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#20 LOOP BLAKE 第2章 腐れ縁 第7話「霊段階3・天狩鉤爪」

 アメリカ合衆国がっしゅうこくのシカゴ都市シティ、このアメリカ有数ゆうすう大都市だいとしではけっしてなにきてもおかしくはない。とく伽霊能力ギアルスキルという摩訶まか不思議ふしぎ能力チカラ人類じんるいのパワーバランスを完全かんぜんこわしてしまった“この世界せかい”ではーーーー

   ガンッ!!

 道路どうろのドなか四人よにん適能者デュナミストたちがそれぞれ1たい1でたたかっていた。

 かたまでびている青髪あおがみをたなびかせジーンズ生地きじふくている日本人にほんじん中学生ちゅうがくせい藍川あいかわ竜賀りゅうが右手みぎてかたなおさまったさやがった。

竜賀りゅうが「ふぅ……くさりきのかまか…しかも2つ、二刀流にとうりゅうとはね…」

 褐色かっしょくはだをしてかお右半分みぎはんぶん刺青タトゥーはいっているおとこいためた左手ひだりてかばいながら武器ぶきである鎖鎌くさりがまひろげた。

ジェイコブ「……ヒヒヒッ……」

竜賀りゅうが「ん?」

ジェイコブ「…ヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒ……」

竜賀りゅうが「…どうした?なに可笑おかしいことでもあったのかよ?」

ジェイコブ「ヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒ…ヒーーッハーーーッハッハッハッハッハッハッ!!!!!」

竜賀りゅうが「!?…あたまでもイカれちまったのか?」

 ジェイコブがてんあおいで大声おおごえ高笑たかわらいしている姿すがた竜賀りゅうがかたなをゆっくりかまえながら怪訝けげんそうなかおていた。

ジェイコブ「ハッハッハッハ!!!ねえええええええぇぇぇぇぇ!!!!」

 ジェイコブが高笑たかわらいから一変いっぺんして殺意さついしのかおわると、っていたくさりげるようまわはじめた。竜賀りゅうが背後はいごからかまられるようんでるのを紙一重かみひとえかわし、身体からだひねりながらジェイコブと距離きょりってつぎ攻撃こうげきそなえた。

ジェイコブ「テメェ!!なに!!おれの!!からだに!!攻撃こうげき!!してんだボケェ!!!」

 ジェイコブはあきらかに冷静れいせいさをうしなった口調くちょうくさり両手りょうてまわし、両端りょうはしいたかま周囲しゅうい手当てあたり次第しだいつづけていた。

   ガンッ!!ガンッ!!ガンッ!!ガガンッ!!!ガガガンッ!!!

竜賀りゅうが「…!?…!!…!!」

 竜賀りゅうがくるう2つのかまうごきをおうとキョロキョロしはじめたが、かまながくさりあやつられているためすべてをうには限界げんかいがあった。

 しかしここで竜賀りゅうがは1つおおきく深呼吸しんこきゅうをして、自分じぶん父親ちちおや言葉ことばおもした。ーーーーーー


 ーーーーーーモートレートタウンのモーテルのにわにて

光男みつお「だーーかーーらーーちがうってってんだろうが!」

 木刀ぼくとうあそびながら地面じめんよこたわっている竜賀りゅうがかってちち藍川あいかわ光男みつお言葉ことばつよめにった。

光男みつおなんでそうやっておれ武器ぶきうごきばっかりっかけようとしてんだ!ちがうんだって!しんるべきなのは武器ぶきじゃなくて、てき身体からだうご全体ぜんたいをしっかり観察かんさつするんだ」

 竜賀りゅうがかたなひろげながら、ゆっくり父親ちちおやかいった。

竜賀りゅうが「ゲホッ!コホッ!……だからっていきなりひとはらっとばしてくるか!?ズルいぜ!?」

光男みつお「アホか?本当ほんとう戦場せんじょうったらズルも卑怯ひきょういんだよ!てきはどんな使つかってでもおまえころしにくるんだよ!かくだま秘密兵器ひみつへいき秘策ひさく力技ちからわざ奇策きさく奇襲きしゅう、そういったモンに全部ぜんぶ対応たいおう出来できなきゃぬ!それがやったモンちのたたかいなんだ!」

     ビュオッ!!!

