戦してやろう、と思ったからだという。

結果は、売上枚数60万枚のヒットアルバムになった。

前作「ロンバケ」とは異なるイメージのコミカルなテーマの曲が多かった。「恋のナックルボール」などがそれだ。

私が、このアルバムの中で一番気に入ったのが「ペパーミントブルー」 だった。

その中でも、大瀧節が効いた「ペパーミントブルー」 は安心して聴けた。

当時、あまりにも「ロンバケのイメージが強すぎたのからか、そこまで良いとは感じなかったが、時間が経ってから聴き直すと、このアルバムなりの味を感じる秀作だ。

ナイアガラサウンドに包み込まれたようなサビのメロディと歌詞が哀愁を感じられて好きになった。

ちょっと成長した大人の恋を感じる曲です。

進化したナイアガラサウンドのシティポップという感じがする曲だった。

「そして僕は途方に暮れる」 / 大沢誉志幸　1984年9月21日発売

作詞：銀色夏生　作曲：大沢誉志幸

曲のイメージにあったレコードジャケットだった

オリコン週間最高順位6位　TBSザ・ベストテン2位

東京都杉並区高円寺出身　駒澤大学卒業

兄がGSを聴いていた影響で、音楽に興味を持ち、ボブディランやドゥービーブラザースなどのロックやR＆B、ソウルなどを聴き始める。

大学時代から軽音楽部に所属し、バンドを始める。ギター＆ボーカルを担当して、多くのコンテストで優勝、渡辺プロのオーディションを受けてそのバンドでレコードデビューが決定する。

バンドデビュー後、他メンバーとの音楽的方向性をめぐりトラブルとなり、アルバム一枚発表しただけで解散となる。

バンド解散後、印税の全てを投げ打って単身渡米してニューヨークで1年間過ごす。

アイドル歌謡曲への楽曲提供やプロデュースをしていたが、帰国後エピックソニーに才能を見出され、ミュージシャン契約を結び、当時人気だった中森明菜や沢田研二への楽曲提供とプロデュースを手掛けてる。

楽曲提供等と並行してソロ歌手としても活動を1983年にデビュー。

翌84年にこの「そして僕は途方に暮れる」がヒットしてソロシンガーとして世間に認知される。

私がこの曲を知ったのは、日清食品のカップヌードルのCMだった。

田省吾の「風を感じて」が起用されていたのは覚えていたが、それ以降のカップヌードルのCM曲には印象に残るものがなかった。

この曲のCMオンエアから1年後には中村あゆみやハウンドドッグ、尾崎豊が起用された。

ハングリー精神をテーマにしたカップヌードルCMの走りになったのがこの大沢の「そして僕は〜」だった。

しゃがれたこもり気味の大沢の声に、恋人が去った後の部屋に一人残って落ち込む情景を、寂しく寒さを感じるアレンジとサウンド作りで描いている。

曲にマッチした音作りの見事さには、クリエイターとしての大沢の才能を感じてしまった。

発売からCMがオンエアされたのは、秋から冬になる時期で、季節的にもこの悲しい曲が凄くマッチしていた。

CMを観てサビのメロディが印象的で、曲名が分からずレコード店で、店員にサビの部分を自ら歌って、レコードを探した。

そんな買い方をしたのは初めてだった。

明るいイメージのバブル期の中では、珍しく陰鬱なイメージだったが、サウンド面がすば抜けていて、今までとは違う都会的というより寂しいが洒落ているといった感じがするシティポップだった。

鈴木英人　イラスト

今回も80年代の男性アーティストによるシティポップを紹介したが、シティポップ色が強い曲が80年代前半に多く集中していることに気づいた。

男性の歌うシティポップは哀愁が強い作品も多いのが特徴かなとも感じた。
昭和の時代はどこか演歌チックな部分が残っており、切なさを感じる曲が多いなぁと思いました。