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【work】 木と樹脂を合わせて彫れるか

過去作品の紹介、しばらくTシャツが続いていたので久しぶりにレジン作品。 というか、これは彫刻になるのかな? 木材を射込んだレジン複合材原型をベースに形を作った作品をいくつか紹介します。

レジンといっても樹脂の種類が色々あります。 今回紹介するのはポリウレタン樹脂を使った作品。 2つの液体を混合することで化学反応を起こして硬化します。 酸素と触れることで経年変化しやすく、合皮などの表面材に使用されることも多いですが、発泡剤になると特に加水分解しやすく耐用期間が短いです。 今回の作品で使用したのは主にガレージキットなどで使用されることが多いもの。 比較的安定しやすいけれど黄変しやすいことと、木材の色との相性を考えてアイボリーの成型色を選んでいます。

木と樹脂の彫刻リング01 正面
木と樹脂の彫刻リング01 斜めから
木と樹脂の彫刻リング02 正面
木と樹脂の彫刻リング02 斜めから
『阿吽の阿』 正面
『阿吽の吽』 正面
『阿吽』

いやー、キツいです。 使った木材は欅。 そこそこ硬めの素材ですが、対するポリウレタンはかなり柔らかい。 この隣り合った異素材を整合するように彫っていくのは無理がありましたね。 それ以前に、木材は内部に空気を含んでいるので樹脂を流し込んで硬化する間にその空気が漏れ出してきて気泡となって接合部に空洞ができやすくなります。 これを回避するには木材に予め樹脂を含浸させるのがいいのかと思ったのですが、専用設備がないとそれは不可能。 苦肉の策で接合面の剥離防止に凹凸をつけたあとに溶剤で溶接しそうなラッカーニスでコートしてみました。 結果、剥離はしないけれどやはり微小な気泡は防ぎようがなかったですね。

モノ自体はそこそこ気に入っていたので個人的にはアリ。 こんなふうに無理を力技でなんとかしようとする過程の試行錯誤ってとても大事で、それを何度も色々な素材と形で繰り返してきたこの時期の自分のことは、褒められはしないけどとても貴重な繰り返しだったと感謝しています。

さて、これからの僕は主に布を素材としてソフトスカルプチャーやぬいぐるみ、パペットを作っていく予定ですが、そこでもこうした異素材の組み合わせを試行錯誤する場面は必ず出てきます。 ワクワクしますねー! どんとこい。

サポートしてくれる人が増えると、新しい作品を作る余裕も出てきます。余裕は新たな可能性を見出す機会をもたらしてくれますね。新たな可能性からは今までと違った視点も生まれるかもしれません。