光男みつお「!?」

 竜賀りゅうが光男みつおかお目掛めがけて不意ふいよう刺突つきはなとうとした。しかし、光男みつおはこれをかるかわ竜賀りゅうが背中せなかつかんでした。竜賀りゅうが完全かんぜんにバランスをくずされ地面じめんころがった。

竜賀りゅうが「はぁ…はぁ…はぁ…」

光男みつお「…………竜賀りゅうが……剣道けんどう基本きほんなん実戦じっせんわすれてるんだ?」

竜賀りゅうが「……!」

源太げんた剣道けんどうの?基本きほん?」

光男みつお「……べつ技術ぎじゅつにあれこれえはしないが……一番いちばん本番ほんばん大切たいせつなことだと!くちっぱくしてってきたことだ!」

源太げんた「…?」

竜賀りゅうが「………遠山えんざん目付めつけ…」

光男みつお「そうだ!」

 竜賀りゅうがおもしたことをつぶやいたら光男みつおはよしよしとわんばかりのかおをしながらうなずいていた。

源太げんた「エンザンの…メツケ?なんなのそれ??」

竜賀りゅうが剣道けんどう初歩しょほ初歩しょほ……たたかいにいどさい精神せいしん状態じょうたいしめすんだ」

光男みつお「そう……たたかいにおいて一番いちばんやってはいけないことがてき攻撃こうげき武器ぶき“だけ”を見過みすぎてしまい、てきうごきやまわりの状況じょうきょうえなくなってしまうことなんだ」

 光男みつお木刀ぼくとうをもてあそびながら源太げんた説明せつめいをしていた。

光男みつおまわりがえてないと下手ヘタすれば仲間なかま攻撃こうげきしてしまったり、たたかいに関係かんけいないひとまでえにしてしまいかねない。実戦じっせんはお行儀ぎょうぎいスポーツじゃないんだ」

 光男みつおふたた木刀ぼくとうかまなお竜賀りゅうがかいった。

光男みつお竜賀りゅうが……おまえいまけているけんわざはおまえまもためものでもある。自分じぶん自分じぶんまもらなければならない」

 竜賀りゅうがはゆっくりがってかたな光男みつおかまえをった。

光男みつお「でもそのため関係かんけいひとたちおお犠牲ぎせいにしてワケじゃない」

 光男みつお竜賀りゅうがながらはなった。

光男みつお竜賀りゅうが…おまえたたかいはけっしてけてはならないたたかいなんだ!ーーーーー」


 ーーーーーー走馬灯そうまとうようえた稽古けいこ風景ふうけいが、竜賀りゅうが精神せいしん状態じょうたいをフラットにした。竜賀りゅうがはまるでとおくのやまよう視野しやひろげることで、ジェイコブの身体からだ全体ぜんたい、そして武器ぶき全体ぜんたいうごきを視界しかいおさめることができた。

竜賀りゅうが(……える!!これなら…!!)

ジェイコブ「なにナメたツラしてんだコラァァァ!!!!!」

 くさりまわはしいたかま竜賀りゅうが目掛めがけてばしてたのを光男みつおいきをのみながら見守みまもっていた。

光男みつお竜賀りゅうが……わかってるよな…平常心へいじょうしんだぞ!)

    ビュオン!!!ビュオン!!!

 かま竜賀りゅうがねらったうごきでんでるかとおもいきや、2つのかま竜賀りゅうがにさらりとかわされてしまった。

光男みつお「…よし!!」

ジェイコブ「な!!?」

竜賀りゅうが「………」

 竜賀りゅうがまゆ1つうごかさずかまくさり、そしてジェイコブのうごきをていた。ジェイコブは竜賀りゅうが表情ひょうじょう激昂げきこうし、伽鍵礼符キーカードを2まいした。

ジェイコブ「だったらそのムカつくツラをソッコーで絶望ぜつぼうつぶしてやるよ!!このおれ最強さいきょうコンボでなぁぁ!!!」

 ジェイコブの2まい伽鍵礼符キーカードひかしたかとおもいきや2つのかまにもまらぬはやさで高速こうそく回転かいてんしながらちゅういていた。

   キィィィィィィィィィィィィィン!!!!

 空気くうきようおとてながら高速こうそく回転かいてんをするかまは、不気味ぶきみうごきをしていた。

ジェイコブ「ヒヒヒヒヒヒヒ……これがおれ最強さいきょうコンボ…そのを『音速切弾ソニックカッター』だ!!」

竜賀りゅうが「お名前なまえだけはご立派りっぱなことで」

 竜賀りゅうがてるようはなった。

ジェイコブ「その生意気なまいきくち一瞬いっしゅんけなくしてやんよォ!!!」

 キィィィィィィィィィィィィィン……シュッ!!!

 くさりなわようにグルグルまわしてかまげたかとおもえば、くさりもとながさより数倍すうばいながさになってびてきた。

 ジャラララララララララ!!!

光男みつお竜賀りゅうが!!」

 ヘビクビようびてきた鎖鎌くさりがまにもまらむはやさで竜賀りゅうがクビ目掛めがけてんでた。しかし竜賀りゅうがはそれをあっさり上体じょうたいまえかがめて難無なんなけた。

竜賀りゅうが「ん」

     ドガアァァァン!!!!

 ジェイコブがげた鎖鎌くさりがま背後はいごにあった建物たてもののコンクリートのかべ轟音ごうおんてながら貫通かんつうした。

ジェイコブ「シット!!!」

竜賀りゅうが「なんだよ……こんなモンかよ?……テメェの全力ぜんりょくってのは…?」

 竜賀りゅうが身体からだからはなたれるつめたいオーラのようなものがまわりの空気くうき一層いっそうめさせた。ジェイコブはその雰囲気ふいんきされジリっと一歩いっぽあしいた。そのことに自分じぶん気付きづいたジェイコブははげしい感情かんじょう支配しはいされた。

ジェイコブ「!!?………面白おもしれぇ……このおれをここまでコケにしたのはボス以来いらいだぜ…!!!」

 また鎖鎌くさりがままわはじめたジェイコブは語気ごきあらげてあばまわった。回転かいてんしながらちゅうぶ2つのかま手当てあたり次第しだい周囲しゅういかべ金網かなあみものきざんでいた。

 竜賀りゅうがはその状況じょうきょうまゆ1つうごかさず、ジッとつめていた

竜賀りゅうが「…………」

ジェイコブ「……なんなんだよ…そのは…?」

竜賀りゅうが「………」

ジェイコブ「…そのナメた一番いちばんムカつくんだよ!!!」

竜賀りゅうが「いちいち戦闘せんとうちゅう五月蝿うるさヤツだな……もっとだまってたたかいに集中しゅうちゅうしないのか?」

 竜賀りゅうがのこの言葉ことばがねとなり2つのかまふたた竜賀りゅうがおそいかかった。ーーー


ーーーーもう一方いっぽう褐色かっしょくはだくろいクシャクシャのかみをした13さいくらいの少年しょうねん猿渡さわたり源太げんたもトンプソン兄弟きょうだい双子ふたごあにグレイブ・トンプソンと対峙たいじしていた。

グレイブ「うで多少たしょう自信じしんがあるからって過信かしんしてたらぬことになるぞ?」

源太げんた「おまえがな」

 源太げんたこんかまえながらグレイブを挑発ちょうはつしていた。グレイブは右手みぎて霊媒印コモンベスタから伽鍵礼符キーカードし、ニヤニヤしながら源太げんたていた。

グレイブ「クククク……この礼符カード発動はつどうしたらおまえけはあってもおれけはなくなる」

源太げんた「…防御ディフェンド礼符カードか…!?」

グレイブ「ご名答めいとう、『六芒星の輝きディフェンドスター発動はつどう!!」

 グレイブはそうとなえるとグレイブの周囲しゅういにキラキラとひかかがやした。源太げんたはそれにまったくおかまいなしに突っ込ツッコんでいった。グレイブのむね目掛めがけて源太げんたこん刺突つきはなった。

   バチィィィッ!!!

 源太げんたこん強烈きょうれつおととも火花ひばならしてはじばされた。源太げんたはバランスをくずしてうしろによろめいた。

 源太げんたいそいでグレイブをると、グレイブのむねまえにおぼんくらいのおおきさの六芒星ろくぼうせいひかかがやきながらちゅうかびがっていた。

源太げんた「それが…」

グレイブ「そう……これがおれ霊段階ステージ3スリー六芒星の輝きディフェンドスター』だ……これが発動はつどうすれば霊段階ステージ6シックス以下いか伽霊能力ギアルスキル完全かんぜん遮断しゃだんすることができる」

源太げんた「だったら…!!」

 源太げんたはグレイブに攻撃こうげきくわえようとよこに、たてに、ななめにこんまわして殴打おうだした。しかしグレイブまったかいしていないようにそのから一歩いっぽうごかず源太げんた攻撃こうげき腕組うでぐみしながらニヤニヤしてていた。

 何十発なんじゅっぱつ攻撃こうげきをしてもひかりたてふせがれた源太げんたはさらに伽鍵礼符キーカードし、礼符カード能力チカラ発動はつどうさせた。

源太げんた「こいつで…どうだッ!!!」

 つぎ瞬間しゅんかん源太げんたくちから火炎弾かえんだん無数むすうし、グレイブにかっていった。

  ダダダダダダダダンッ!!!!!

 しかしグレイブのまえひかりたてちはだかり火炎弾かえんだん連続れんぞくふせがれた。

 火炎弾かえんだん発生はっせいした黒煙こくえんがグレイブの周囲しゅういおおい、源太げんた姿すがたえなくなっていた。

グレイブ「…ゴホッ……ヘイ!どうした?これでわりってか?クソガキ!!」

源太げんた「んなワケねぇだろ!!」

 グレイブの頭上ずじょうからそうさけ源太げんたこえこえ、その直後ちょくごグレイブの背後はいごからふたた源太げんた攻撃こうげきんできた。

  バチィッ!!バチィッ!!バチィッ!!バチィッ!!バチィィィッン!!!

源太げんた「〜〜〜ッ…クソ!!」

グレイブ「ククククク……この六芒星の輝きディフェンドスター前後ぜんご左右さゆう上下じょうげ全方位ぜんほうい完全かんぜん自動じどう防壁ぼうへきなんだよ…どんな攻撃こうげき奇襲きしゅうけねぇんだよ」

源太げんた畜生ちくしょう……!!」

光男みつお「それはどうかな!!」

 源太げんたとグレイブのたたかいも見守みまもっていた光男みつおがグレイブにかってそうはなった。

グレイブ「どういう意味いみだ…?」

光男みつおおれかぎりそのたて弱点じゃくてん霊段階ステージ7セブン以上いじょう伽霊能力ギアルスキルふせげない以外いがいに!最低さいてい2つは弱点じゃくてんおれつけたって意味いみだよ!!」

グレイブ「!!?」

源太げんた「おやっさん!?それマジで!??」

光男みつお「ああ!…源太げんたその弱点じゃくてんつけてけ!!できなきゃソイツにころされるだけだ!!この難関なんかん自分じぶんえろ!!」

 源太げんたはその言葉ことばくとグレイブにかい、ひかりたて弱点じゃくてんさがはじめた。

グレイブ(……光男アイツ…たったこの数撃すうげきあいだおれ六芒星の輝きディフェンドスター限定げんてい条件じょうけん気付きづいたってのか…!?…まさか!ハッタリにまってる!!)

 光男みつおかたしてもらいながらっていたエリックが、光男みつお言葉ことばきながらも不安ふあんそうなかおたたかいの様子ようすつめていた。

エリック「おいアンタ…本当ほんとうグレイブアイツ弱点じゃくてんがあるとおもっているのか?」

光男みつお「ん…もちろんですよ…強力きょうりょく能力チカラほどその反動リスク使用しよう条件じょうけんかならずあるものなんです…ま、大抵たいてい場合ばあいはその弱点じゃくてんかず、利点りてんばかりにきがちなんですけどね」

エリック「光男みつお…アンタ一体いったい…?」

光男みつお「ただのとおりすがりですよ」

 光男みつおとエリックの会話かいわ他所よそ源太げんたはグレイブの弱点じゃくてんさぐためさくっていた。

源太げんた弱点じゃくてんってなんなんだ!??だっておれ攻撃こうげき全然ぜんぜんかないから、一歩も動かず・・・・・・ってるんだぞ?!!………ん??そういえばグレイブコイツなんでさっきの攻撃こうげき全然ぜんぜんうごかなかったんだ??)

 源太げんたはグレイブがこっちになおっているのをあたまなかかっている1つの可能性かのうせい希望きぼうそうとした。

グレイブ「どうした?もうんだか?ギブアップしてタオルでもげるか?」

源太げんた「まさか……アンタこそいのかよ?こっちの攻撃こうげきはアンタにかなくても、アンタは攻撃こうげきしてなけりゃ霊力ギーラーれをつしかできないぜ?」

グレイブ「……それもそうだな……だったらそのお言葉ことばあまえてこっちも攻撃こうげき仕掛しかけさせてもらおうか?」

 グレイブは右手みぎてからべつ伽鍵礼符キーカードした。礼符カードかがやえると、グレイブは左手ひだりて源太げんたねらいをさだめた。

グレイブ「“十字架御免クロスファイアー”!!」

 グレイブの左手ひだりてから十字じゅうじひかりあらわれ、十字じゅうじ交差こうさ箇所ポイントからレーザービームが源太げんた目掛めがけてんでた。

  ドカァァァン!!!!!

 源太げんたけた光線ビームうしろかべ直撃ちょくげきしたとき皮膚ひふけるよう光熱こうねつはなちながら大爆発だいばくはつこした。

源太げんた「カハッ!!?」

 背中せなかけたかとおもえるよう高熱こうねつかんじながらも、受身うけみりながらがり攻撃こうげきかまえをった。

源太げんた「はぁ…はぁ…はぁ…さっきホテルのガラスをばしたのも、このレーザービームか…」

グレイブ「正解せいかい…」

源太げんた防御ぼうぎょはさっきのひかりたてでやって、攻撃こうげきいまのレーザービームでするってワケか…」

グレイブ「クククク…おれのこの戦い方スタイル攻守こうしゅとも一切いっさいすきてきあたえねぇ」

 源太げんたこんにぎなおあたまなかでグレイブの攻略法こうりゃくほうっていた。

源太げんた(グレイブの攻撃こうげき遠距離えんきょり中距離ちゅうきょりタイプのレーザーである以上いじょう下手ヘタ距離きょりけばヤツおもうツボだ……だったら!!)

    ダンッ!!!

 源太げんた地面じめんおもりグレイブに突っ込ツッコんできた。グレイブが近付ちかづいてきた源太げんた右手みぎてけるとまたレーザーをってきた。

 源太げんたはそのレーザーがたりそうになる直前ちょくぜんちゅうがり、グレイブの背後はいご着地ちゃくちした。すると源太げんたこん地面じめんけてろした。

源太げんた「オオオオオオリャァァァァァァ!!!!!」

    ドガンッ!!!

 源太げんたこん地面じめんたたきつけられると、物凄ものすご衝撃しょうげきこしながら地面じめんおおきなヒビをれた。

グレイブ「うお!!?」

 グレイブは自分じぶん足元あしもと地面じめんにヒビがはい足場あしばくずれていくと、身体からだのバランスをくずしてしまいひざ地面じめんいてしまった。

グレイブ(しまっ!!!!)

源太げんたいまじゃァァァァァァァァァァァァ!!!!!」

 こんまわしながら絶叫ぜっきょうする源太げんたが、確実かくじつ仕留しとめる射程しゃてい距離きょりないにグレイブをとらえた。

源太げんた「うおおおおおお!!!」

グレイブ「ウワァァァァァァ!!?」

   ガンッ!!!

 源太げんた渾身こんしん一撃いちげきは、グレイブのあたまからにぶおとひびかせた。グレイブは身体からだをフラフラさせて千鳥足ちどりあしようになっていた。

光男みつお「あんな攻撃こうげきあたまらっても、ノックアウトできないのか……適能者デュナミストってのはマジでタフだな…」

エリック「あの小僧こぞう本当ほんとうにあのトンプソンあにたおしおった…」

光男みつお「そりゃそうですよ…みっちり稽古けいこしてきましたから」

エリック「光男みつおさんだったか……なぜあの小僧こぞうはトンプソンあにのバリアーをやぶることができたんだ?」

光男みつお「ん?……いや、そんなにたいしたことじゃないですよ…グレイブ・トンプソンはあの六芒星の輝きディフェンドスター使つかっているあいだ一歩いっぽもそのからうごかなかったんですよ」

エリック「でも、それは…攻撃こうげきける必要ひつようがなかっただけなんじゃ?」

光男みつお「でも背後はいごからの攻撃こうげきまでまったうごかないなんてあまりにも無防備むぼうびぎるんですよ。相手あいてがもし霊段階ステージ7セブン以上いじょう攻撃こうげき背後はいごから仕掛しかけられることがあったら対応たいおうできない。だからねんため背後はいごかえ必要ひつようがあるはず」

エリック「たしかに……」

光男みつお「なのにグレイブアイツはそのからうごかなかった…でもそれはグレイブに余裕よゆうがあったんじゃなくて、グレイブのひかりたて一歩いっぽでもうごいてしまうとたて効果こうか発動はつどうしなかったからなんです」

エリック「そういうことか!うごかなかったんじゃなく、うごけなかったのか!」

光男みつお「そういうことです」

エリック「それじゃあ、もうひとつのあのたて弱点じゃくてんってのは…」

光男みつお「ああ、それは全然ぜんぜんたいした弱点じゃくてんじゃないので……グレイブがってたのは『霊段階ステージ6シックス以下いか伽霊能力・・・・完全かんぜん遮断しゃだん』ってってた…つまり伽霊能力ギアルスキルではない未適能者ステージゼロ物理ぶつり攻撃こうげき絶対ぜったいめられないってことですよ」

エリック「そんな弱点じゃくてんが……」

光男みつお源太げんたはそのふたつの弱点じゃくてんうちひと一歩いっぽうごけない弱点じゃくてん気付きづいてグレイブのふところんで背後はいごから足場あしばくずしてひかりたて発動はつどうできなくして、そのあいだ攻撃こうげきくわえたってことです」

エリック「…すごい……」

光男みつお「そんなにすごいことでもないですよ……普段ふだん稽古けいこときからおしえてきていることです…『相手あいて能力チカラばかりをるな、よく観察かんさつしろ、相手あいて行動こうどうクセ言動げんどうなかにきっと攻略法こうりゃくほうねむっている』ってね」

エリック「光男みつおさん…アンタ一体いったい…」

光男みつお「エリックさん…まだたたかいはわっていませんよ…まだ竜賀りゅうががジェイコブとたたかっています」

 エリックはその言葉ことばけ、竜賀りゅうがとジェイコブのたたかっている場所ばしょけた。

 そこにはくさりつながっているふたつのかまちゅうかべ連続れんぞくして竜賀りゅうが目掛めがけてげつけていた。

  ガンッ!!ガンッ!!ガンッ!!ガンッ!!ガンッ!!ガンッ!!

 しかし、先程さきほどから物凄ものすごいスピードでげつけているはずの鎖鎌くさりがま竜賀りゅうがはヒョイヒョイとかたな使つかわずに簡単かんたんそうにけていた。

ジェイコブ「クソ!!クソ!!クソ!!クソ!!なんでテメェはおれ攻撃こうげき全部ぜんぶけられんだ!!?おれ音速切弾ソニックカッター最高速さいこうそく音速おんそく匹敵ひってきするんだぞ!!!」

竜賀りゅうが愚痴ぐちならけたあとあの兄貴アニキ仲良なかよってろ」

 竜賀りゅうがはそういながらゆっくりとジェイコブに気付きづかれないペースで近付ちかづいてっていたのを光男みつお見逃みのがさなかった。

光男みつお「エリックさん!竜賀りゅうが位置いちをよくてみてください…!徐々じょじょ相手あいて近寄ちかよってってるでしょう?」

エリック「ええ…ジェイコブの攻撃こうげきけながら、なのにいつのにか距離きょりがさっきまでよりかなりちぢまってますね!?」

光男みつお「そう!あれはすりあしって日本にほん武道ぶどう特有とくゆう歩法ほほうひとつなんです!」

 エリックは光男みつお息子むすこ成長せいちょう間近まぢかれてうれしそうなこえ説明せつめいしてくるのをかんじながら光男みつお説明せつめいいた。

エリック「スリアシ?」

光男みつお「ええ!地面じめんあしうらすべらせるよう移動いどうするので、相手あいて気付きづかれずに接近せっきんしたり距離きょりったりすることができます」

エリック「それも攻撃こうげきかわしながら…」

 二人ふたりがそんな会話かいわをしているのがみみはいっていない竜賀りゅうがは、攻撃こうげき冷静れいせいかわしながらジェイコブとの間合まあいをめていった。

ジェイコブ「なにスカしてやがんだ!!」

竜賀りゅうが「……?」

ジェイコブ「テメェのそのかお!!その!!おれまったこわくねェって完全かんぜんくさってるだ!!」

竜賀りゅうがなんだよ?自分じぶんより年下とししたのくせにつよヤツがこの世界せかいにいるのがそんなにゆるせねぇのか?」

ジェイコブ「うるせぇ!!だまれッ!!年下とししただろうが!!無適能者アンチステージだろうが!!おれめたヤツは!!だれだろうが!!ブチころしてやる!!」

 ジェイコブはそうってかままわしているがあきらかに最初さいしょよりも攻撃こうげき竜賀りゅうが見切みきられていた。

竜賀りゅうが「そうやって簡単かんたん挑発ちょうはつってあたまのぼるから……簡単かんたんてきふところゆるしてしまうんだよ…」

ジェイコブ「なにだと!?」

 竜賀りゅうがそうだけのこして、左手ひだりてっているかたな居合いあいよう素速すばやかまえた。

 ーーーーつぎ瞬間しゅんかんーー

    ザンッ!!!

 一瞬いっしゅんだった……たった一瞬いっしゅん勝負しょうぶけっしてしまった。

 竜賀りゅうがは5メートルきょう距離きょりからにもまらぬスピードで間合まあいをめ、ジェイコブのふところ右斬上みぎきりあげをかました。

ジェイコブ「………な……なにが…」

 ジェイコブは一体いったいなにこったのか、自分じぶんなにをされたのか、理解りかいいていなかった。ただいたらくさりまえられてバラバラとなっており、自分じぶん身体からだからていたことを認識にんしきした。

ジェイコブ「ーーーッハアァァ!!!はぁ…!はぁ…!はぁ…!」

竜賀りゅうが決着けっちゃくはついた…!!武器ぶきろせ…!!これ以上いじょうたたかいにもう意味いみい!!」

ジェイコブ「はぁ…はぁ…はぁ…ハッ!!な、なにってやがる…小僧こぞう…!!おれはまだこうやって武器ぶきにぎれるぜ…!!」

竜賀りゅうが退がれ…もうたたかいはわったんだ!」

ジェイコブ「わってねぇよ……!!これはお行儀ぎょうぎいスポーツじゃねぇ…正真しょうしん正銘しょうめいころいだぜ…?どちらかがぬまで決着けっちゃくはつかねぇんだよ」

竜賀りゅうが退がれってってるんだ!!!もうつぎ間違まちがくおまえぬんだぞ!!!」

ジェイコブ「うるせぇ!!!餓鬼がきけたままわるくらいならんだほうがマシだッ!!!」

 そうさけぶとジェイコブはっていたかまうちひとつを竜賀りゅうが目掛めがけてばした。

ジェイコブ「“音速切弾ソニックカッター”!!!」

 竜賀りゅうが足元あしもとんでくさりれたかまちゅうんでかわした。

   ダンッ!!

 竜賀りゅうががジャンプで5〜6メートルのたかさにんでいるところを、ジェイコブはもうひとにぎっていた最後さいごかまげた。

ジェイコブ「ヒヒヒヒハァーーー!!これでテメェもわりだな!!空中くうちゅうんじまったらおれの“音速切断ソニックカッター”は絶対ぜったいかわせねぇ!!おれ馬鹿バカにしやがったことをあの後悔こうかいしやがれ!!!」

エリック「わった…!!空中くうちゅうじゃあの小僧こぞう攻撃こうげきかわせない……!!!」

光男みつお「エリックさん、大丈夫だいじょうぶですよ…竜賀アイツにはまだふだがあります」

 心配しんぱいそうに見守みまもるエリックは光男みつおいかけたが、光男みつお息子むすこしんっている表情ひょうじょうていた。

 竜賀りゅうが右手みぎてから伽鍵礼符キーカードした。礼符カードあおひかりをはなえた。

ジェイコブ「もうおせえぇ!!!これでわりだあァァァ!!!」

 竜賀りゅうがおそいかかるかまはブーメランのよう高速こうそく回転かいてんしてんできた。


ーーーしかし、竜賀りゅうがあしあおひかした。そして竜賀りゅうが空中くうちゅうあしをググっとげて、ジャンプするようあしをピンッとばした。

   ダンッ!!!

 なんと竜賀りゅうが空中くうちゅうってさらに何十なんじゅうメートルもうえかってんだ。

エリック「な、なんじゃそりゃあああァァァ!!??」

ジェイコブ「空中くうちゅうって…二段にだんジャンプだとおおお!!?」

 何十なんじゅうメートルもの空中くうちゅう身体からだ上下じょうげさかさになった竜賀りゅうがかおしたけジェイコブにねらいをさだめた。

竜賀りゅうが「これがおれ霊段階ステージ3スリー天狩鉤爪あまがりのつめ』だ…!!!これを発動はつどうすれば手足てあし空気くうきみずつかむことができるんだよ」

ジェイコブ「あ…あ…あ…」

 竜賀りゅうが重力じゅうりょく無視むししているようさかさまになった状態じょうたいで、あしちからめていた。そしてまたあしばした。

    ダダンッ!!!

 竜賀りゅうが天狩鉤爪あまがりのつめ能力チカラ空中くうちゅうった脚力きゃくりょくプラス重力じゅうりょくもうスピードでジェイコブにかってんできた。

ジェイコブ「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」

 ジェイコブは絶叫ぜっきょうすると一目散いちもくさん竜賀りゅうがせてげようとした。

竜賀りゅうががすか…!!!」

   ダダダダン!!!

 竜賀りゅうがはまた空中くうちゅうると、身体からだ進行しんこう方向ほうこうわり、げるジェイコブにいてった。

 竜賀りゅうがあと3メートルとすんでのところで身体からだ上下じょうげさかさまの状態じょうたいから正常せいじょうもどし、かたな頭上ずじょうってかまえた。

竜賀りゅうが「はああああああああ!!!!」

ジェイコブ「あああああああああああああああああ!!!!???」

   ガンッ!!!!

 竜賀りゅうが両手りょうてかたな渾身こんしんちからろし、ジェイコブの背中せなかたたきつけた。

ジェイコブ「ガッ!!!???」

 ジェイコブは地面じめんにうつせでたおれ、そのままいたみにくるしみもだえていた。

竜賀りゅうが諸手もろて上段じょうだんでの唐竹割からたけわり……“烈火葬送れっかそうそう”……いまのアンタには勿体もったいさすぎたな」

 しばらくしていたみにもだえていた状態じょうたいからうごかなくなる様子ようす竜賀りゅうがていた。

竜賀りゅうが「この勝負しょうぶ俺達おれたちちだ」

 シカゴシティ・ローグホテルまえ;WINNER
 藍川あいかわ竜賀りゅうが&猿渡さわたり源太げんた


To Be Continued

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